アリッサムは地中海沿岸原産の多年草です。「スイートアリッサム」の名前でも親しまれています。小花がたくさん咲き、花束のようにこんもりと生い茂る姿が何とも愛らしい植物です。本来は多年草ですが、湿気に弱いため日本では一年草扱いをされていることが多いようです。環境にあえば多年草化することもあります。アリッサムは横に広がる性質を持つので、グランドカバーの他、寄せ植えや花壇に植える花として人気があります。カスミソウのように控えめで愛らしい花で、ピンク、白、紫、オレンジと様々な色があり、自分の好みや庭、プランターの雰囲気に合わせて選ぶことができます。最近では日本の夏にも耐えられる「スーパーアリッサム」という園芸品種も登場しています。
ツボクサは、山野の道端や広場に生えるセリ科の小型の多年草です。葉は根生し,直径2~5cm円形でスミレの葉を思わせます。葉の基部の腋(わき)から長い走出枝を地表にのばし,その先に新しい株をつくります。夏には葉の基部から短い柄のある小さい散形花序を出し,淡紫色を帯びた小さい花を数個つけます。花には5枚の花弁,5本のおしべ,2本の花柱があり,子房は下位で,左右から扁圧された球形で緑色の果実をつけ,熟すと2分果に分かれます。本州の関東地方以西,四国,九州,中国から熱帯域のインド,東南アジア,アフリカにわたって広く分布しています。マレーでは野菜の代用として食用にされ,東南アジア方面では葉をもんで傷口や皮膚のただれにはったり,下痢の薬として用いられることがあります。
アマチャヅルとは、日本全国に自生するウリ科に属する多年生のツル性植物で、朝鮮半島や中国、インド、マレーシアなどに広く分布しています。アマチャヅルは雌雄異株(しゆういしゅ)で、茎は他の植物などに絡み付くようにして成長し、茎の長さは約5mにもなります。葉は互生し、通常は5枚の小葉からなり、夏から初秋にかけて円錐状の黄緑色の小花を多数つけます。果実は直径6~8㎜の球形の液果で、熟すと黒緑色になります。アマチャヅルの葉の部分は薬用として使用し、天日干しした葉を刻んでお茶として古くから利用されてきました。アマチャヅルの名前の由来は、全草にアマチャ(甘茶)のような甘みがあることからこの名が付けられました。お茶にするとほんのり甘みがあり、飲みやすいのが特徴です。
カヤツリグサは、身近な場所にごく普通に生える1年草です。庭先や植木鉢の中に自然と芽生えてくることもあります。コゴメガヤツリやチャガヤツリなど、他のカヤツリグサ類とともにいっしょに生えていることもしばしばです。茎の先端から数本の「花序枝」がのび、その先に黄土色の穂をつけます。遠目になるとまるで線香花火のように見えます。また、葉と同じようなかたちの苞葉が、穂の下に数枚つきます。穂の鱗片は先がややとがった形をしていて、中肋と呼ばれる緑色の部分が少し突き出るのが特徴です。過酷な環境下に生えたものや、秋以降に芽生えたものは、10センチメートル以下の草丈で穂を出すこともあります。花序枝が出ないことも多く、茎の先にちょぼっと穂がつく感じになります。
ハーブでいうミントのことです。ミントには多くの種類があり、その変種も多く作られていて少なくとも30種以上はあるといわれ、品種の見分けは大変困難です。共通する形態と性質は、シソ科特有の四角い茎、芳香のある葉、葉腋に花をつけ草丈は50cm~1m近くになり、地下茎で容易に拡がる点です。香りはそれぞれで微妙に異なります。ミントはエジプトのピラミッド建設の頃には労働者の食事に用いられたり、防腐防止でミイラの下に敷かれたとの記録があるそうです。「医学の父」と呼ばれるヒポクラテスの医学書では、治療薬の中にミントを入れ健胃薬、気付け薬として処方されていることからも、ミントは古くから利用されていたことが分かります。ハッカ類は大別すると和ハッカとセイヨウハッカになり、セイヨウハッカはスペアミント系とペパーミント系に分けられます。
イヌタデは、日本全国の低地に分布するタデ科の一年草です。日当たりの良い道端や空き地、田畑の畔、草原等で普通に見られ、アカマンマという別名もよく知られています。香辛料となるヤナギタデと違って食用にならず、役に立たないタデ、という意味でイヌタデと名付けられました。日本以外では中国やマレーシアに自生しています。開花期間は6~11月と長く、その間、ポツポツと咲き続けますが、他の花が少ない秋にはよく目立ちます。花は長さ2mmほどの小さな円柱形で、枝先にできる長さ1~5cmの花穂に密生します。色は薄紅で花弁はなく、深く4~5つに裂けた萼だけがあります。
クルマバザクロソウは、熱帯アメリカ原産で、ほぼ世界中に広がっている1年草です。国内では、江戸時代末期に新潟県で初めて記録され、現在は全国的に広がっています。畑地や荒れ地に多く生えますが、砂質環境を好むため、河川敷や海沿いにもよく見られます。carpet
weedの英語名があるとおり、地を這うようにして生育は、まるでカーペットのように広がっていきます。茎の節々につく葉は細長く、数枚が放射状について見えるのが特徴です。株もとにもロゼット状の葉がつきます。夏から秋にかけて、直径3ミリメートルから4ミリメートルほどの小さな白い花を咲かせます。花びらは無く、5枚のがくが開いて花びらのように見えます。果実は熟すと果皮が3つに開いて、中から赤茶色で光沢のあるタネが多数顔を出します。
ヌルデは北海道から九州までの山野に生えるウルシ科の落葉小高木で、高さ5mほどに成長します。葉は枝先に互生して広がる奇数羽状複葉で長さは30cmほどあり、葉軸は小葉の間で翼を持っています。この特徴が、ウルシやハゼノキと区別する目印になります。ヌルデは花が咲いた後に、小さな平たい円形の核果を結びます。短い毛が密生している実が熟すと白い粉を一斉にふき、毛を固めて白い塊となります。この実をなめると、塩味と酸味を感じます。考古学者の藤森栄一氏は、古代において、これは海から遠い信州人の塩であったと推理しています。ヌルデの葉にはヌルデノフシムシが寄生して病瘤がよくできます。これを秋に採取して蒸し、中の虫を殺して乾燥したものは「膚子(ふし)」または「五倍子(ごばいし)」と呼ばれています。
エリゲロンはキク科の耐寒性宿根草です。雑草に分類されるハルジオンはヒメジョオンもエリゲロンの仲間です。園芸用として流通しているエリゲロンは、カルビンスキアヌス種です。小菊のような小さな花が初夏から秋まで長くたくさん開花します。性質はとても丈夫で広がるように生長していくのでグランドカバーや花壇の縁取りのような役割にも最適です。性質が強く環境にあうとこぼれ種でも増えていき、コンクリートの割れ目から発芽することもあります。エリゲロンは、ハルジオンやヒメジョオンの仲間で200種ほどがあります。主に北アメリカに自生し、日本では、高山植物のアズマギクなど数種があります。種類によって形態や性質は多種多様です。ガーデニングで利用の多いのは、メキシコからパナマ原産のカルビンスキアヌス種です。花径2cmくらいの小ギクのような花が長期間咲き続け、栽培も容易です。
ヌカイトナデシコ(糠糸撫子)は水はけの良い土壌で繁栄し、貧弱で砂質な条件に適応できるメンテナンスの簡単な植物です。適切な日光と最小限の水やりを確保することが重要で、ヌカイトナデシコ(糠糸撫子)は少ない水で繁栄するように適応しています。根腐れを防ぐために過度な水やりは避けてください。ヌカイトナデシコ(糠糸撫子)の強健さから、頑強な品種を好む庭師に適しています。
ガザニアは、勲章のように鮮やかな花を春から秋まで咲かせます。日光が当たると花が開き、夕方から夜や曇りの日は閉じる性質をもっています。鮮やかな色で光沢のある花弁は太陽に当たってキラキラと輝き、美しいものです。ガザニアは高温乾燥には強い一方、多湿には弱いので、本領を発揮する真夏前の梅雨どきに腐ってしまうことがしばしばあります。特にシルバーリーフの品種は蒸れに弱いので注意が必要です。耐寒性はさほど強くはありませんが、徐々に慣らせば、関東地方以西では戸外で冬越しすることも可能です。
デライレア・オドラータは南アフリカ原産のキク科のつる植物です。デライレア属の2種のうちの1つ(もう1種はデライレア・アパラデンシス)で、以前はセネキオ属にセネキオ・ミカニオイデスとして。 世界の一部の地域(米国)ではケープアイビー、他の地域(英国、アイルランド)ではジャーマンアイビーとして知られています。他の名前にこれは3メートルの高さに成長する蔓性の多年生草本植物です。多裂葉は、無関係のイングリッシュアイビーにいくらか似ています。もともとはトレリスやグランドカバーの観賞用植物として使用されていましたが、雑草であることに加えて侵略性が強いため、現在ではほとんど栽培されていません。
道ばたや野原など、いたるところにごく普通に生育している、頑丈で根の張りの良い多年草です。特に日当たりの良い場所を好む傾向があります。夏から秋にかけて、茎の先に緑色の花の穂をつけます。花の穂がつく部分の茎は白い毛が多く生える傾向があります。花後にできる果実には2本の刺があり、これがクリップのように服の繊維に引っかかってくっつきます。冬になると地上部は枯れ、根で越冬します。初冬のうちは、枯れた茎の中にある水分が凍結して、白く平べったい氷が皮を突きやぶって、にゅるっと伸びてくることがあります。また、枯れる前に葉が赤く色づくこともあります。
九州~本州の沼沢地やため池の湖岸など、湿ったところに群生する多年草です。花期は7~8月頃。草丈は40~70cmほどで、茎の基部は赤みを帯びています。茎はまっすぐに立ち、ほとんど枝分かれをしません。葉は細長い楕円形で、互い違いに生えます(互生)。無毛で先端は尖っています。茎の先に直立した総状花序をつくり、下部から順に花を咲かせます。花冠は直径5~6mm。地下茎を伸ばして増えます。トラノオとは、獣の尾の形に似た花序を持つことに由来し、湿地に生育する「沼虎の尾」の意味です。自然生態園で見られるオカトラノオとの相違点は、オカトラノオが日当たりの良いやや乾燥した場所に生育すること、花序が一方に傾直立した茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、白い花をたくさんつけます。
チドメクサとは、ウコギ科チドメクサ属に属する被子植物のひとつです。和名は、血止草といい、傷口にすり込むと血を止めてくれるところからきているとされています。チドメグサは湿ったところを好みます。道端や人家の近くに根を生やす植物になります。多年草のため、長い期間生え続け、茎を地中に伸ばすため除草も難しく特に芝の付近に茎をはやされると抜くわけにもいかず、除草剤を単純に薬剤を散布するわけにはいかない厄介な植物になります。生息地は、本州・四国・九州・沖縄・小笠原に分布されます。ですが、日本のどこでも見れる雑草とされています。日本列島の北の方面では、冬には枯れてしまうそうですが、先端だけは残していきます。湿気を好むため、水辺で観測されることが多いとされています。
ヘビイチゴという多年生植物は、ローズ科に分類され、日本はもとより東アジアや北アメリカにも生息しています。この地を這うように生え広がる植物は、イチゴと同じような形状をした赤い実をつけますが、一見してその違いが分かる特徴的な表面周りのくぼみが存在します。この植物の名称「ヘビイチゴ」は、その特徴から名付けられたわけではありません。実は、動物がその葉を食べると興奮状態になる現象から「ヘビ」が名前に導入されました。「苺」の部分は、果実がイチゴそっくりだという理由からきています。この彩り鮮やかな赤い偽物のイチゴに騙されて一口食べてみると、期待は裏切られ苦い味が口の中に広がります。それほど美味しいものではありませんが、一方で園芸愛好家の間ではその鮮烈な美しさから観賞用植物として人気があり、また、生薬の材料として利用されることもあります。
イノコズチは本州から九州に生育する多年草です。低地の森林や竹林などの日陰に生育することから、ヒナタイノコズチに対してヒカゲイノコズチとも呼ばれますが、ヒナタイノコズチも林縁などに生育するので生育立地だけでは区別はできません。植物体全体に毛がありますが、ヒナタイノコズチに比べてはるかに少なく、注意しないと毛があることがわからない程度です。茎は根元から分かれ、直立して高さ50cmを超えます。茎の上部ではあまり枝分かれしません。葉は対生し、長い楕円形で、ヒナタイノコズチに比べて端整で、ほとんど無毛。葉柄の付け根の部分には、茎に毛があります。花は8月から9月に咲き、葉腋から長さ10~20cmの穂状の花序を形成します。花軸には毛が散生しますが、ヒナタイノコズチに比べて少ないです。小苞の付け根に白色で半透明な付属体がありますが、ヒナタイノコズチに比べて大きく、目立ちます。果実は動物の体に付着して散布される、動物散布です。
ハイニシキソウはアメリカ原産の帰化植物です。世界の熱帯・亜熱帯に広く帰化しているといいます。道ばた、荒地などによく生えます。ハイニシキソウの茎は根もとから多くの枝を分け地面をはいます。葉は長さ4~8 mm、巾4.5~5.5mm、まるみをおび、上面の暗紫色の斑紋はない。果実は上から見ると正三角形で、径1.3mm、稜にそって長い毛がある。種子に深い横しわのあるのも特徴です。花期は夏~秋です。沖縄や小笠原ではほぼ通年。近畿以西の鉄道沿線や港付近の道ばたや空き地で見られます。
芝生に使用される芝には日本に自生する日本芝と海外から導入された西洋芝とがあります。日本芝にはノシバ、コウライシバ、ビロードシバ(キヌシバとも)がありますが、これらの呼称は全て流通名であり、正式な和名はそれぞれシバ、コウシュンシバ、コウライシバとなります。流通名コウライシバの和名がコウシュンシバ、流通名ビロードシバの和名がコウライシバと、非常に紛らわしくなっています。コウライシバ(高麗芝)にはノシバ(野芝)に近い大型のものから、ビロードシバに近い小型のものまでありますが、通常、葉幅が2mm以下の小型のものはヒメコウライシバ(姫高麗芝)と呼ばれ、コウライシバとは区別して扱われます。
スズメガヤは、世界の温帯から熱帯地域に約300種が分布していて、日本には10種ばかりがあるということです。全般に有用なものは余りないようでが、うちテフという種はエチオピアで食用されているということです。また、日本ではシダレスズメガヤという種が路肩の土止めに利用されているということです。その他の種は余り注目されていない、というよりしつこい雑草として邪魔者にされる植物のようです。一般にイネ科の植物は花も目立たず、見分けが難しこともあって、日常的に目にしていても気付かないことが多いのでしょう。
日当たりのよい草地にごく普通に生える1年草です。砂利道のわきや芝生広場の中で特によく見かけます。ヤハズソウ属に分類される植物は東アジアに2種類のみ(ヤハズソウとマルバヤハズソウ)です。2種類とも野田市内で見ることができます。茎は枝分かれしながら成長し、草丈10センチメートルから40センチメートルほどになります。茎には下向きの毛が多く生えています。クローバー(シロツメクサ)のように小葉は3枚ずつつきます。そのことから英名はjapanese
cloverと言います。8月から10月頃、葉のわきに小さな花を1個から2個ずつつけます。花後にできる果実はいわゆる「豆」ですが、さやの中に入るタネは1個のみで、あまり豆らしくはありません。果実のさやの先はツンととがっています。
タイトゴメ(大唐米)は日本原産で、ベンケイソウ科マンネングサ属の匍匐性多年草の野草です。日本の本州(関東地方以西)~四国、九州、奄美大島の海岸の岩場に群生して自生します(撮影場所は東北の酒田です。温暖化の影響で北上かも)。草丈5〜10cmです。緑色の葉は光沢がありぷくっと可愛らしい多肉質で密集して茎に互生に付きます。春から梅雨時に、茎先や葉腋から長さ4、5センチの花穂(集散花序)を伸ばし米粒大(直径.5〜1cm)の小さな黄色い五弁花を咲かせます。
乾燥に強く、丈夫で、匍匐して増えるので、ロックガーデンやタペストリーガーデン、ビルの屋上緑化など、グランドカバーや鉢植えにも使われます。
オニノゲシ(鬼野罌粟)の原産地はヨーロッパですが、今や世界じゅうに広がっています。小さな黄色いタンポポのような花を茎の先に次々と咲かせます。主な花期は春から夏ですが、季節に関係なくだらだらと咲き続ける傾向があります。日本在来種のノゲシと比べると、葉が硬くて光沢があり、縁は刺々しい姿をしています。名前の鬼もそんな姿が由来となっています。葉は茎を抱き、横から見るとぐるんと巻いているように見えるのが特徴です。茎に赤茶色の毛が生えるタイプをケオニノゲシ、毛の無いタイプをケナシオニノゲシ(狭義のオニノゲシ)と区別することもあります。
アジア原産で日本では北海道から九州まで日本各地の山野に生えるマメ科ハギ属の落葉低木です。各地の山野に生える高さ2m程に成長します。葉腋から長い花柄を伸ばし花をつけます。紅紫色の蝶形花で、翼弁の色は濃く、ほぼ竜骨弁と同じ長さで、少し内側に曲がります。長い葉柄があり、広楕円形の小葉は先端は円形です。花柄も長く、葉の間から花穂が突き出しているのが特徴です。秋の七草に詠まれているハギは本種と言われています。ハギの仲間は北半球に約60種ありますが、日本にはヤマハギに代表され、木として扱われる8種と、メドハギに代表される、草のハギ4種が分布しています。ハギという植物はありませんが本種が最も一般的であるため、単にハギという場合はヤマハギを示す事が多いです。
アブラガヤは、休耕田や湿地、溜池畔などの日当たりのよい湿った場所に生育する大型の多年草です。安定した湿原などよりも、攪乱を受ける湿地や、比較的遷移初期の荒れた湿った裸地などによく見られます。アブラガヤの名は、穂が油色で、油臭いことによるものです。根茎は短く叢生し、茎は高さ1~1.5mになり、質は硬く、基部の鞘は密に茎を包みます。葉は長さ20~40cm、幅5~15mm。花序は3~5個、頂生または側生し、数回分枝し、多数の小穂を密につけます。小穂は1~5個づつつき、卵形~長楕円形、長さ4~8mm、幅3~4mm、赤褐色。雌蕊柱頭は3岐します。鱗片は広倒卵形で、長さ約2mm。痩果は長さ約1mm、断面は扁稜形で、刺針状花被片は6個つき、糸状で屈曲し、長くちぢれ、先端にはまばらに上向きの小刺があります。
菊芋(キクイモ)は北米原産のキク科の植物です。草丈は2~3mにもなり、収穫前の秋口になると、菊に似た黄色い花を咲かせます。地下部には生姜に似たイモ状の塊根をつけます。日本へは、江戸末期から明治初め頃にアメリカより飼料用作物として導入され、第二次世界大戦後の食料難の頃には、作付統制野菜として代用食になりました。その後、特に普及することもなく忘れ去られていましたが、近年になりヨーロッパにおいて成分の研究が進み、非常に栄養価が高いことが判明しました。菊芋(キクイモ)の糖質にはデンプンは含まれておらず、イヌリンという多糖体により構成されています。菊芋の主成分であるこのイヌリンこそが注目される所以であり、様々な健康機能性を備えています。
エゾシロネは山地の湿地などに生える多年草です。細長い地下茎を持ち、群生します。茎は高さ20~40cmになり、全体に細い軟毛があり、基部は暗紫色を帯びています。葉は菱状卵形で鈍頭、薄く、ごく細かい毛があって光沢はありません。葉縁には鈍頭の鋸歯がまばらにあり、基部はくさび形、長さ2~7cm、幅1~2.5cmです。萼は長さ約1.5mmで5中裂し、裂片の先端は鈍頭です。花冠は白色で、長さ約2mm。雄蕊は2個。分果は長さ約1.5mm、扁3稜形で先端の前面に不規則な突起があります。
テッポウユリ(鉄砲百合)は、6~8月頃に細長いラッパのような形をした白い花を咲かせる日本固有の多年草(球根植物)です。背丈は50〜1m程で、花の先端が外側に反り返り、筒状になった花が横向きに咲きます。純白で凛とした優美な花姿はひときわ目につき観賞価値が高いです。甘い香りも特徴的です。奄美、沖縄諸島の海岸付近等で自生し、別名は、沖縄(琉球)に咲いているユリで琉球百合(リュウキュウユリ)といいます。テッポウユリ(鉄砲百合)は、茎の頂上に、ラッパのようなトランペット型の花が横向きに咲くのが特徴です。花弁が6枚あるように見えますが、漏斗状(ろうとじょう)といって、上が広くて下が細く花の根元がつながっていて筒状になっています。根元が繋がっている花を合弁花冠(ごうべんかかん)ともいいます。
イタリアンライグラスは、ウシの嗜好性や栄養価が高く、日本で広く栽培されている一年生の冬作飼料作物です。中でも九州地域は主要な産地で、全国の栽培面積(推定約6万ha)の約7割を占めています。一般的にイタリアンライグラスは10月から11月頃に播種し(従来作型、出穂する春季に収穫します。)輸入飼料価格が高水準で推移する中、家畜の餌となる国産飼料の増産は畜産経営の安定化のために喫緊の課題となっています。秋播き性のイタリアンライグラスを春播きし、収穫後の再生草をリビングマルチとして大豆を栽培すれば、農薬なしで粗蛋白質含量13~20%の飼料が乾物で約1000kg/10a得られます。本体系の雑草抑制力は強く、無農薬でも雑草の増加・拡散は生じません。
コヨメナは、秋に咲く野菊の代表といえる草花です。普通に道端で見かけるコヨメナです。密集して咲いてくれるので、見ごたえのある草花です。実際は秋に咲くコヨメナですが、種子島は温暖なところですので、場所によっては5月ごろから咲くコヨメナもあります。花びらは薄い紫色をしています。花びらの直径は3~4センチ前後で高さは30~50センチくらいです。花びらに近い葉には鋸歯はありませんが、下の方には粗めに鋸歯があります。花びらはやや後ろに反り返っているのが特徴です。葉は、同じ向きに単葉でつけたり、対生したものも見かけます。全般的に不規則的です。倒披針状楕円形で、長さは7~10センチ、幅は、1.5~2.5センチです。茎の中ほどより、縁に大きな鋸歯があります。
オリザ・ルフィポゴンは改良された稲の野生の祖先であり、その家畜化された子孫と類似した環境で繁栄しています。この植物は一貫した湿度を要求し、湿地の生息地を好む傾向があります。特別な注意点としては、根腐れを防ぎ、自然の熱帯条件を模倣するために温暖な気候を確保することが挙げられます。オリザ・ルフィポゴンは通常、慎重な水や温度管理のバランスが必要ですが、それ以外はさまざまな土壌に適応します。
ペラペラヨメナは、山野に普通に見られる多年草で、里地里山に生育する野菊の一つです。田の畔などのやや湿った場所を好み、地下茎を横に伸ばして群生します。
葉は互生し、長さ5~10cmで、やや光沢があります。 茎は上部で分枝して、高さ1m前後になります。名は葉が薄くペラペラで、ヨメナのような花をつけることからついたものです。ヨメナの名がつくがヨメナの仲間のシオン属ではなく、ムカシヨモギ属です。別名ペラペラヒメジョオン、メキシコヒナギクと云います。花卉としては源平小菊、無休菊、属名そのままのエリゲロンの名で流通しています。中央アメリカ原産で花卉として栽培され、野生化している長さ20-50cmになる多年草です。
シロバナサクラタデは北海道から沖縄まで、朝鮮から中国にも分布する多年生草本です。和名の由来はサクラタデに似ていますが、花色が白である為です。ため池の岸などのように常に湿っている場所に生育します。花の色が白いことと、花穂が細くて華奢な点は、良い区別点です。根茎は地中に長く伸びて枝を分け、茎は直立して高さ30~100cmになり、よく分枝します。葉は披針形で長さ7~16cm、やや厚味があり両面に短毛が生え、先はとがっています。基部はくさび形で葉柄は短いです。花には長花柱花と短花柱花との2型があり、長花柱花では花柱が長く、雌蕊柱頭は花被の外に出ています。
ムカゴソウは、山地のやや湿り気ある半日陰の斜面に生える多年性の地生ランです。明るい山頂部の草地などにはえる多年草で、群生しません。北海道(南部)、本州、四国、九州、琉球、伊豆諸島。外国では、モンゴル~熱帯アジアにかけて広く分布しています。地中浅く、球形をした2個の根と、細長い根とがあります。茎はやや細く、高さ20~45cmです。葉は広線形で茎の中部に3~5個が互生し、長さ8~20cm、幅は5~9mm位です。基部は茎を抱き、花は淡緑色で小さく、多数穂状につけます。花期は6~8月です。和名は地下のイモをムカゴに見立てたことに由来します。
トゲチシャはキク科の1〜2年草で、ヨーロッパの原産ですが、今ではほぼ全世界で見られるようです。学名を「ラクツカ・スカリオラ」といい、和名は「トゲチシャ」又は「アレチヂシャ」とつけられています。日本では1949年に初めて北海道で採集されましたが、現在は日本全域に広がっています。市街地や草地に多く、農耕地にはあまり侵入しないようですが、関西地方では道路の緑地帯や街路樹の植樹帯などに群生しています。茎は直立し、葉は無柄で基部は耳状に茎を抱いて、ねじれて垂直につき、葉身は羽状に深く切れ込むため、確かに形は面白いかもしれませんが、茎や葉に固い刺(とげ)があるので取扱いはやっかいです。なお、葉に切れ込みのない変種も帰化していて、「マルバトゲチシャ」という和名がつけられています。
ハナタデは、秋に白色~ピンク色の花を咲かせます。茎の先に多数の花がつきます。(よく似たイヌタデは密につき、ハナタデはややまばらにつきます。)森林の林床などに生えます。日本全土の山野の林内や林縁などのやや湿ったところに多いです。高さ30〜60cm。茎の下部は地をはっています。葉は互生し、卵形〜長卵形で、先は急に細くなり尾状にとがり、中央部に黒っぽい斑紋があるものが多いです。托葉鞘は筒形でふちに長い毛があります。花序は細長くのび、紅色〜淡紅色の小さな花をつけます。
すっかり「夏」という概念が狂ってしまった現代、秋とは呼べないかも知れませんが9月~10月に湿地を歩いていると一際目立つ花が咲く植物です。花はさほど大きくありませんが花穂に密集し、開花位置も高いので目に付きやすいということもりますが、よく見るとサクラタデ(シロバナサクラタデを含む)の名の通り形も綺麗で可憐な印象を受けます。この時期(9~10月)は非常に多くのサクラタデとシロバナサクラタデが開花していますが、比率に関しては地域差もあるのか後者が多い印象を受けます。身近な自生地は水田の畔や用水路周りの湿地ですが、除草剤が使用されると消えてしまい、放置されると他の背の高い雑草に負けてしまいます。自生するのに適切な居場所がないような印象も受けます。雑草でも苦労の種はあるものですね。秋のお散歩では格好の被写体です。
ツルドクダミは、タデ科に属するつる性多年草です。心形の葉がドクダミにやや似ていることによる命名ですが、ドクダミとは科のレベルで異なり、花の様子もまったく異なります。ですのでドクダミ特有の匂いは本種にはありません。江戸時代、長崎で薬用として導入され、その後各藩の大名屋敷などで栽培されました。当時は強精効果が信じられ、跡継ぎ問題への切り札として期待されて広まったようですが、実際にはそこまでの劇的な効果は無かったようです。そのような歴史的経緯により、現在でも各地の都市部、とりわけ城や屋敷のあった古くからの市街部を中心に、野生化したツルドクダミがしばしば観察できます。生薬名の何首烏(カシュウ)は、何という人物の首が烏のように黒くなった(=白髪が治った)という中国の故事伝承に基づく名称で、白髪や抜け毛の改善効果が古くより知られ、現在市販される多くの外用育毛剤にも配合されています。
アリタソウは熱帯アメリカを原産とし、世界各地に分布する1年草または(冬に枯れなければ)多年草です。日本に生息するものは、天正年間に薬用として渡来したものが逸出したといわれます。アリタソウは全体に特異な匂いがあります。高さは2m近くまで育ち、直立します。茎には稜があり下の方は木質化します。茎に毛が多いものはケアリタソウと呼ばれることもありますが学名は区別しません。葉は披針形で縁が波打ちます。多数分枝し、葉腋から花序を出します。花は4mm程度で非常に小さく、両性花または雌花です。種子は1mm以下で黒褐色で光沢があり、レンズ形です。アリタソウの全草を土荊芥(どけいがい)といい、煎じたものを止痛や駆虫に使います。
アレチノギクは南アメリカ原産の帰化植物であり、熱帯~暖帯に広く分布している。秋に芽生え、ロゼットで越冬して春から初夏に開花する1年草。明治の中頃に帰化し、一時ははびこったが近年は見ることが少なくなった。同属のオオアレチノギクにくらべ、草丈が低いので負けてしまったのではないかと思われる。画像は乾燥した放棄水田に生育していたものである。道ばたなどにも時折生育が見られる。中心から伸びた茎は30cmほどで花を付けて伸びなくなり、根本や途中から枝が出て伸びるので、多くの茎を持った草形となる。この点は主幹が明瞭で1.5mを越えるオオアレチノギクとの大きな違いである。頭花はオオアレチノギクよりも大きく、タル型である。葉はより切れ込みが大きい。