ba3ji3の植物園20


  



グラジオラスは、長く伸ばした花茎に連なって花を咲かせる球根植物です。春植え夏咲きで背丈が高く花の大きいグラジオラスと、秋植え春咲きの背丈が低く花も小さめな早咲きグラジオラスが出回っていますが、単にグラジオラスといえば夏咲き種の方を指します。ガーデニング以外では切花の生産も盛んです。夏咲き種は花色豊富で豪華な花を咲かせます。植えつけから70日程度で咲く早生種から3ヶ月程度で咲く晩生種まであり、開花までの日数が1か月程度異なります。つぼみは下から上へ咲きます。葉は剣状ですらっとした印象。株はあまり横に広がりません。春咲き種は比較的小型の花が多く、香りのあるものもあります。葉は剣状で株は直立します。育て方は秋植え球根に準じる形になります。



ホウセンカは中国名「鳳仙花」をそのまま音読みにしたものです。花の形を鳳凰が羽ばたいている姿になぞらえて付けられた言われています。花の咲いた後に、茎にぶら下がるように少しゆがんだラグビーボール型の果実がたくさんつきます。果実は軽く触れただけで、パチンとはじけてタネを広範囲に飛ばします。属名のインパチェンスは「ガマンできない」という意味で、この性質に由来します。インドからマレー半島、中国南部に分布する一年草です。園芸では春にタネをまいて夏に花を楽しむのが一般的です。今では同じ仲間のアフリカホウセンカ(インパチェンス)に座を譲った感がありますが、盛夏に咲く草花として古くから親しまれています。



ガウラの穂状に咲く小花が風に揺れる様子は、白い蝶が群れて飛んでいるようで、やさしい風情が感じられます。性質は強健で耐暑性もあり、初夏から晩秋まで次々と花を咲かせながら株が大きく成長していきます。花壇の背景、コンテナの寄せ植えから、広い場所での景観植物としての利用まで、幅広い用途があります。またフラワーアレンジメントでは空間を埋めるフィラーフラワーとしても使いやすい花です。花弁は4枚で、長い雄しべがよく目立ちます。1つの花は短命で3日ほどで散りますが、花つきがよく、ほとんど途切れることなく咲き続けます。ガウラ属は、北アメリカに20種ほどがありますが、観賞用に栽培されるのは本種、G・リンドハイメリで、日本へは明治時代中ごろに入ったといわれています。以前は、草丈1m以上に伸び、白花だけでしたが、近年、濃いピンクの‘シスキューピンク’の育成に始まり、複色、草丈の低いものなど、多くの園芸品種が育成され、利用されるようになりました。



ゲラニウムは、春から初夏にかけて開花する耐寒性宿根草。風にそよぐように咲く姿は可憐で風情がある草花です。ゲラニウムの種類はとても豊富で、品種により草丈、花色、花の大きさなどが違います。花の色は、ピンク系濃淡、白、紫系濃淡の他、黒花や複色など、さまざまな品種があります。花が美しいゲラニウムは、葉のフォルムも品種によってさまざまです。切れ込みのあるもの、小さな葉、大きな葉など、とても魅力的な葉をした種類が多く、花の時期以外もリーフプランツのような使い方ができます。冬は種類や地域によって落葉するものと、多少葉を残すものがあります。ゲラニウムの開花期間は主に初夏ですが、初夏から秋まで長期間開花する新品種のゲラニウムも登場しています。



ペチュニアはコンテナや花壇などでおなじみの草花です。枝垂れるものやこんもりと茂るもの、大輪~小輪、八重咲きなど、いろいろな園芸品種があり、毎年育てていてもあきません。成長が早くて丈夫なので、初心者にもおすすめです。南アメリカに自生するペチュニア・アキシラリス、ペチュニア・インテグリフォリアをもとに、ヨーロッパやアメリカで品種改良が進み、多様な品種がつくり出されました。太平洋戦争前には世界に先駆けて日本の種苗会社が八重咲き品種の商業化に成功し、注目を集めました。さし芽をして冬越しさせれば多年草として扱えますが、次第にウイルス病に侵されて観賞価値が下がるので、新しい苗を購入してください。葉に細かい毛があり、べたつきますが、このべたつきは病害虫から身を守ることに役立っています。



ヒバの別称は「アスナロ」です。その由来は「明日はヒノキになろう」などと言われ、檜(ヒノキ)に劣るようなイメージをもたれています。しかし、ヒバの持つ独特の芳香成分により、枯死しても芯まで腐らないほどの耐久性があり、木材としては、ヒノキにひけをとらない優良材です。ヒバの芳香成分はヒノキチオール。その名から、ヒノキに含まれていると思われがちですが、ヒバにはヒノキのより多くも含まれています。特に青森ヒバにはヒノキの10倍ものヒノキチオールが含まれていることが知られています。ヒノキチオールには、雑菌や虫を寄せ付けない、抗菌・防虫・防ダニ効果があることが知られています。そのため、ヒバで建てられた家には、蚊やシロアリなどの害虫が近寄ってこないと言われています。 一方、人間に対しては、ヒノキチオールのα-ピネンという成分により、ストレスを和らげ、心が落ち着き、気持ちをリラックスさせる働きがあります。 さらに、アトピー治療にも利用されています。 近年の研究では、農作物が長持ちしたり、草花が活性化する等の報告がされています。



山地で木の幹や岩肌にくっつくようにして育つシダ植物です。多年草で、何年もかけて大きな株に育っていきます。体の構造はとてもシンプルで、根や葉はありません。地上に出ている茎は、上のほうで2つに分かれ、それを何回も繰り返していきながら箒のようなかたちになります。根はありませんが、土の中には長くのびる地下茎があります。シダ植物なので花は咲きません。株が成熟すると胞子嚢と呼ばれる丸いプチプチのようなものが茎にたくさんつきます。この中で胞子をつくり、この胞子が拡散することで増えていきます。本来は山の中に生える植物ですが、観賞用に栽培されることもあるため、そこから飛び散った胞子が芽生えて野生化することもあります。また土とともに胞子が運ばれて、思いがけない場所から芽生えて育つこともあります。



スモークツリーはウルシ属に近縁な、雌雄異株の落葉樹です。初夏に咲く花木の代表で、ヨーロッパから中国に分布します。雌木の枝先につく花序は長さ約20cmで多数枝分かれし、花後に伸びた花柄が遠くからは煙がくすぶっているように見えます。雄木は花序が短く、煙状にはなりません。横に広い円形の樹形が美しく、秋の紅葉も楽しむことができます。銅葉や黄葉の園芸品種も栽培されています。その見た目の通り、英名を「smoke tree」、和名を「ケムリノキ(煙の木)」と言い、ふわふわとして煙を巻き上げているように見えることから、この名が付けられました。



春~初夏に小さな花を咲かせるシソ科の耐寒性常緑低木(ハーブ)です。種類が多く、立ち上がり上に伸びる立性のもの(コモンタイム)と這うように生育する匍匐性のもの(クリーピングタイム)に分かれます。クリーピングタイムは、食用より観賞用に使われます。這うように生長する匍匐性のタイムで、草丈は5~10cmくらい。小さな花が集まって1つの丸い花になっていて、その花がカーペットのように咲き広がる姿は圧巻です。地面を覆うように横にどんどん広がって育つので、グランドカバーとして使うと雑草対策にも役立ちます。花壇の縁取りに植えると土の流出を防ぐことができます。寄せ植えやハンギングバスケットにもよく使われます。蒸れに少し弱い点がありますが、痩せた土地やロックガーデンでもよく育つ丈夫なタイムです。しっかり根付いていれば多少踏んでしまっても問題なく、草丈を低く抑えたい時は、時々かるく踏んであげると上にあまり伸びません。踏むと良い香りが漂います。



日本に分布するヤナギとは、ヤナギ属に属する樹木の総称です。楊柳と表されるように、 ヤナギには楊の字もあてられますが、 中国では、シダレヤナギに代表されるヤナギ科ヤナギ属のものを柳、 ヤナギ科ハコヤナギ属ものを楊と、区別して使われことが多いです。ハコヤナギ属のヤナギとは、ドロノキ・ヤマナラシなど、いわゆるポプラの仲間をさします。楊柳ともに湿地を好 む落葉性の高木あるいは低木です。ネコヤナギは川べりに生える落葉低木で、雌花の白い綿毛がネコを思わせることから、この名がつけられました。コリヤナギの名は、その枝が今は 懐かしい「柳行李」の材料であったためです。奈良の大仏殿がある東大寺の参道にはアカメヤナギ(フリソデヤナギ)の巨樹があり、奈良市の保存樹木となっています。ヤナギ類は、世界で300種 以上、わが国でも30種以上にも及びます。しかしおおかたの人がまず 連想するのはシダレヤナギでしょう。文学小説などではほとんどの場合シダレヤナギを指しています。



カイヅカイブキ(貝塚息吹)とは、高さ10mぐらいに成長します。葉は美しく、刈り込みに堪えます。オリーブは銀葉が美しく、芝生の広い、洋風の庭に合います。果実は苦くて生食はできませんが、塩漬けやバージンオイルを楽しむことができます。潮風や大気汚染に強く、耐寒性もあるので、広く生垣などに使用されています。植木としては、玉仕立てなども出来ます。刈り込みなどの手入れをしないと、側枝がらせん状に回りながら、幹に巻きつくような樹形になります。枝の先は、北を向く傾向があります。



ツゲは、本州中南部(山形県/宮城県以南)、伊豆諸島、四国及び九州の石灰岩地に自生するツゲ科の常緑低木です。日本で最も緻密かつ重厚な材となり、櫛、根付、印鑑、ソロバン、木箱、将棋の駒、琵琶のバチなどを作ることで知られています。ツゲという名前の語源には、細かな葉が次々に出て層を成すことから「継ぐ」あるいは「次」、木目が丈夫なため「強木目木(つよきめぎ)」、梅雨の時期に葉が黄色くなって入れ替わることから「梅雨黄(つゆき)」とされ、それらが転訛したとする説があります。ツゲの漢字表記は「黄楊」「柘植」「柘」ですが、「柘」は中国語でハリグワを意味します。別名の「ホンツゲ」はよく似たイヌツゲに対するもの、「アサマツゲ」は自生地の一つである三重県の朝熊山にちなみます。



アイビーは、ヘデラの仲間のなかで園芸的に多く利用されるのは、セイヨウキヅタ(ヘデラ・へリックス )を筆頭に、キヅタとオカメヅタで、園芸品種が数百にも及ぶバラエティ豊かな植物です。特にセイヨウキヅタには、白や黄色の覆輪、中斑、散り斑、掃け込み斑、縞斑など美しい斑入り品種が数多くあります。気根(付着根)を出して壁や樹木などに張りついて成長する性質をもっているので、家庭のフェンスや建物に這わせたり、インテリアグリーンやコンテナに寄せ植えする際のアクセントにするとよいでしょう。法面や緑地帯などでも広く利用されています。また、ガーデン用以外に切り花やブーケの添え葉にも使われます。



バナバはミソハギ科サルスベリ属の落葉高木で、インド、東南アジアから北オーストラリアまでの熱帯地域に分布します。日本で夏に咲くサルスベリ(百日紅)と同属で、高さが5~10mになり、葉の形は卵形で、色は濃緑色をしています。バナバの花は匙形でしわが多く、朝は淡紅色で夕方に紫色に変化します。バナバの葉を乾燥させて煮だした茶は『女王でも手の届かないお茶』と呼ばれていますが、フィリピンではどこにでも生えているありふれた植物です。バナバとは、フィリピンのタガログ語での愛称です。日本では、大花サルスベリともいわれていますが、バナバが一般的です。フィリピンではバナバを観賞用植物として庭先に植えたり、薬用植物としてバナバ茶として飲みます。また、一部の地域では煮出した葉や種を食べる習慣もあるといわれています。バナバの歴史は古く、一説によると、約1000年前から健康維持のために健康茶として飲まれていたと伝えられています。バナバ葉には、カフェインが含まれていませんので、子どもや妊婦の方でも安心して摂取することができます。また近年ではバナバの抽出エキスがサプリメントとして販売され、広く生活習慣病予防に利用されています。



ムラサキツユクサの仲間は、梅雨のうっとうしさを吹き飛ばすように大きな3枚の花弁を優雅に広げ、朝露にぬれた姿にはしっとりとした美しさが感じられます。品種も多く、色とりどりに競い合うように咲き続けます。チャームポイントは花の中心部の雄しべと雌しべ。特に雄しべはひげ状で、赤や青に色づき、よく見ると個性豊かな花です。一つ一つの花は1日でしぼんでしまいますが、6月から7月を中心に毎日次々と咲き続けます。晴れた暑い日は花が早くしぼみ、午後には花がない状態になりますが、雨天や曇天の日には夕方ごろまで咲いています。ムラサキツユクサ属は、北米原産のトラデスカンチア・オハイエンシス(ムラサキツユクサ)とトラデスカンチア・バージニアナ(オオムラサキツユクサ)などの交配種が多く栽培され、多数の園芸品種が育成されています。一般に交配種を総称してオオムラサキツユクサと呼ぶことが多いです。タネがよく実り、こぼれダネでもふえるので、個体差が多く見られます。



イヌバラは、原種バラのひとつ、「ロサ・カニーナ」です。日本では接ぎ木用台木にはノイバラが使われますが、ヨーロッパではこのバラが台木に利用されることが多いそうです。別名「イヌバラ(英名:DOG ROSE)」とも呼ばれていて、これは、栽培用のバラに比べて価値が低いという意味という説と、狂犬病の治療に効くからだという説があるそうです。日本では頻繁に目にすることはないと思いますが、ヨーロッパではありふれたバラなのでしょうか。価値がないという意味でイヌバラと呼ばれているだったら、何とも不当な扱われ方です。一重に咲いたピンクがかった花は可愛らしく、弱々しい見た目の割には花もちの面ではは、すごく弱いわけではありません。更にいいのは秋にローズ・ヒップが出来ることです。四季咲きに匹敵する魅力だと思います。宝塚のニュー・ローズさんで購入した時に聞いた話では、トゲがある個体と、ない(少ない)個体があるそうで、うちの個体はトゲは少なめ。全くないワケではないです。



メタセコイアは、最初に日本で化石として発見され、その後、昭和23年に中国で生きた個体が発見されたことから「生きた化石」といわれています。セコイアと似ていますが、メタセコイアが落葉樹、セコイアが常緑樹といった大きな違いがあります。化石の発見でわかるように、かつて日本にもメタセコイアが自生していました。しかし、自然に起こった気候変化(寒冷化)によって日本から絶滅してしまいました。現在、人間活動による地球温暖化の問題が取り上げられていますが、メタセコイアの絶滅は環境変動と絶滅危惧植物の関係を考える一助になることでしょう。ヒノキ科に属するメタセコイア、セコイア、ヌマスギ(ラクウショウ)は“生きている化石”の代表格の一つです。どれも日本には自然の状態では生えていない植物ですが、実は日本でも化石が見つかっています。



シュウメイギクは秋の風情を感じさせる優雅な花で、切り花をはじめ、花壇や鉢植えに広く利用されています。わが国へは古い時代に中国から入り、京都の貴船地方に野生化したものが見られます。これがキブネギクで、本来のシュウメイギクです。ただし、現在は類似のいくつかの種や、これらの交配種も含めて、総称的にシュウメイギクと呼ばれています。早春に咲くイチゲの類と同じアネモネ属の植物ですが、性質はかなり異なり、半常緑性の大型の多年草で、地中の根は太く長く伸びて、いたるところから不定芽を出してふえます。夏の終わりごろから花茎が伸び出し、先端にまず1輪、そしてその両わきに1輪ずつ、さらにそのわきというように順に花を咲かせます。花びらのように見えるのは萼片で、花弁は退化しています。開花後は綿毛に包まれたタネが実りますが、品種によってはタネのできないものもあります。



オミナエシは、日当たりのよい草原に見られる植物です。数本の茎をまっすぐに伸ばして株立ちになり、先端に多数の黄色い花を咲かせます。花房は全体で15~20cmほどの大きさがあります。葉は対になってつき、茎につく葉は細く羽状に深く裂けますが、根元につく葉はダイコンの葉に似た形です。短い地下茎を伸ばしてふえます。秋の七草の一つとして有名ですが、開花にはかなり早晩の差があり、6月から9月にかけて咲きます。花が終わっても色を保つため、かなりの期間楽しめます。切り花にすると水がひどい悪臭を放ちますが、毎日水を替えると多少はよくなります。



コレオプシスはハルシャギクやキンケイギクの仲間で、北アメリカを中心に80~100種が分布します。明るい花色の陽気な感じのする花を多数咲かせ、長く伸びた花茎の先に咲く花が風に揺れる姿も風情があり、荒れ地を花園に変えるワイルドフラワーとして、公園や河川敷、道路わきや分離帯など、各所で利用されています。ハルシャギクやキンケイギクは秋まき一年草ですが春まきも可能です。場所によってはこぼれダネで毎年開花します。宿根草で花壇の利用が多いのは、バーティシラータ(イトバハルシャギク)、ロゼア、グランディフロラなどで、品種もいくつかあります。最近は、種間交配によって新しいタイプのものが多数育成され、コレオプシスのイメージが一新され、花壇やコンテナの寄せ植えに多く利用されています。分枝が多くコンパクトな草姿で、花期が長く花色も豊富です。寒さにやや弱いため、多年生のものも多くは一年草扱いされています。



ローズマリーは、葉に爽快で力強い香りのある常緑低木で、古くから人々の暮らしに利用されてきました。料理や香料に使われるばかりでなく、古代ギリシャ時代から記憶や思い出の象徴とされ、学生がこの枝葉でつくった花冠をかぶって学んだと伝えられます。また、悪魔から守る神秘的な力をもつとされ、葬儀の際に棺の上に小枝をのせたり、花嫁の冠に編み込んだりしました。薬用としては、葉の浸出液が強壮剤や収れん剤などに処方されたり、リウマチや外傷に外用されたりするなど、重宝な薬草として栽培されてきました。強力な抗酸化成分であるロスマリン酸を含有することが発見され、若返りのハーブとしての古くからの評判が再認識されつつあります。種類がとても多いローズマリーですが、どの種類でも薬効はほぼ同様であると考えられます。



サンゴジュは、本州の関東より南、四国、九州、沖縄から台湾まで分布する常緑性の広葉樹で樹高7m~8mの小高木です(写真は東北の酒田市)。6月~7月に小さな白い花が円すい状に集まって咲き、その後だ円形の果実ができて秋になると深紅色に熟します。熟した果実と濃い緑色の葉の取り合わせが美しいです。葉は濃緑色で表面は光沢があり、全縁もしくは上半分にゆるいぎざぎざが入ります。芽吹く力が強く耐火力が比較的強いので、鑑賞する樹木と言うよりも防災や目隠しとして(生垣に仕立てて)用いられることが多いです。また、一度根付いてしまうと非常に丈夫な樹木で、排気ガスや潮風にも耐えるので海岸沿いの風よけや公園など公共用の樹木しても広く利用されています。熟した果実を海のサンゴに見立てて、サンゴジュという名前が付けられました 。



イヌマキは雌雄異株の常緑高木です。若い枝は柔らかく、刈り込みにも耐えるため、人工樹形に仕立て庭木として利用されるほか、生け垣にも使われます。開花期は5月から6月で、雄株には葉と同じくらいの長さの尾状の黄色みを帯びた雄花が、雌株には先端に胚珠(はいしゅ)のある雌花が現れます。雌花は10月ごろに成熟し、先端に緑色で白い粉をまとったようなタネができ、タネの下には卵形に肥大して暗紫色に熟した花托(かたく)が見られます。この花托は多汁の肉質で、甘く生食できます。



シダレヤナギ(枝垂れ柳)は、公園や街路樹などでよく利用される、日本ではなじみの深い木の一つです。奈良時代に中国から伝わってきていたそうです。シダレヤナギ(枝垂れ柳)は、ヤナギ科ヤナギ属の落葉樹です。高さは20メートルにもなり、大きな姿と長くしだれる細い枝は、涼しさを演出してくれるだけでなく、どこか安心感も与えてくれます。川岸などの湿った場所を好みますが、日本では広く育てることが出来ます。また、地植えだけでなく盆栽にして楽しむこともできます。ヤナギは漢字で書くと「柳」と「楊」の2種類があります。枝が垂れているものを「柳」と書きます。また、枝が立ち上がっているものを「楊」と書きます。



ハクウンボクは別名をオオバジシャと言いますが、チシャノキというのはエゴノキの別名なのです。ハクウンボクはエゴノキ属の植物で、エゴノキよりはが大きいため、この別名がつきました。ブドウのように、枝から垂れ下がった果実の房が特徴的です。そして、丸く大きな葉もハクウンボクを印象づけます。葉の裏側には星状毛といって、たいへん小さな放射する毛が密生していて、葉全体が白く見えます。花は5~6月。エゴノキによく似た白い花が房状につきます。学名は通常ラテン語で書かれます。ギリシャ語が用いられる場合もありますが、それほど多くはありません。ハクウンボクの学名は(スティラックス・オバシア)ですが、obassiaはラテン語では無く、日本語のオオバジシャに由来しています。珍しい例ですね。命名者はシーボルトとツッカリーニです。



“紅葉”(こうよう)と聞いて一般的に思い浮かぶのは「もみじ」と「カエデ」です。「もみじ」は、秋から冬にかけて葉の色が変化する樹木全般を指す総称で、それらの樹木は基本的にムクロジ科カエデ属に分類されます。つまり、植物学的に見ると、もみじはカエデの一種で、一般的に同じもののことを指しているのです。日本の紅葉を代表する「もみじ」ですが、意外なことにモミジ属というのは存在しないのです。「もみじ」という名称は日本独特のもので、その語源は古代の人々が草木の葉が赤や黄色に変わる様子を「もみづ」という動詞が用いられ、それが転じて「もみじ」と呼ぶようになったと言われています。



フイリアオキは、 艶のある大きな葉に、様々な斑の入ったアオキはガーデニング用の低木として人気が高いです。 雌雄異株ですが、雌株の場合は冬に赤く色づく実も楽しめます。星斑の品種が普及していますが、外斑や葉型の異なるものなど多くの品種があります。フイリアオキは、斑入りで光沢のある葉で知られる活発な常緑低木であり、最小限の剪定で繁栄します。 形状を維持し、より密な成長を促進するためには、植物が休眠する冬の終わりに軽く剪定することが重要です。死んだ枝や損傷した枝を取り除き、密集した部分を薄くすることで光の透過と空気の循環を改善します。



イチョウは中国原産の樹木で、生長すると30mもの高木になります。晩秋に葉っぱが黄色く色づき、冬は落葉します。雄木と雌木があり、それぞれ雄花もしくは雌花のみを咲かせます。ひとつの木に両方の花は咲きません。雌花は花後に種子を付け、秋になるとオレンジ色に熟して落ち、悪臭を放ちます。非常に生長が早く、燃えにくくて大気汚染や寒さに強く、ばっさりと枝を切ってもよく芽吹いて木の大きさを調整しやすいので街路樹や公園樹として広く植えられています。園芸では庭木や鉢植え、盆栽に利用されます。



モチノキは、東北地方南部以西の本州、四国、九州及び沖縄の山地や海辺の林内に自生するモチノキ科の常緑樹です。派手な庭木が増えた現代においてその知名度は低いものの、日本庭園には欠かせない植木であり、モッコク、モクセイと共に「庭木の三大名木」とされています。日本のほか朝鮮半島の南部や中国の暖地に分布しています。雌の木に赤い実ができること以外は年間を通じて変化が少なく、庭の背景を作るために使われることが多いです。幹が太くて風格のあるものは主木として使われることもあります。



ジニアはヒャクニチソウ(百日草)とも呼ばれています。 ヒャクニチソウというと、昔ながらの盆花、供花のイメージがあるかもしれませんが、ジニアと呼ばれて花壇やコンテナなどに適した矮性の品種がたくさん流通しており、ガーデニング素材として人気があります。ジニアは、キク科ヒャクニチソウ属の一年草です。原産地はメキシコや南北アメリカです。花色は白や赤・ピンク・オレンジ・黄色などで、品種によって一重咲き・八重咲き・絞り咲きなどさまざまな花姿をしています。生長したときの草丈は15~100cm程度です。ジニアを育てる土 ジニアは水はけがよく、有機質が豊富な土を好みます。 地植えで育てる場合は、もともとの土に堆肥と腐葉土を混ぜて、よく耕しておきましょう。 鉢植えの場合は、市販の草花用培養土でも十分育ちます。



メキシコヒナギクは中央アメリカ原産の多年草ですが、日本にも広く帰化しています。花色は咲き始めは白色ですが徐々に赤色に変化するため、白い花を平家の旗、赤い花を源氏の旗に例えたゲンペイコギク(源平小菊)の名もあります。メキシコヒナギクは中央アメリカと南アメリカの一部で自生しており、アジア、ヨーロッパ、オセアニア、アフリカの一部を含むさまざまな地域に導入されています。メキシコヒナギクはその装飾的な特性で評価され、特定の地域で栽培されています。しかし、特にヨーロッパや太平洋地域では、侵入性のある植物と見なされることがあり、地元の植物と競合してネイティブの生態系に影響を与えることがあります。それにもかかわらず、メキシコヒナギクはその繊細な外観から庭園や公共の場所で人気のある選択肢であり続けています。



オレガノは地中海地方が原産で、シソ科ハナハッカ属の多年草ハーブです。和名では花薄荷(はなはっか)といい、ワイルドマジョラムと呼ばれることもあります。古代ギリシャやエジプトでは、肉料理や魚料理のほか、ワインの香り付けとして使われていました。料理以外でも香料や芳香剤、鎮痛剤など幅広く利用されていたようです。オレガノは香りが強く、ややほろ苦さを感じるスッキリさわやかな香りが特徴です。ただし、香りが強いため料理に使う際は、使用量に注意しなければいけません。なお、乾燥させると香りがアップすることから、一般的にはドライのほうがよく使われています。店頭では、乾燥させたオレガノを細かく粉砕したタイプと、パウダー状にしたタイプが並んでいます。



ヘリオプシス(キクイモモドキ)は宿根ヒマワリ(ヘリアンサス)と共に、姫ヒマワリと呼ばれています。有名な八重咲き品種の「旭(あさひ)」もヘリオプシスです。サマーナイトは一重咲きの人気品種で、濃い黄色の花びら、オレンジに染まる花心にチョコレート色の茎など、個性的で野性的な品種です。夏に咲くキク科の宿根草の多くは、黄色のお花を咲かせます。たいていは緑色の茎に緑の葉なので、サマーナイトのチョコレート色は良いアクセントになります。成長が早くよく伸びるので、梅雨時期の一番花は切り花として楽しむのもよいと思います。お盆過ぎには返り咲いたお花が楽しめるので、切ってお部屋に飾ってはどうでしょうか。



バーベナには約250種の野生種があり、主に南北アメリカの熱帯から亜熱帯に分布していますが、日本にもクマツヅラ1種が自生しています。花が少ない真夏の炎天下でも生育おう盛で、春から晩秋まで咲き続けます。本来多年草ですが、耐寒性がやや弱いことから、日本では園芸的に一年草として扱われる品種と、比較的耐寒性があって多年草となる品種とがあります。前者はタネで、後者はさし木でふやされています。3月から6月を中心にポット苗が出回り、さし木でふやす栄養繁殖系品種の多くにはラベルがついて、品種名が明記されています。草姿は茎がやや立ち上がるものと、横へ横へとほふくするものとがあります。ほふく性のものは栄養繁殖系品種に多く、暑さ寒さに強く、育てやすいです。



セイヨウニンジンボクは、花が少なくなる7月から、さわやかなスミレ色の花を咲かせます。生育旺盛で育てやすい落葉低木ですが、あまり栽培されていません。ハマゴウ属には約250種が含まれ、主に熱帯に分布します。日本にもハマゴウ、ミツバハマゴウが自生します。このなかで、寒さにも強く、花が美しいことから栽培されるのが、セイヨウニンジンボクです。花には芳香があり、葉にも香りがあり、開花期も非常に長いのが特徴です。樹高は3mほどになり、枝も広く張るため、栽培するには多少広い場所が必要ですが、開花時にはひときわ目立ちます。葉は、5~9枚の手のひら状になり、花のない時期でも楽しむことができます。なお、ニンジンボクの名は、この葉が、チョウセンニンジンに似ることに由来します。半日程度は日が当たる場所から日なたで、寒風が当たらず、水はけのよい場所であれば、特別な管理をしなくても、毎年よく花を咲かせます。



ヒマラヤユキノシタは、早春のまだ寒さが残る時期に、やさしいピンクの花を咲かせ、花壇を明るく彩ります。革質で厚みのある楕円形の大きな葉を地面に張りつくように広げ、どっしりとした安定感もあります。太い根茎が横に伸びて樹木のような形になり、年数を経るごとに風格も増します。ベルゲニア属は、東~中央アジアに8種があり、園芸品種が多数育成されています。ヒマラヤユキノシタという名前は、もともとはベルゲニア・ストラケイ(Bergenia stracheyi)につけられた和名ですが、現在は、交配種も含めてベルゲニア属全体がヒマラヤユキノシタと呼ばれています。



ユーコミスはギリシャ語で「きれいな髪の毛(髪飾り)」を意味し、花穂の頂部についている苞葉(ほうよう)の様子に由来しているものとされています。 また、その花姿から「パイナップルリリー」とも呼ばれています。ユーコミス属には10種類ほどがあり、アフリカ南部の夏季に降雨が見られる地域に自生しています。ユーコミス属には、ユニークな花姿と、直線的な草姿で園芸的に観賞価値が高い種類が多くあります。花だけでなく、葉に赤紫色や斑の入ったものもあり、開花までの期間も含めて長い期間楽しめます。コモサ種や、コモサ種とパリディフロラ種の雑種、特に亜種ポールエヴァンシーの雑種からなる園芸品種は花穂が大きく葉も雄大で、庭に植えるとたいへん存在感があります。花茎が長く花もちがよいので切り花にも向きます。



カラミンサは、白、ピンク、淡紫色の小さな花が柔らかい茎に群がって咲き、すがすがしいミントの香りを漂わせる宿根草です。葉はハーブティーとしても利用できます。耐暑性、耐寒性に富み、真夏は花が少なくなるものの、初夏から秋まで長期間開花します。性質は丈夫で、植えた翌年にはこんもりとよく茂ります。一般に、カラミンサというとネペタを指すことが多いですが、ほかに花の大きいグランディフローラやその斑入り品種が流通します。ネペタは、葉も花も小さく、切り花の宿根カスミソウのような添え花的な使い方ができるので、寄せ植えなどにも適しています。



シマオオタニワタリは熱帯を代表するシダ植物の1つです。この種は分類学の祖といわれているリンネによって記載され、その存在はずっと昔から知られていました。シマオオタニワタはアスプレ二ウムという観葉植物として、一般的に流通しています。熱帯アジア、太平洋諸島に分布するチャセンシダ科アスプレニウム属の常緑多年性シダ植物で、樹上や岩石などに着生して生活しています。あまり強い光を必要としない為、室内で楽しむ観葉植物としても最適です。葉の裏に胞子ができたら、湿らせたミズゴケなどに蒔くことで発芽させることも可能です。



ハクサンオミナエシは、別名「コキンレイカ」ともいいます。黄色い花が鮮やかなオミナエシの仲間です。オミナエシの仲間の中でも、標高の高いところに分布しています。亜高山帯の砂礫地などにみられますが、標高がやや低い岩壁で咲いていることもあります。葉は対生し、長さ3~10㎝、幅3~10㎝、掌状に3~5中裂し、先が尖っています。茎頂の集散花序に花冠の直径約5㎜の小さな黄色花を多数付けています。花冠の先は5裂し、基部にはスミレのような距があります。「オミナエシ(女郎花)」はスイカズラ科(またはオミナエシ科)の多年草です。 毎年6月~9月にかけて、小さな黄色い花をたくさん咲かせます。 高さ100cm前後の茎の上部に多数の小花が集まるように咲き、辺りに鮮やかな黄色が広がります。