ba3ji3の植物園18

野の草木4


  



フサフジウツギは中国原産の栽培種で、時折野化しています。図鑑によっては、最初に野化しているのが記録された場所にちなむ、チチブフジウツギと記載されており、園芸的にはフサフジウツギあるいは属の学名を使ったブッドレアなどと呼ばれています。幹の高さは2~3mになり、株立ちになります。葉は対生で、表面は無毛ですが裏面には星状毛が密生して白いです。花は6月の後半から咲き始め、いったん盛りとなるが夏の終わり頃にも一部が咲き残ります。花は円錐状の花序を形成ていますが、上側に向いて咲くので下面には少ないです。



ロサルキアエやロサムルティフローラ、ロサセティゲラ、ロサセンペルヴィレンスなどをもとに様々な交配を行った系統です。親の野生種の強健さと枝の伸長力、花付きの良さを生かし、そこに様々な色彩や表情を加えていった系統です。長く伸び、広範囲を覆うつるバラに向きます。小さめの花が多いですが、それにより花を株いっぱいに咲かせ、場の雰囲気を変える力があります。広い庭で立体的にバラを見せたいなら、ぜひ取り入れて欲しい系統です。



ナス科の多年草です。北アメリカ原産の帰化植物で、日本全国に広く野生化しています。白や薄紫の花を咲かせ、ミニトマトとそっくりな実がなります(有毒なので食べられません) 鶴見緑地では山のエリア内の数カ所で見られます。ワルナスビ(ナス科)「スワンヒルの庭」にありますが、本園では牧野富太郎先生が経験したごとく、厄介な植物のため、さらに、外来生物法により要注意外来生物に指定されているため駆除しています。駆除しても駆除しても生えてくる植物です。



エノコログサは夏草を代表するようなイネ科の野草です。花穂はグリーンで3~7㎝くらい、ふわふわと毛でおおわれたように見える姿がかわいらしい植物です。草丈は小さなもので20~30㎝程度、大きなものは60㎝以上まで生長します。エノコログサは公園や空き地、駐車場の脇など身近な場所で見かけます。見た目のかわいらしさに反するような強健な野草で、アスファルトの隙間からも力強く生えてきます。放っておくとあっという間に繁茂してしまうため、ちょっと厄介な雑草としても扱われています。



ラズベリーとはバラ科キイチゴ属の1種です。果実はケーキの彩りにもよく使われています。ラズベリーの実は小核果が集まった集合果といって、小さな粒が集まって一つの果実の形を成しています。一般にラズベリーと呼ばれて流通している赤い実のなるラズベリーは、ヨーロピアンラズベリーか、アメリカンラズベリー、あるいはこの2種の交配種です。この2種の他にもブラックラズベリーや紫ラズベリーなどが存在します。ラズベリーは、昔からヨーロッパや北米で盛んに栽培されてきました。赤く瑞々しい果実は果物としておいしいだけでなく、見た目の美しさも相まって、日本でも人気の果樹となっています。



アリウム・ギガンチウムは、初夏に大きななボール状の花が開花する球根植物です。丸いポンポンのようで、どこかユーモラスな花です。巨大なネギ坊主を連想させるように、ネギの仲間です。別名「ハナネギ」とも呼ばれます。アリウムの仲間には大きさや花色、姿も多数の種類がありますが、ギガンチウムは大型種の代表的な存在で、切花にも利用されます。アリウムは多くの種類がある植物で、草丈、花色、花の形が多様です。中でもギガンチウムは大型種の代表のような存在です。つぼみの時点では直径5cm程度ですが、花の開花とともに直径は3倍程度のサイズになります。背丈も花のサイズも大きく、開花した姿はインパクトがあり、庭のフォーカルポイントになります。



ヒメジョオンはキク科ムカシヨモギ属の一年草です。開花時期には茎の上部が枝分かれした茎先に、キクに似た花をたくさん咲かせます。直径が2cmほどの可憐な花は、中心部の黄色い筒状花を囲むように小さな白い花びらが3列に並べるのが特徴です。また種類によっては、薄紫色の花びらを付けるものもあります。ヒメジョオンは大きいものだと1mを超える大きさまで成長します。根元付近に生える根出葉は卵形、茎に生える単葉は卵形~細長く先がとがった形です。いずれの葉も表面には細かい毛が生えており、縁はノコギリのようにギザギザとしています。ヒメジョオンが咲く季節は初夏から秋で、6月~10月ごろになるとその白い花を街中に覗かせます。ヒメジョオンは江戸時代末頃に日本へ持ち込まれた外来種で、北米が原産地です。渡来当初は観賞用として重宝されていましたが、明治初期には雑草化し、全国各地へと繁殖していきました。



草やぶや林縁などで、つるがぶら下がるようにして生えている姿をよく見かけます。街中でも道路沿いのフェンスや植え込みにからみついています。古株になると茎が木質化して何年も生きるため、草ではなく木とすることもあります。花は黄緑色で地味ですが、蜜が豊富なため、たくさんの昆虫がやってきます。花弁は5枚ありますが、短時間で散ってしまうことが多いものです。葉が細かく切れ込むタイプをキレハノブドウと呼ぶことがありますが、葉の形は株によってずいぶん異なるため、明確に区別できないことも多いようです。ノブドウの果実は、白やピンク、水色、青緑色、紫色などとてもカラフルで、その美しさから、活け花などにも使われています。しかし、ノブドウの果実の中には、ノブドウミタマバエという小さなハエの幼虫が中に入りこむことが多く、食べられません。そのためか、昔から有毒植物とも言われますが、毒成分の正体が分かっておらず、そもそも有毒かどうかも不明のようです。



いわゆる萩の仲間で、草原や荒れ地などに普通に生える多年草です。特に河川敷に多く見られる傾向があります。草丈は1メートル前後になり、茎全体に葉をびっしりとつけます。茎の下のほうは樹木のような質感になることもあります。夏から秋にかけて、枝いっぱいに小さな白い花を咲かせます。花の大きさは7ミリメートルほどで、白色ですが、中心付近に紫色の斑紋があります。同時に開かない花(閉鎖花)をつけることもあります。果実は平べったく、さやの中にタネが1個できます。古い時代に、筴(めとぎ)という占いに茎を使ったことから、その名が来ていると言います。筴に関係があるかは不明ですが、目処萩という字を当てることもあります。



ブタナとは、かわいそうな名前を頂いたものです。名前の由来はフランス名の「ブタのサラダ」を訳したものです。ヨーロッパ原産の帰化植物であり、在来のタンポポの花が終わった頃から夏までの比較的長い期間、タンポポと間違うほどよく似た花を咲かせます。タンポポ属は1つの花茎に1つの頭花がつきますが、ブタナは花茎が分岐して複数の頭花をつけます。花を咲かせている時期は、この性質に着目すると容易に同定できます。花茎には葉が付かず、地表面に葉を円形に展開してロゼットを形成しています。葉は地面に張り付く傾向が高いので草刈によっても残りやすく、すぐに再生して花を咲かせます。逆にいえば、春以降においても他の草本が生い茂らないほどの、荒地における生育に適応しているといえます。荒地や造成法面などで繁茂していることが多いです。



道ばたや河川敷、草やぶ、林縁などいたるところにごく普通に生えるつる植物です。多年草ですが、何年もたつと茎の下の方が木質化して、藤づるのようになります。葉を揉むと、顔をしかめたくなるような悪臭があることから、屁、糞の字を当てた名前がつけられました。一方で、花が可愛らしいことからサオトメカズラ(早乙女蔓)、花の真ん中がお灸をすえた後のように丸く赤くなることからヤイトバナ(灸花)の別名もあります。果実はまるく、熟すとカサカサになります。色は黄土色で光沢があり、長持ちするため、クリスマスリースなどの飾りにも最適です。ただし食用にはなりません。



サオトメバナは、日本全国に分布する、多年草です。つる性で、他の植物などに巻きついて成育します。花は長さ1㌢ほどの、筒状。内側は赤く、外側には白いフリルを付けた可愛い花なのにヘクソカズラとは、、、ちょっとお気の毒です。花や葉に傷を付けたり、揉むと悪臭を放つので、この名が付けられたようですが、手を加えなければ、悪臭はしません。花筒から出ている、糸のようなものは、雌しべの花柱。雄しべは、花筒の奥の方にあり、外からは見えません。小さな虫さんだけが、雄しべまでたどり着け、花粉だらけで花筒から、出てくるところを時々、目にします。



ナンバンカラムシは多年生の落葉低木で、古代から茎の皮が植物繊維として利用されてきました。現在は中国が主な生産地で、主に日本やヨーロッパの国々に輸出が行われています。カラムシに似ていますが、葉が大きく、円形に近い卵円形で先だけ長く尖っています。葉裏には綿毛が密生します。茎や葉柄には軟毛が密生しています。花は上部の葉腋に雌花序が付き、中程の葉腋に雄花序が付きます。栽培されたものが野生化したものだそうです。草刈りをするので あまり大きいのを見たことがありません。



雑草扱いなので刈り取ってしまいますが、放っておいたら安達ヶ原はキツネノマゴの群生地になるでしょう。花は小さく目立ちませんが、ともすると見逃してしまうような花です。淡紅紫色のキツネノマゴを見つけると、可愛い花なのになあと少し残念に思います。和名狐の孫は、花が終わって長く伸びた花の穂は狐の尾に似て、花が小さく孫のようであることが由来のようです。茎は四角で、下部は地をはい、途中から立ち上がってさらに枝分れします。草丈30センチほどで、葉は対生、卵形で表面に細かい毛が生えています。小さな花は一斉に咲かず下から順に咲く一年草です。近寄ってみると、唇形の花びらに白と紅色の可愛らしい模様があります。実は熟すと種をはじき飛ばし、翌年また芽を出すということを繰り返し殖えるのです。



白い、アブラナ科特有の4枚の花びらを十字につけますが、花の大きさは3mm程度しかないのでルーペやマクロレンズなどでよく見ないとしっかり見えません。大きな特徴は、花よりも実のほう。丸っとした平べったい実をたくさんつけます。「ぺんぺん草」の異名をとるナズナの仲間で、ナズナは三味線の撥に似た三角形の実をたくさんつけていきますが、こちらマメグンバイナズナはその実の部分が丸くて薄っぺらい円盤形なのです。ナズナと同じく、下の方から順番に花を咲かせ実を作りながら上へと伸びていくので、花は常に上の方にあります。花の下は実がびっしりついているのですが、ナズナよりもこの実が密にあって、そのボリューム感のため大きな株になるとかなりゴージャスに見えます。



ハイマキエハギは、地面に沿ってマットを形成する開花多年草です。 毛むくじゃらの茎とピンクから紫の花があり、アメリカ最南端とハワイ原産です。日当たりの良い草地や道端に生える多年草です。茎は多少有毛で分岐して地上を這い長さ10~30cm。葉は3出、小葉は長楕円形~倒卵形で長さ7~15mm程度です。葉の先端が凹んでいます。英語から翻訳-忍び寄るダニトレフォイルまたは 3花ベガーウィードとして知られる Grona triflora は、マメ科の植物です。トレフォイルとは三つ葉を表すドイツ語です。 日本では四葉がラッキーモチーフとして知られていますが、ヨーロッパでは三つ葉も古くから馴染みがあり、ラッキーモチーフのひとつです。



北海道南部以南~九州の各地に自生するクロウメモドキ科のツル性落葉低木です。山野のみならず道端や土手にも見られ、蔓を使って他の樹木に寄り掛かるようにして育ちます。日本以外では中国や朝鮮半島に分布し、漢名を「熊柳藤」と云います。乾燥させた蔓は杖になるほど硬く、かつてはこの蔓でカンジキ(雪の上を歩く履物)を作り、乗馬用のいわゆる「ヤナギの鞭」はクマヤナギでできていました。名前はその強さをクマに、新芽の雰囲気をヤナギになぞらえたことによるものです。開花は夏(7~8月)で、枝先あるいは葉の付け根から伸びた円錐形の花序に、黄緑色の小花を多数咲かせます。花弁は小さいですが花弁のように見える5枚の萼片があり、雄しべも5本あります。



カラスウリは日本の山野に自生するウリ科のつる性多年草です。山野でも街中でも見かけます。多年草なので毎年同じ場所で見かけます。つるを伸ばし、周囲の樹木に絡みついて大きくなります。秋になると赤く熟した果実をつるからぶら下げるように実らせます。カラスウリはこの実が有名で、花はあまり印象に残らないようです。カラスウリの花は、日が暮れると開花し、朝には閉じてしまう一夜花です。真白なレースのような不思議な花を咲かせます。カラスウリは雌雄異株ですが、花の見た目には雌雄の差はほとんどありません。カラスウリの名前はカラスが食べるからだと言われていますが、鳥がこの実を食べているところを見たことはありません。またはカラスウリの葉が大きく生育旺盛なので、絡みついた木を枯らしてしまうことから、枯らす瓜がカラスウリになったという説もあります。



メヒシバは夏生の一年草で、夏場の畑によく生える代表的な雑草です。春に出芽し、夏から秋にかけて大きく成長して穂を出し、そこからタネをつけ、冬までには枯れていきます。草丈は通常30〜70センチほどですが、周りに背の高い雑草や野菜があるとそれと競い合うような形で上にどんどん伸びていきます。漢字では「雌日芝」と書き、日当たりの良いところに生えるため、日芝とついたのではないかと言われています。また雌と書いているように、雄日芝(オヒシバ)も存在します。こちらはメヒシバに比べて葉や穂が大きい見た目からオヒシバとつけられたようです。ちなみにオヒシバはメヒシバに比べて、よく人が歩いて踏みしめたような硬い土地でも生えやすく、メヒシバはオヒシバよりも乾燥に強いという特徴があります。特に畑においてはメヒシバの発生の方がよく見られます。



イヌノヒゲは、北海道から九州、国外では朝鮮半島南部(韓国)、中国に分布する1年草で、日当たりがよく、やや貧栄養な湿地やため池の岸など、雨が降ると一時的に水没するような湿った場所に生育します。植物体の大きさは生育する環境によってかなり幅があり、葉は地際から叢生(根際から束のようになって生える)し、線状披針形で、長さ6~20cm、幅1~5mmです。葉脈はイネ科やカヤツリグサ科のような平行脈のように思えますが、葉を光に透かして観察してみると、7~9本の縦の脈に仕切りのような横の脈があって格子状となっているのがわかります。和名は「犬の髭」で、細く尖った総苞片(あるいは株全体の姿)の様子を犬のヒゲに例えたものとされます。現代では犬のヒゲはあまり意識されていないようで、イラストなどでヒゲが描かれているものはほとんどありませんが、江戸時代の頃の犬の絵をみると、はっきりした放射状のヒゲが描かれていることが多く、昔の人は犬のヒゲを現代人よりもはっきり認識していたことがうかがえます。



ノボロギクはヨーロッパ原産の1年草です。明治始めに帰化し、畑などの他、道路のほとりや植栽枠の中などに普通に生育しています。葉はつやがあって柔らかく、シュンギクに似た形です。新しい葉はクモ毛が密生していますが、早期に脱落します。脈上などには毛が残ります。花は真冬にも咲き、一年中見られますが、冬から春にかけて咲いているのがよく目立ちます。頭花は筒状花だけではないかと思いますが、確認していません。総苞片の先端が黒紫になり、三角形の模様に見えるのは特徴の1つです。図鑑では一年草と記してありますが、一年中見られ、一年中開花するというライフサイクルは、一年草でよいのか気になるところです。原産地の様子が知りたいところです。真冬でもしっかりと花を咲かせており、春以降の個体はやや大きくなって背丈は高くなります。しかし花や茎はだらしなく寝たり垂れ下がってしまうので、あまり茎は強くないようです。



ヒメムカシヨモギは北アメリカ原産の帰化植物で、日本には明治時代に渡来しました。帰化後急速に広まったようで、御維新草、明治草、世代わり草、鉄道草などの様々な名前で呼ばれてきました。オオアレチノギクとともに、各地の路傍、放棄畑、荒れ地などに生育し、高さ2mほどになって群落を形成します。オオアレチノギクよりも茎がしっかりしているようで、より草丈は高くなります。秋に芽生え、ロゼットで冬越する1年草(2年草)です。8月に花を咲かせるまではほとんど枝分かれせず、頂部ではたくさんの花序を形成して枝分かれします。


キク科の一年草です。メキシコ原産で、日本には明治時代に渡来したとされています。一般に「コスモス」と言うと本種または本種を基にした栽培品種を指します。野生種の花色はピンクで、一重咲きですが、品種改良によって、花色は白、赤、紫などが誕生し、舌状花が丸まったものや、八重咲きの品種も多く存在します。1900年代の後半には、玉川大学農学部育種学研究室にて、花弁が黄色い品種が作られ、今ではオレンジ色の花弁を有する品種も存在します。