ノウゼンカズラといえば中国大陸原産で、広い鐘形で明るいオレンジ色の花の印象が強いと思いますが、本種は北アメリカ大陸東部に原産する、同属のつる性落葉樹です。花冠は紅色が強く、中国原産のノウゼンカズラよりも細長いトランペット形をしています。花序がコンパクトにまとまり、萼筒が花冠と同様の橙赤色に色づくことも特徴です。中国原産のノウゼンカズラの結実は極めて稀ですが、本種は時おり結実する様子が観察できます。ノウゼンカズラ属 Campsis はノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラの2種のみの属です。両者の種間雑種も作出され、古典的な園芸品種「マダム・ガレン」などが知られています。いずれも、有毒成分ラパコールを含み、汁液が皮膚に付着すると炎症をおこすことがあります。なお、最近見かける機会の増えたピンクノウゼンカズラは、別属の Podranea 属に分類されます。
フェンネルは、古代ギリシャ・ローマ時代から食用や薬用に広く利用されてきたハーブです。すっくと立つ茎の先端に黄色の小花を傘のように広げる姿は、同じセリ科のディルとよく似ていますが、より大型の多年草で草丈が2mにもなります。似た香りをもつスパイスのスターアニス(八角、大茴香)との比較で、小茴香(ショウウイキョウ)と呼ばれることもあります。葉や茎にディルより甘みのあるすっとした香りがあり、羽根のように細やかな明るい緑色の葉は魚料理によく利用されます。堅くなる前の若い茎も、セロリのように食用にします。タネはハーブティーにしたり菓子やパンなどに使ったりするほか、漢方では生薬の「茴香(ウイキョウ)」として芳香性健胃剤に配合され、また、五香粉(ウーシャンフェン)という中国の香辛料にブレンドされることでも有名です。タネから蒸留した精油は、食品やリキュールの風味づけに使われたり、石けんや歯磨き粉などのトイレタリー化粧品に用いられたりします。
オオイヌノフグリは小さな青い花びらが印象的な春の野草です。秋に発芽し、雪や霜といった冬の厳しい環境にも負けずに、春の開花までじっと耐えるタフな植物です。茎や葉にはまばらに毛が生えており、茎が分岐して横に横にと広がるように花を咲かせます。オオイヌノフグリは日が当たるときだけ花を咲かせる一日花です。そのため花が咲いているのを見たい場合は、正午ごろの日が高く昇っている時間帯に探しにいくとよいでしょう。花は翌日にはしぼんでしまいますが、しぼんだ後に実ができます。熟すと種がはじけて飛び、周辺に芽吹いて増えていくのです。オオイヌノフグリはもともとヨーロッパが原産で、日本では明治のはじめ(1887年頃)に東京で発見されました。その繁殖力の強さから日本全国に広がり続け、空き地や道端などで見かけるなじみ深い植物です。現在では日本だけでなく、ヨーロッパからアジア、南北アメリカまで世界中に分布しています。オオイヌノフグリは4枚の花びらからなる小さな青い花を咲かせるのが特徴です。花の直径はおよそ7~10mmほどで、中央部分はやや白に近く、外に向かって青色の筋が目立ちます。花が咲く時期は2月~5月で、見ごろは3月です。高さは10~20cm程しかなく、地面いっぱいに広がるように咲き誇ります。鮮やかで小さな青い花はなんともかわいらしい印象です。
アゲラタムは、さわやかな涼感のある淡いブルーの花色と、ふんわりとしたソフトな質感が魅力の花です。サルビアやマリーゴールドなどとの組み合わせは相性がよく、花壇やコンテナなどでの利用が多いポピュラーな花の一つです。丈夫で花期が長く、分枝して次々と花を咲かせながら、こんもりと大きく茂ります。草丈15cmくらいの矮性種から80cm近い高性種、桃花や白花もあり、花壇後方の植え込みからマッス植えや縁取り、さらに切り花にしてフラワーアレンジにと、幅広く利用されます。アゲラタム属は、熱帯アメリカに40種ほどあり、沖縄などで野生化しているものもあります。栽培されるのは主に、カッコウアザミとオオカッコウアザミで、現在は花つきがよく、花がより目立つよう改良されたF1品種(一代雑種)の利用がほとんどです。オオカッコウアザミ(ムラサキカッコウアザミは涼しい季節の一年草で、よく花壇などで栽培されています。キク科カッコウアザミ属に属します。花は普通青色ですが、白色、ピンク色、紫色のものもあり、散房花序となり花びらは太いです。
ベゴニアの多くは、強い日差しが当たらず、湿度が高く、寒暖の差があまりない温和な気候の場所を好んで生育しています。厳しい暑さや乾燥地などはあまり適さず、熱帯や亜熱帯地域に原産する植物でありながら暑さや寒さにあまり強くないものが多いのが特徴です。もっとも多く分布しているのは、メキシコからブラジルにかけての中南米地域で、中国南部から東南アジアにかけての地域にもたくさんの原種が分布しています。レックスベゴニアの原種やセンパフローレンスの原種の中には零度近くなる場所で冬越しをするものがあったり、多肉植物化して半乾燥地帯で生育するものもあるなど、多彩な環境に適応して分布するものもあります。
オルレアは、ヨーロッパに自生するセリ科の一年草です。春から夏にかけて、美しい純白の花を咲かせ、それはまるで白いレースのようです。日本でのオルレアの栽培の歴史はまだ浅いですが、最近、急激に庭のアクセントとして栽培する方がふえてきました。純白のオルレアが庭にあると、それだけで明るくなります。また、切り花としての出荷も見られるようになりました。オルレアのみでも、カスミソウのように脇役としても使えます。
オルレアを花壇に植える場合は、10株以上まとめてコロニー状にすることをおすすめします。草丈は50cm前後になるので、株間は20~30cm程度とると、美しく見えます。茎は比較的硬くしっかりとしているので、切り花としても楽しめます。本来は多年草ですが、日本の暑い夏を越せないため一年草扱いとされています。
草丈は60cm前後で、細い茎を立ち上げてレースのような白い小花が集まって咲きます。
カシワバアジサイは、北アメリカ東部原産のアジサイの仲間(アジサイ属)です。アジサイ属の野生種は、アジア東部と南アメリカに約30種が分布しています。いずれの種類も木本ですが、低木から亜高木、つる性と変化に富んでいます。育てやすく、花の少ない初夏に開花し、花も美しいために世界で広く栽培されますが、品種改良では、日本原産のガクアジサイとその品種のアジサイ、ヤマアジサイが重要な役割を果たしてきました。そのほかにも、日本には、ツルアジサイ、タマアジサイ、ノリウツギ、コアジサイやガクウツギなどが自生し、栽培もされます。これらのアジサイに加えて、近年は北アメリカ原産で、育てやすく、花の美しい園芸品種が導入されています。カシワに似た形の5~7つに深く裂けた葉、円錐形の花房が特徴的なのが、カシワバアジサイです。花だけではなく、秋の紅葉も美しく、長期間観賞できるアジサイです。栽培も容易で、特別な管理も必要なく、一般のアジサイと同じように栽培できます。
一般的にケイトウと呼ばれるものは、炎のような鮮やかな花色で秋の花壇を彩り、古くから親しまれているなじみのある花です。ニワトリのトサカに似ていることから「鶏頭」と呼ばれ、花房の先端が平たく帯状や扇状に大きく広がり、これがよく目立つのが大きな特徴です。ケイトウの仲間、セロシア属には60種ほどがありますが、栽培されるのはこのなかの一種のクリスタータやアルゲンテアとその変種がほとんどです。セロシア属のケイトウの仲間は、大きく5つのタイプにグループ分けされます。一般的に「ケイトウ」と呼ばれているのは、以下の1~4のグループで、園芸品種も多くあります。一般的にケイトウと呼ばれるものは、炎のような鮮やかな花色で秋の花壇を彩り、古くから親しまれているなじみのある花です。
ニワトリのトサカに似ていることから「鶏頭」と呼ばれ、花房の先端が平たく帯状や扇状に大きく広がり、これがよく目立つのが大きな特徴です。ケイトウの花言葉は「気取り屋」「個性」「風変わり」「おしゃれ」です。
これらの花言葉はケイトウのユニークで魅力的な形状や色彩と、個性溢れる存在感を放っている様子にマッチしていますね! そのため、自分らしさを大切にする方や、オリジナリティを重んじる方へのプレゼントにケイトウを贈るのもいいかもしれません。
サフランは、秋咲きのクロッカスの一種で、もともとは染料、香料、薬用として多く栽培されていましたが、今は観賞用としても利用されています。パエリアやサフランライスの黄色は、サフランの3裂した赤色の雌しべから得たものです。球根は7月ごろから流通します。大きくて重いものを選びましょう。8月に植えつけると、マツの枝のような葉が出て、10月中旬から12月上旬には1球から2~3本の花茎が伸びて開花、その後葉がさらに長く伸びます。球根を入手したときにはすでに花芽ができており、あとは花茎が伸びて開花するのを待つだけです。今年限りの花として楽しむのであれば、球根を土に植えずに、皿や器に転がして、半日陰に置いておくだけで花を見ることができます。生薬名はサフランまたはバンコウカ(蕃紅花)といい,婦人薬として用いるほか,パエリアやブイヤベースなどの食用色素として利用します。サフランの花言葉は「過度をつつしめ」です。 古代ヨーロッパではサフランには、お酒の酔いを覚ます効果があると信じられていましたが、過度に使用すると神経が過敏になり歓楽の度を越えるようになることからつけられたといわれています。
シラー・カンパニュラータは、イングリッシュブルーベルと同じブルーベルの仲間ですが、イングリッシュブルーベルとは見た目が若干違います。楚々とした風情のあるイングリッシュブルーベルとは異なり、花が360度多めにつき、性質も健強で、香りもありません。学名は(ヒアシンソイデス・ヒスパニカ)で、別名スパニッシュ・ブルーベル。強い性質からイングリッシュブルーベルとの交雑が進み、純粋なイングリッシュブルーベルが激減しているといわれ、イギリスなどではイングリッシュブルーベルは保護対象になっています。園芸店では「シラー・カンパニュラータ(釣鐘水仙)」の名で球根が出回ります。丈夫で育てやすいので初心者にもおすすめな秋植え球根ですが、イングリッシュブルーベルを育てている方は交雑してしまいますので、近くには植えないようにしましょう。原産地では木陰に群生しています。半日陰~日向の水はけのよい場所に植えましょう。酸性土壌を嫌いますので、お庭では植え付けの2週間前までに苦土石灰などで酸度を調節しましょう。鉢植えでは一般的な培養土で大丈夫です。丈夫で、庭植えでは植えっぱなしでOKです。
シバザクラモンブランホワイトは、花色は白色。葉色は明るい黄緑色なので、遠目で見ると同じ白色の品種リトルドットより明るい感じがします。花の大きさは小振りですが、たくさん花がつきます。暖かくなると、一気に軸(茎)が伸びるので、梅雨時期には蒸れに注意してください。植え付けは、風通しの良いところがベストです。花は、やや細身、小振りで小さめですが、生育スピードが速いです。一般的に秋に狂い咲きを起こします。葉が、明るい黄緑色なので、遠目で見ると同じ白色の品種リトルドットより明るい感じがします。芝桜は冬になると葉の色が黄色っぽくなったり赤っぽくなったりします。これは枯れているわけではないので安心してください。春になると元気な花を咲かせますので、そのまま植えつけていただければ問題ありません。特に花が終わった後の刈り込み剪定は新芽の生長を促進して来年、きれいな花を咲きそろえるための重要な作業なのです。
ほったらかしにしていると、蒸れて茶色く枯れることがあるので注意しましょう。白色や青みがかった色の芝桜には、「燃える恋」、「きらめく愛」といった花言葉がつけられています。
シモツケ属は約70種が北半球の温帯に分布し、シジミバナ、ユキヤナギ、コデマリなど、多くの種が栽培されています。シモツケは日本、朝鮮半島、中国に分布する落葉低木です。和名は下野(しもつけ)の国(現在の栃木県)にちなみます。育てやすくて大きくならず、観賞期間もとても長い、特に初心者におすすめの花木です。初夏に、紅色の小さな花を枝先にたくさんつけます。花色や葉色が変化した園芸品種が多数あり、花のない時期でも、春から秋まで葉色の変化を楽しむことができます。シモツケは、バラ科シモツケ属の落葉低木です。 樹高は1m未満と小さいお庭でも育てやすく、春から秋まで葉色の変化を楽しむことができる鑑賞期間が長い樹木です。 初夏に綿毛のような小さな花を楽しめます。 耐暑性耐寒性ともに優れており、半日陰のシェードガーデンでも育つ庭木です。シモツケは本州から九州の暖温帯上部から温帯にかけて生育する落葉低木、尾根筋の岩場など、高木の生育しにくい場所に生育します。シモツケは日向~半日陰の幅広い場所で育てることができます。乾燥には弱いので、強すぎる日差しが当たるような西側の場所は避けてあげるようにしましょう。半日陰でも十分に成長してくれますので、シンボルツリーや樹木の下に植えるのも良いです。
シロタエギクに似たようなシルバーリーフがいくつか出回りますが、一番流通量が多いのが本種です。細かい白い毛が株全体に生えて銀色に見え、葉ものとして寄せ植えに用いられています。葉には切れこみが入り、新芽ほど葉色は綺麗です。株は間伸びしやすい性質があるので、美しい姿のまま維持したいなら時々切り戻したり挿し木して更新する必要があります。黄花を咲かせますが、株が弱るので切り取ることが多いです。高温多湿に弱いものが多い銀葉の仲間としては丈夫さで人気があります。少し乾燥した、日当たりのよい場所を好みますが、幅広い条件に耐えます。多少環境が悪くてもすぐに枯れませんが、そのかわり徒長したり葉色が悪くなります。株の姿を綺麗に保つためにも半日陰や湿った場所には植えない方がよいです。1年毎に挿し木で更新すると美しい姿を保てます。洋風の庭に合います。和風や自然風の庭にはあまり合いません。寄せ植えの脇役にピッタリです。丈夫な性質なので合わせられる植物が多いのも魅力。暑い時期は間伸びしやすいので、梅雨前に挿し木をして株を更新させると、秋にまた美しい姿を観賞できます。花壇に用いる場合は脇役だけでなく、リーフプランツとしてメインで使うことも可能です。
ヒペリカム・カリシナム(セイヨウキンシバイ)は、大きく鮮やかな黄金色の花びらと、花びらよりも更に長い雄しべが立ち上がってみえます。直径8cm前後の大きな花を6月頃から次々と咲かせ、7月頃までとなってはいますが、弊社事務所前のヒペリカム・カリシナムは初冬までポツポツと咲き続けていました。ヨーロッパ南部原産。耐寒性があり、成長しても草丈が30cm内外と矮性でよく分岐し、刈り込まなくとも自然に形が整うため、グラウンドカバープランツにもってこいの花木です。夏のあいだ、次々と黄金色の美しい大ぶりの花を咲かせてくれるヒペリカム・カリシナムは、和名を「セイヨウキンシバイ」とも言い、ヨーロッパ南部が原産。近縁種に、ビヨウヤナギ(美容柳)、キンシバイ(金糸梅)、ヒペリカム・ヒデコート等があり、どれもオトギリソウ科なので、草花のオトギリソウによく似た花が咲きます。特にビヨウヤナギにそっくりで、ぱっと見判りづらいのですが、葉の大きさや形、蕾の形等が違います。また、花屋さんで「ヒペリカム下さい」と言うと、アレンジに用いるヒペリカム・アンドロサエマムであることが多く、これも同じく近縁種です。花後の赤くて可愛い実を使います。
クレオメは花が少なくなる真夏にも元気によく開花します。風に蝶が舞うような花姿からセイヨウフウチョウソウの名がつきました。太くて長い雌しべと、さらに長い雄しべが突出している姿がユニークです。1輪の花の寿命は短いですが、毎日先端に向かって咲き進み、夏の間長く花を楽しめます。蕾から咲き始めは濃い色で夕方には薄くなるので、花序の全体で見るとまるで咲き分けしているようです。こぼれダネでもふえ、育てやすい草花です。セイヨウフウチョウソウ(西洋風蝶草)は観賞用に庭植えや鉢植えで栽培されます。明治時代の初期に渡来し、花の姿が風に舞う蝶のようであることから和名がつけられましたが、旧属名の「クレオメ」で呼ばれることがよくあります。北海道美瑛町にある四季彩の丘は、一面に咲くセイヨウフウチョウソウ(西洋風蝶草)を観賞できるスポットとして有名です。鉢植えの場合は、一般的に週に一回水やりが必要です。あるいは、表土から3センチメートルの土がよく乾いたら鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりします。
ツキミソウという植物名は可憐な響きがあり、竹久夢二の詩や太宰治の小説から親しみを覚えてきた人も多いでしょう。しかし、植物学上のツキミソウと私たちが思い浮かべるツキミソウでは別物なことが多いといえます。まず、ツキミソウと総称して呼んでいる一連の植物のうち、夕闇が迫る頃開花し、朝萎んでしまう黄色花の植物は日本に5種ほど存在し、これらの植物が混同して呼ばれていることが多いようです。それぞれの特徴を簡単に紹介すると、マツヨイグサ(南米チリ原産の多年生草本)、メマツヨイグサ(北アメリカ原産の二年草)、コマツヨイグサ(北アメリカ東南部原産の二年草)、ツキミソウ(北アメリカ原産)、そして歌や物語の題材としてよく登場するオオマツヨイグサ(北アメリカ原産でヨーロッパで生まれた園芸種)になります。いずれもアカバナ科の植物で、類似植物は世界に約20種生育しています。月見草は花弁が白く、夕方に開花するので、これを夕月に例えて詠むこともあるようです。月見草関連はいずれも観賞用として日本に導入されましたが、繁殖力が旺盛なこともあり各地に広がりました。
ヤブカンソウは、土手や野原、林縁などの日当たりの良い場所に多く生える多年草です。 地下茎で横に広がっていくため、しばしば群生します。 従来はユリ科に分類されていましたが、DNA解析をもとに分類が見直された結果、現在はススキノキ科になっています。6月から9月ごろ、数十センチメートルほどの茎がのびて、その先に直径8センチメートルほどの大きなオレンジ色の花を咲かせます。雄しべが花びらに変化して、八重咲きの花になります。果実はできません。葉は先がとがった細長い形で、その長さは50センチメートルにもなります。冬になるといったん葉は枯れますが、春になると再び芽吹いてきます。この新芽は茹でるとぬめりがあって美味しく、山菜として人気があります。同じ仲間のノカンゾウは芽吹きの段階ではヤブカンゾウとの識別が困難ですが、同様に食べられます。
ボケは、庭木や盆栽、生け垣、切り花として観賞され、200を超える品種が栽培されています。また、観賞だけではなく、香りのよい果実を使って果実酒やジャムをつくることができます。ボケ属は、日本原産のクサボケ、中国のマボケとボケの3種からなる落葉低木類です。ボケの渡来時期は、平安初期以前であるとされます。元禄年間(1688~1704年)の園芸書には、淀ボケや八重ボケなどの多少の品種が記録されている程度で、明治時代にもほとんど園芸品種は発達しませんでした。その後、大正時代に、新潟県新潟市と埼玉県川口市を中心としたボケのブームが起こり、‘東洋錦’や‘日月星(じつげつせい)’が作出されました。さらに昭和40年ごろから、数多くの品種が発表されるようになり、ボケの第二次ブームが起こりました。
ノウゼンカズラはノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属に属する落葉性つる性植物です。7~8月にたくさんの花をつけますが、それぞれの寿命はとても短いために生花としての流通はとても少ないとされています。ノウゼンカズラはその色鮮やかな特徴からフラワーギフトとの相性が高い植物です。しかし、寿命が短く楽しめる時期はほんのわずかであることから、鉢花で贈るのが良いといわれています。赤や黄色、ピンクなどの色とりどりの花が楽しめるため、夏の訪れを待ち遠しく感じる人も多い植物です。ノウゼンカズラには「豊富な愛情」といった花言葉があります。これは西洋の伝説にちなんでいます。ノウゼンカズラは地を這う植物でした。その妖艶な特徴に松の木は一目惚れしてしまいます。松の木は思いを抑えきれず、ノウゼンカズラにプロポーズします。ノウゼンカズラは快く松の木の求婚を受け入れ、松の木にすがりつくようにツルを這わせ、色とりどりの花をつけました。しかし、ノウゼンカズラはつる性植物です。松の木以外にもさまざまな植物につるを這わせることから、松の木はそんなノウゼンカズラに激しく嫉妬してしまう、といったお話です。
バイカウツギは、初夏に白い花を咲かせる落葉低木です。枝分かれして生長し、ブッシュ状の樹形になります。日本では本州以南の山野に自生しています。バイカウツギは、やや湿り気のある通気性の良い肥沃な場所を好みますが、乾燥する場所や粘土質の土壌にも耐える力があり丈夫で育てやすい樹木です。花は見た目も香りもとても爽やかで、切り花としても人気があります。バイカウツギは花の形が梅の花に似ていて、枝が空洞なことや枝葉の特徴がウツギに似ていることからバイカウツギという名前が付きました。中国では、山梅花と呼ばれています。バイカウツギの英名のMock orangeとは「オレンジまがい」という意味で、花がオレンジに似た香りがすることから付きました。バイカウツギの花色は基本的に白ですが、まれに花びらの中心がピンク色のものもあります。また、咲き方には一重咲きだけでなく、八重咲きの品種もあります。日当たりと水はけが良い場所が適しています。半日陰程度まで適応しますが、日当たりは花つきに影響するので、できれば日当たりが良い場所に植え付けます。夏に強い西日が当たる場所は避けましょう。
スモークツリーは、ヨーロッパやヒマラヤ、中国に分布するウルシ科ハグマノキ属の落葉樹です。明治時代に日本に渡来し、庭木や切り花として普及してきました。青山花茂でも初夏の時期になると、アレンジメントや花束、活け込みなどの花材としてよく使っています。ふわふわとした柔らかな風合いが、アレンジに動きやアクセントを添えてくれる枝もの(えだもの)です。その見た目の通り、英名を「smoke tree」、和名を「ケムリノキ(煙の木)」と言い、ふわふわとして煙を巻き上げているように見えることから、この名が付けられました。この他にもハグマノキ(白熊の木)、カスミノキ(霞の木)という別名もありますが、ハグマ(白熊)の毛で作られる仏具に似ていることや、霞がかったように見えることなど、いずれも見た目に由来しています。スモークツリーは5月中旬〜7月上旬頃に咲く初夏の花木(かぼく)ですが、どの部分が花なのかをご存知でしょうか。丸いふわふわとした部分を花だと思っている方もいるかもしれませんが、この部分は花ではありません。スモークツリーの本来の花は枝先につける3~5mm程度の小さな花です。この花を咲かせた後、花柄(かへい)という雌木の軸の部分が長く伸びて綿毛のような見た目と触感になるのです。これは、種が遠くに飛ぶように進化したもので、花柄の先についた種を遠くに飛ばす役割を担っています。
ハナトラノオの花言葉は「希望」「望みの達成」です。これらの言葉は、ハナトラノオが持つ力強く、前向きなイメージから由来しています。ハナトラノオは一番下から順番に花を咲かせていきます。最後に頂上の花を咲かせることから、「希望」や「望みの達成」という花言葉が付けられたとされています。ハナトラノオの花言葉には怖い意味は含まれていません。とてもポジティブな花言葉がついているため、入学式や卒業式など、お祝いのシーンにもおすすめのお花です。ハナトラノオは、シソ科カクトラノオ属に属する多年草で、北アメリカが原産です。長い花穂に沿って多数の小花が密集して咲くのが特徴で、まるで虎の尾のような見た目をしています。暑さ寒さに強く、四季のある日本の気候に合うため河川敷や道ばたなどによく自生しています。とても丈夫で、放っておいてもよく咲き、花持ちが良いため切り花にもよく用いられます。ハナトラノオの名前は、その花穂が虎の尾に似ていることに由来しています。また、学名「Physostegia
virginiana」は、ギリシャ語の「physa(膨らむ)」と「stege(カバー)」から来ており、花の形状を表しています。「希望」と「望みの達成」という花言葉を持つハナトラノオは、新しい門出や目標に向かって努力している人への贈り物にもぴったりです。この美しい花と共に、心からのエールを送りましょう。
ハマダイコンは日本の沿岸部の砂地や河原に自生する、アブラナ科ダイコン属の越年草です。栽培用の大根が野生化したものというよりも、外来種の野生大根が帰化植物となったと考えられているようです。草丈は30~70㎝ほどで、春に伸びた花茎の先に菜の花に似た薄紫色から白色の花を咲かせます。花びらは4枚です。群生していることが多いので、一面にハマダイコンが咲き誇っている景色に出会うこともあります。葉や花は野菜の大根にそっくりですが、根は太くなりません。ハマダイコンの根は細くて繊維質が多く、野菜の大根のように美味しいものではありませんが、おろすと大根おろしよりさらに辛い大根おろしになると言われています。咲く前の花芽はお浸しに、葉は塩漬けや炒め物に使えたり、種子も食べることが出来るようです。ハマダイコンは別名野大根とも入れることがりますが、ハマダイコンと野大根は別の種類になります。しかしどちらもアブラナ科ダイコン属になります。ハマダイコンの変わっている性質としては根が張りやすく水持ちがよく栄養が溜まりやすい土ではなく砂地を好みます。
ヒペリカム・カリシナム(セイヨウキンシバイ)は、大きく鮮やかな黄金色の花びらと、花びらよりも更に長い雄しべが立ち上がってみえます。直径8cm前後の大きな花を6月頃から次々と咲かせ、7月頃までとなってはいますが、弊社事務所前のヒペリカム・カリシナムは初冬までポツポツと咲き続けていました。ヨーロッパ南部原産。耐寒性があり、成長しても草丈が30cm内外と矮性でよく分岐し、刈り込まなくとも自然に形が整うため、グラウンドカバープランツにもってこいの花木です。夏のあいだ、次々と黄金色の美しい大ぶりの花を咲かせてくれるヒペリカム・カリシナムは、和名を「セイヨウキンシバイ」とも言い、ヨーロッパ南部が原産。近縁種に、ビヨウヤナギ(美容柳)、キンシバイ(金糸梅)、ヒペリカム・ヒデコート等があり、どれもオトギリソウ科なので、草花のオトギリソウによく似た花が咲きます。特にビヨウヤナギにそっくりで、ぱっと見判りづらいのですが、葉の大きさや形、蕾の形等が違います。また、花屋さんで「ヒペリカム下さい」と言うと、アレンジに用いるヒペリカム・アンドロサエマムであることが多く、これも同じく近縁種です。花後の赤くて可愛い実を使います。
ヒペリカム・ヒドコートは、中国原産のキンシバイの園芸種で、大輪金糸梅(タイリンキンシバイ)とも呼ばれるオトギリソウ科の半常緑低木です。キンシバイより大輪の黄色い花が初夏に株一面に開花します。刈り込みにも耐え、手入れも簡単なため、公園などの公共空間、街路樹の足元の低木としてなど、日本全国、様々な場所に植栽されています。同じ季節に咲く花は、アジサイを代表としてブルー~紫~ピンクなどの花が多い中で、黄色い花はとても目立つ存在です。ヒペリカム・ヒドコートの花は茎先に数輪の花がつくので開花時はとても華やかです。その花がいっぺんに咲くのではないため、開花期間も長いのが特徴です。ヒペリカム・ヒドコートのヒドコートは、イギリスの有名なガーデン、「ヒドコート・マナー・ガーデン」の庭を造ったローレンス・ジョンストンが中国から持ち帰り広めたことにちなみます。ヒペリカム・ヒドコートの葉の特徴は、十字対生であることです。十字対生とは、対についている葉が(対生)次の葉と互い違いの向きにつくため、上から見ると十字になっている葉のつき方をいいます。同じ季節に咲く花、ビヨウヤナギは、植物分類的には同じヒペリカムで開花時期も同じです。両者は、遠方からだと背丈や花の大きがが似ていて見分けにくいかもしれませんが、近づくと見分け方は簡単です。
シャラ(沙羅)、ヒメシャラは(姫沙羅)は、ツバキ目、ツバキ科、ナツツバキ属、の落葉高木で極めて近しい樹木です。自生地もシャラが宮城県以西の本州、四国、九州、ヒメシャラが神奈川県以西の本州、四国、九州等と似ています。樹木の特性としては、6~8月に椿に似た白色の小花を咲かせる、葉は楕円形で小さめ、秋には褐色の実を着ける、などです。庭木としての特性を付け加えると、落葉樹としては比較的暑さに強い、半日陰にもある程度対応できる、スッキリ系の樹形で株立に仕上げることも多い、成長が比較的遅く樹形が乱れにくい、と言った点を上げることができます。なお、シャラ、ヒネシャラの違いは、後者の方が花期が若干遅い、花が小さい、幹の赤みが強い、幹の表面が若干ザラつく、より大きく成長するなどを上げることが出来ます。特に、名前の感じでは、ヒメシャラの方が小型の樹木であるように感じますが、樹高15m以上×幹の直系90㎝以上の大木となることもあります。しかし、シャラはそれほど大きくはなりません。もし両者を夫婦に例えるなら「ノミの夫婦」と言えます。なお、シャラ、ヒメシャラは、樹木名としては本来、ナツツバキ、ヒメナツツバキと呼ぶべきだと思います。シャラ、ヒメシャラは仏教用語(名)であるからです。ただ、そこには多くの興味深いエピソードが隠されています。
クロコスミアは、モントブレチアやヒメヒオウギズイセンの名前で 古くから栽培され、親しまれている花です。細長い剣状の葉が群生し、夏に色鮮やかな花が穂になって咲きます。性質が強く、よくふえるので、野生化したものが各地で見られます。クロコスミア属には7種があり、地下には球根(球茎)があり、地下茎を伸ばして、その先端に新しい球根が毎年1個ずつできてふえていきます。これが3~4年分くらい枯れずに残るので、団子が連なっているように見えます。冬は休眠する春植え球根ですが、植えっぱなしでほとんど手がかかりません。丈夫な宿根草として扱われ、緑化材料としても利用されています。多年草で原産地は南アフリカ。草丈は40~150cm、開花期は6月~8月で赤,オレンジ,黄,複色の花を咲かせる。寒さには弱く暑さには強い。落葉性で初心者でも育てやすいです。ヒメヒオウギは「姫檜扇」と書き、ヒオウギを小型にしたような可憐な姿が魅力です(ただし、ヒオウギとは属が異なります)。ヒメヒオウギは半耐寒性の秋植え球根で、夏は休眠します。日本へは大正期に入り、観賞用に栽培されてきました。暖地では、こぼれダネで自然にふえるほど丈夫です。
フェンネルは、古代ギリシャ・ローマ時代から食用や薬用に広く利用されてきたハーブです。すっくと立つ茎の先端に黄色の小花を傘のように広げる姿は、同じセリ科のディルとよく似ていますが、より大型の多年草で草丈が2mにもなります。似た香りをもつスパイスのスターアニス(八角、大茴香)との比較で、小茴香(ショウウイキョウ)と呼ばれることもあります。葉や茎にディルより甘みのあるすっとした香りがあり、羽根のように細やかな明るい緑色の葉は魚料理によく利用されます。堅くなる前の若い茎も、セロリのように食用にします。タネはハーブティーにしたり菓子やパンなどに使ったりするほか、漢方では生薬の「茴香(ウイキョウ)」として芳香性健胃剤に配合され、また、五香粉(ウーシャンフェン)という中国の香辛料にブレンドされることでも有名です。
タネから蒸留した精油は、食品やリキュールの風味づけに使われたり、石けんや歯磨き粉などのトイレタリー化粧品に用いられたりします。葉とタネの両方を大量に欲しい場合は、花を咲かせないように花茎を切り戻して葉だけ収穫する株と、葉は収穫せずにタネをしっかり実らせる株を分けるとよいでしょう。フェンネルの花には益虫がたくさん引き寄せられます。庭に1株植えると、アブラムシを捕食するヒラタアブや、ヨトウムシを幼虫のえさにするジガバチなどがよく飛来します。こぼれダネでふえるほど丈夫なハーブで、堂々とした草姿は花壇で存在感があります。銅葉が庭のアクセントになる園芸品種ブロンズフェンネルや、株元が肥大する変種のフローレンスフェンネルなども栽培されます。
ブラックベリーは、ベリー類は冷涼な地域を好みます。信州の地形や気候は栄養価が高く甘みの強い、良質なブラックベリーを育みます。木イチゴの仲間で、実はラズベリーと同じように、種を包んだ小さな粒が沢山集まって一つの実になっています。ラズベリーと味も似ていますが、ラズベリーより比較的甘く、酸味が少ないのが特長です。ジャムやゼリーなどに加工されることも多いですが、生食することもできます。ブラックベリーは花床(芯の部分)が残ったまま収穫されるため、食べた時にそれを渋みや苦みとして感じることもあります。生は日持ちが悪いため、ご注文を頂いてからの収穫となります。また、ヘタを残して収穫し、傷み防止のため未洗浄の状態でのお届けとなります。ブラックベリーは黒々とした実で、色素であるポリフェノールの一種であるアントシアニンを特に豊富に含んでいます。その含有量はブルーベリーと同等かそれ以上だと言われており、適量を毎日摂取することで病気のリスクを減少させるといわれています。また、ビタミンCも豊富で、ブラックベリー100gで約20mgほど、つまり一日に必要な量の35%もの量が含まれています。他には、ビタミンE、エラグ酸、カリウム、マグネシウム、銅、食物繊維も含まれており、健康にうれしいフルーツです。
アベリアは、公園や道路沿いに数多く植栽されています。庭木としての利用はまだ少ないのが実情ですが、コンパクトで好みの大きさに剪定することができるうえに、花が美しいのはもちろん、斑入りなど、葉の観賞価値の高い園芸品種もあっておすすめの花木です。アベリアは、19世紀中期にイタリアで作出された交配種です。両親の長所である四季咲きといえるほど長い開花期や、半常緑でありながら寒さに強いという特徴を受け継いだ、優秀な園芸品種といえます。アベリアの野生種は、日本、中国、ヒマラヤ、メキシコに15種が分布する常緑、または落葉の低木で、日本には4種が自生しています。別名のツクバネウツギは漢字では「衝羽根空木」と書きますが、これはウツギに似た姿で、プロペラのように広がる5枚の萼が花後も残り、羽根つきの羽根のように見えることに由来しています。
葉と花の形から「マツバギク(松葉菊)」と呼ばれ、多肉質の細長い葉が密生し、キクのような花を咲かせます。マツバギクの名前で出回っているものは、メセン類(ハマミズナ科の植物の呼び名)のなかの主にランプランサス属のいくつかの種や交配種ですが、多種多様で似たようなものも多く、どこまでをマツバギクと呼ぶかは明確ではないようです。いろいろな種類が「マツバギク」の名前で流通し、品種名はなく、商品名がさまざまあります。ランプランサス属には180種ほどがありますが、まとまりに欠ける属で、苗の流通が多いのは花色が豊富な交配種のスペクタビリス種です。これは春咲きの半耐寒性常緑種で、低木状に育ちます。また、デロスペルマ属の一種クーペリーが、-15℃でも越冬するので「耐寒マツバギク」と呼ばれ、「レイコウ(麗晃)」や「花嵐山(はならんざん)」の名前で出回ります。這い性で開花期間が長く、6月から10月に濃い桃色の花を咲かせ、古くから土手など法面緑化に広く利用されています。デロスペルマ属には、春咲きの黄花種などもあり、品種の育成が進められ、最近は「砂漠の宝石」の名前で各色が流通しています。
ムシトリナデシコは、ヨーロッパが原さんのピンク色をしたお花です。花のすぐ下のくきの部分からベタベタとしたえきを出し、虫をつかまえることからこの名前がつけられました。ムシトリナデシコが虫を取るのは、食虫植物のように虫を食べるためではありません。ハエやアリなどの花ふんを運ばない虫が、みつをとるために下から入らないようにして、チョウやハチなど、花ふんを運んでくれる虫だけがみつをすえるようにするために、ベタベタしたえきで虫をとっているとされています。ムシトリナデシコは、全国のかせんじきや草地など、どこでも見ることができる野草なので、もし見つけたら、花の下にどんな虫がかかっているかかんさつしたり、どのくらいベタベタしているか触ってみたりすると面白いでしょう。シレネ属はおよそ300種類ほどあるとされ、こちらのシレネ・アルメリアは、和名でムシトリナデシコという名前で出回ることもあります。「サクラコマチ」は、シレネ・アルメリアの園芸品種です。淡い桜色の花がとても愛らしい人気の植物。茎や葉の一部がさわるとぺたぺたとしていて分泌液で虫を捕まえる性質があります。
ムラサキシキブは日本、中国、台湾、朝鮮半島に分布する落葉性の低木で、樹高は2m~3mになります。秋に光沢のある紫色の小さな果実を葉の付け根あたりにまとめてつけるのが一番の特徴です。赤い実をつける日本の樹木は多いですが、紫色の果実をつけるものはそうないでしょう。別種に丈が低いコムラサキがあり、庭木として広く普及しています。コシキブとも呼ばれます。コンパクトに収まって場所をあまりとらず、果実もみっしりと付いてボリュームがあり美しいので、ムラサキシキブより用途が広いように感じます。とりわけ庭木ではコムラサキを指してムラサキシキブと呼ぶことも多いです。実際はこの2種(ムラサキシキブとコムラサキ)と、それらの変種・園芸品種をまとめてムラサキシキブ(の仲間)としたほうがよいでしょう。属名のカリカルパはギリシア語で「美しい果実」という意味です。和名のムラサキシキブは由来に諸説あります。よく言われるのは「訛った説」と「植木屋説」です。ちなみに江戸時代の初期にはまだムラサキシキブの名はなく、「みむらさき(実紫)」「たまむらさき(玉紫)」と呼ばれていました。江戸時代の植木屋が平安時代の女流作家『紫式部』になぞらえて付けたともいわれます。ムラサキシキブと聞くと、率直にそちらの方をイメージするのが自然かもしれません。洒落たのか、イメージをよくする商品名とした名付けたかはよくわかりません。
マユミが属するニシキギ科のニシキギの名は、錦のような紅葉の美しさから名づけられましたが、その仲間のマユミも秋になると、茶色がかったオレンジ色に紅葉する、とても美しい落葉低木です。それにもまして美しいのが、朱色がかった赤色の四角い果実で、熟すと中から、紅オレンジ色の仮種皮(かしゅひ)に覆われたタネが現れ、落葉後も残ります。マユミは日本に自生する植物なので、栽培は容易で、病害虫もほとんどなく、日なたに植えれば、毎年美しい紅葉と果実を楽しむことができます。木の質は緻密で、粘りがあり、古くはマユミの木で弓をつくったことから「真弓」と呼ばれるようになったといわれます。現在でも将棋の駒などの材料として利用されます。
ギボウシ属は世界の温帯地域で栽培されている多年草です。野生種は東アジアの特産で、最も多くの種が分布する日本列島では各地に普通に見られます。海岸近くの低地から亜高山帯、湿原から岸壁まで生息環境も多様です。葉は根元にまとまってつきます。葉の幅はさまざまで、この葉は種類によって光沢のあるもの、つや消しのもの、白粉を帯びるもの、しわの目立つものなどがあります。また、多数の斑入りの園芸品種が育成されています。花茎は多くのものでまっすぐに、あるいは斜めに伸びて高さ15~200cmになり、白から淡紫色の花を多数咲かせます。花は一日花で、品種によって長さが3cmのものや15cmのものもあります。野生種では蕾のつけ根にある苞のさまざまな性質が、分類上の重要なポイントになっています。存在感のある日陰向きの植物として、もっとも適している植物のひとつですが、冬は地上部が枯れてしまいます。
ユリアザミは北米原産のキク科の多年草で、観賞用としてよく栽培されます。本種の渡来は大正末年でかなり古いですが,その割に栽培は増えていません。花期には花蜜を求めるモンシロチョウなどが群れ集まって壮観な様相を呈するので,夏の花壇にふさわしいです。1mを超えることもある高さの半分ほどの目立つ花穂をつけ、晩夏にピンクがかった紫色の花を咲かせます。この花はハチドリや蝶を引き寄せ、種子は鳥のエサとなります。和名ユリアザミは「百合薊」の意で,単一な茎と葉のありさまをユリに見立てたものと云います。ヒメキリンギクは「姫麒麟菊」で,キリンギク(麒麟菊)よりやや小形との意味です。キリンギクは北アメリカ原産の近縁種で,草丈の高いことからつけられた和名です。
ヨーロッパ原産で、ハーブではコモンヤロウと呼ばれ、花壇や切り花として栽培されたり薬用としても植えられてもいます。別名をヤロウ、アキレアとも呼ばれます。止血作用や健胃作用の薬効があり、古代ギリシャ時代から重要なハーブとして用いられてきました。草丈は60~80cm程で、茎は直立して上部で分枝します。2回羽状に鋸歯状に深裂した葉は互生。花期は6月~9月頃、白から淡いピンク色の小さな花を散房花序につけます。近年、赤色や黄色で花色の多様な品種があり、切り花やドライフラワーに利用されています。属名のアキレアは、ギリシャの英雄アキレスが、トロイ戦争の時、負傷した兵士達のために薬として用いたとも、ギリシャの医者アキレウスが薬用として最初に用いたからともいわれています。