ナガエツルノゲイトウは、ヒユ科に分類される南米原産の多年草です 繁殖力、拡散力が高く生態系や農業へ悪影響を及ぼす恐れがあることから「特定外来生物」に指定され、栽培や運搬等が規制されています。 令和3年10月時点で千葉県を含む、関東以西の21府県で侵入が確認されています。特定外来生物に指定されるナガエツルノゲイトウは、主に水辺で生息するヒユ科の多年草です。河川、水路、水田などで生息し、繁茂すると稲の倒伏、減収、機械の作業性の低下に繋がります。繁殖力、再生力が強く、大群落になると駆除は極めて困難になるため、まん延防止のためには早期発見・早期駆除が重要になります。特定外来生物に指定されるため、原則として飼養・栽培・保管・運搬は禁じられています。防除のための保管・運搬には手続が必要ですが、特例として手続が不要になる場合があります。
オトコエシは、北海道~九州の各地に分布するオミナエシ科の多年草です。日当たりの良い山地の林縁や野原などに自生し、秋の七草の一つであるオミナエシ(女郎花)によく似ていますが、白い花を咲かせる点が大きく異なります。別名はオトコメシ、シロオミナエシ、シロアワバナ、ツチナ、トチナなどがあります。日本以外では中国や朝鮮半島に分布しています。オトコエシ(男郎花)という名は、本種の茎がより太く、葉がより厚いことなど、全体に逞しい印象を持つことに由来します。現代的なネーミングではないですが、オミナエシとの雑種で薄紅色(あるいは淡い黄色)の花が咲く、オトコオミナエシなる現代的な品種もあります。開花は7~10月で、茎の上部に傘状の大きな花序を作り、そこに花冠が五つに裂けた白い小花を密生させます。花の後にできる果実には団扇型の羽根があり、風によって拡散されます。
北海道から九州まで日本各地の山野に生えるマメ科ハギ属の落葉低木。秋に咲く淡い紅紫の花を観賞するため、庭園や公園、川岸などに植栽され、「草」ではないですが「秋の七草」に数えられています。ハギの仲間は北半球に約60種ありますが、日本にはヤマハギに代表され、木として扱われる8種と、メドハギに代表される、草のハギ4種が分布しています。ハギという植物はありませんが本種が最も一般的であるため、単にハギという場合はヤマハギを示すことが多いです。ヤマハギの開花は8~10月です。花は直径1センチ程度の小さな蝶形です。派手さのないところが昔から好まれる所以ですが、花期は長く、満開がはっきりしないまま咲き続け、いつの間にか花が消えます。古来からハギの花の終わりは「花が零れる」と表現されています。
林縁や荒れ地に多く、旺盛につるを伸ばし、草木に覆いかぶさりながら成長します。冬は落葉しますが、つるは何年も枯れずに冬芽もできるため、草というよりは、フジと同じような「つる性の木」です。秋に赤紫色の花が咲き、風情があるために秋の七草のひとつに選ばれています。また、根からは良質のでんぷんが採れ、くず粉として料理にも利用されます。ただ量産ができないため、市販のくず粉の多くはイモデンプンによる代用品です。マントのように覆いかぶさる植物がつくる群落を「マント群落」と言います。クズのマントは人々には見た目が悪いと煙たがられますが、クツワムシなどさまざまな昆虫のすみかとして重要な役割を担っています。
彼岸花とは、ヒガンバナ科・ヒガンバナ属(リコリス属)の多年草で球根植物です。道端や人里に近い川岸、田のあぜ道などに群生し、夏の終わりから秋にかけて咲きます。彼岸花をよく見てみると、高さ30cm~50cmの長い茎に大きな花がポツンと咲いています。では彼岸花には葉はないの?
いえいえ、ちゃんとあります!彼岸花の大きな特徴は、一般的な花と少し違うその生態。彼岸花は球根から花が出てきて、その花が枯れた後に葉が成長します。だから葉がない状態で花が咲いているのです。花と葉を同時に見ることができない事から「葉見ず花見ず」と言われ、昔の人は恐れをなしたとか。実は冬から春にはちゃんと葉が繁り、花をつけない寒い季節にしっかり栄養を球根に貯えているのです。多くの植物は春に芽を出し、夏に葉を繁らせ秋に枯れますが、彼岸花はその逆。冬に葉を繁らせ春に枯れ、秋に花を咲かせます。
ヤブランは、日本各地の林床などで普通に見られる常緑性の多年草です。ほぼ一年中同じ草姿を保ち、性質が強く、丈夫で手のかからない植物なので、古くから緑化や造園の植栽材料として広く利用されています。耐寒性と耐暑性が強く、日なたから日陰まで幅広い環境に適応し、病害虫の被害もほとんど見られず、土質もあまり選びません。革質の細長い葉は、しなやかで堅く、8月から10月には長い穂を伸ばして、青紫から白色の花を咲かせます。ジャノヒゲに似ていますが、ジャノヒゲは青紫の実がなり、ヤブランは黒い実がなるので区別できます。ヤブラン属には5種があり、日本には、ヤブラン、ヒメヤブラン、コヤブランの3種が自生しています。斑入りや花色の異なるものなど20ほどの園芸品種があります。最もポピュラーで栽培や流通の多いのは、明るい黄色の縦縞が入る斑入りヤブランで、ゴールド・バンデッドとも呼ばれます。
ヨウシュヤマゴボウは、北アメリカ原産で、草丈が2メートルにも達するとても大きな多年草です。日本には明治時代に渡来し、現在は空き地などではびこっています。なおヨーロッパでは、庭のアクセントとして、園芸用に栽培されています。茎はさかんに枝分かれをしながら、旺盛に生育し、夏から秋にかけ、次々と花の穂を出します。花の直径は5ミリメートルから6ミリメートルほどで、花びらはありませんが、5枚の丸っこいがくが開いて、まるで小さな梅の花のように見えます。秋、まるでぶどうのような果実の穂ができます。見た目は美味しそうですが、有毒で食べられません。ただ、鳥は好むようで、タネは鳥によってあちこちに運ばれていきます。果実をつぶすと、赤紫色の汁が採れ、染料としても使われます。
マツバウンランとは、ゴマノハグサ科の植物です。国立環境研究所の「侵入生物データベース」にも載っています。海外から日本に入ってきて、その後日本の環境になじんだとされています。マツバウンランの最大の特徴は、繁殖力が強いということ。あっという間に広がるので、花の見た目はかわいいものの、雑草として扱われることが多いです。庭に入り込むと、駆除が面倒になることがあります。マツバウンランの繁殖力が強い原因には、花が咲いてから果実ができるまでの期間が短いということがあげられます。花が咲いている間に美しいからと見とれていると、すぐに種がまかれてしまい、気がつくと広がるので、注意が必要です。
茎も傘もない不思議なきのこ、オニフスベ。この姿、なんだかとっても癒し系ではないですか?フスベとは“こぶ”の意味。大きなこぶ状のきのこなので、このような名前がついています。夏から秋にかけて庭の隅や果樹園、草地などに発生します。大きさは30~50㎝まで大きくなるんです。突然バレーボールのような白い物が地面から発生しているので、見つけたときはビックリ!!しかも、まさかこれがきのこだなんて思いませんよね。オニフスベは、若いときははんぺんのような食感で食用になりますが、成熟すると内部が茶色くなり、胞子で満たされ粉状になるので食べられません。
オドリコソウは,人里や草地の林縁に多い多年草ですが,生育する環境は幅広く,山地の林のなかで見られることもあります。花の形を扇子を持って菅笠をかぶった踊り子に見立ててこの名があります。花の色は淡紅紫色と白色があり,地域によってだいたいどちらかに決まっており,両方が混生することは多くないです。九州や四国,そして東北北部などで紅紫色が多く,その他の地域では白花をよく見かけます。同じ属で同じ頃に花が咲くものは,ヒメオドリコソウやホトケノザがありますが,草丈が足首ぐらいまでとごく小型なので,すね以上になるオドリコソウとは簡単に見分けがつきます。
ヤマイ は、カヤツリグサ科テンツキ属の植物で、細い茎の先端に一つだけ小穂をつけます。やや湿ったところには普通に見られます。テンツキ属の中では普通に見られるもののひとつですが、一般のテンツキ属のものは花茎の先端に散房花序の形で多数の小穂をつけるのに、この種はただ一つのやや大きな小穂のみをつけます。根茎はごく短く、まとまった株立ちとなります。根出葉は数多く、いずれも細くてつやがあり、毛はありません。初夏から穂が出始める。花茎は高さ10~60cm、小穂の基部には一枚の苞があります。苞は狭いながらも葉状で、小穂よりも少し長いです。果実はやや偏平な倒卵形で、褐色で表面には特に模様はありません。名前は山藺で「山あいに出る藺草のような草」であって「病」ではありません。
シナダレスズメガヤは南アフリカ原産の多年生草本で、法面の緑化などの目的で導入されました。葉は細くて(~2mm)垂れ下がっています。乾燥すると葉は上面を巻き込んで更に細くなります。初夏から盛夏にかけて花穂を形成します。花の色は灰緑色のものから紫色のものまであり、多様です。乾燥に強く、荒れ地の緑化などに用いられています。法面の緑化では、複数の種類を混合して播種することが普通ですが、オニウシノケグサと混合して播種されると、乾燥する痩悪地ではシナダレスズメガヤが、適潤地ではオニウシノケグサが優勢となります。シナダレスズメガヤは株状となって繁茂し、葉が垂れ下がるために株と株の間が無植生となる傾向が高いです。
ヌカキビは、野原や林縁、水辺など、やや湿った草むらに、ごく普通に生えている1年草です。茎が細くて弱々しい印象を受けますが、草丈が1メートルを超えることも珍しくなく、背の高い草の合間からひょっこり顔を出して、自分の場所をしっかり確保しています。茎の下部は地面につくと、節から発根することがあります。葉は長さ5センチメートルから30センチメートル、幅0.5センチメートルから1センチメートルほどの先がとがった細長い形で、他のイネ科植物と形態がよく似ているため、穂のない時期に識別するのは難しいかもしれません。茎や葉は無毛です。夏から秋にかけ、茎の先から長さ10センチメートルから30センチメートルほどの穂を出します。多数の細い枝が横に広がり、円錐形の広がりとなります。小穂は長さ2ミリメートルほどととても細かく、これを「糠」に見立てたのが名前の由来です。
コナギは、水田とその周辺の湿った場所にたくさん生える1年草です。水田地帯ではありふれた草ですが、それ以外の環境にはあまり見られません。古くはナギ(水葱)とも呼ばれていました。ホテイアオイと同じ仲間ですが、ホテイアオイのように水面に漂うのではなく、水底に根を下ろしそこから葉を出します。水の深さに応じて体のかたちは大きく変化します。水がなくとも生育可能ですが、土がひどく乾燥すると弱ってしまいます。花は秋に咲きます。その日の気温によって異なりますが、ふつうは午前中のうちにしぼんでしまいます。直径は2センチあるかどうかと小さいのですが、鮮やかな青紫色でよく目立ちます。同じ仲間のミズアオイは葉の上に花の穂を出すのに対し、コナギの花は葉よりも低い位置につきます。
秋に咲く黄色い花の代表格「秋の麒麟草(キリンソウ)」。花の美しさがキリンソウに匹敵し、秋に咲くので名付けられたようです。キリンソウは、ベンケイソウ科で花の色のほかには共通点はありません。麒麟は、中国古代の想像上の動物で、ビールのキリンの図に使われています。別名は「泡立草(アワダチソウ)」。小さな花が多数集まって咲く姿が、酒をつくる時の泡立つ様子に似ているので付いた名です。北米原産のセイタカアワダチソウの名のもとになっています。キク科のアキノキリンソウ属は、ほとんどが北半球に分布し、北米には80種以上もあるそうです。アメリカでは、この属の仲間を黄金の鞭(むち)を意味するゴールデン・ロッドと呼んでいます。アキノキリンソウは、本州、四国、九州に分布し、日当たりのよい山野によく生える多年草です。
マルバルコウは、熱帯アメリカ原産で、日本には江戸時代に観賞用に渡来しました。現在はほとんど栽培されることはなく、繁殖力の強いつる草として道ばたや畑地などにはびこっています。特にトウモロコシ畑で問題となっており、作物に絡みついて成長が悪くなったり、収穫時に絡まって機械作業の妨げになったりしています。茎はつる性で成長が早く、あちこちに絡みつきながら数メートルもの長さにのびていきます。葉は縦長のハート形で先はとがり、縁はところどころが角張ったような感じになります。夏から秋に直径2センチメートルほどの鮮やかな朱色の花を咲かせます。花の中心はやや黄色っぽくなっています。果実が未熟な状態で茎が切れてしまっても、切れた状態のまま熟すことができ、きちんと発芽能力のあるタネができるといいます。
メルケンカルカヤは、北米原産の多年生イネ科雑草で、日本では1940年ごろに愛知県で確認されました。現在では、東北以南に広く分布しています。畑地、樹園地、牧草地、路傍、荒地などの日当たりが良く、土壌が乾いた所に多く見られます。種子によって繁殖し、根付くと抜き取りにくい丈夫な株を形成しています。他の植物の生育が困難な酸性土壌や岩山などでも生育可能であり、このような場所を住みかとする在来の希少植物を圧迫する可能性も指摘されています。ゴルフ場のラフや公園、家周りの芝地内などにも侵入し、有効な芝用除草剤が少ないため、防除しにくいやっかいな雑草となっています。
オオユウガギクは本州の中部地方以西、四国、九州に分布する多年草ですが、近年温暖化の影響か分布地が北上しています。(写真は東北の酒田市です。)湿地や小川の縁、田のあぜなど、比較的日当たりのよい草地に生えます。一見するとヨメナによく似ており、本種もヨメナと同様に秋に咲く里地里山を代表する野菊のひとつと言えます。本種を含めたヨメナの類は、分類途中のものであり、ここでは「日本の野菊」に従って、ヨメナの変種としました。本種は、中国地方では広く分布するようですが、最近までヨメナとオオユウガギクを混同していた地域もあり、正確な分布はよく解っていません。私見では、本種の方がヨメナよりも雨量の多い地域を好むような気がします。
ヤブツバキは、本州(青森県夏泊半島が北限)~沖縄の照葉樹林内に自生するツバキ科の常緑樹です。日本の固有種で、東北地方では海岸沿いに多く、それ以外の場所では山地にも見られます。大島を代表とした伊豆七島はヤブツバキの名所として古くから知られています。 日本最古の観賞用花木あるいは代表的な茶花として知られ、江戸時代には本種とユキツバキを掛け合わせるなどして数多くの品種が作られました。ヨーロッパにおいても「冬のバラ」と称され、イエズス会の宣教師であるゲオルグ‐ジョセフ‐カメルの紹介を機に品種改良が進みました。単にツバキという場合は園芸品種を含みますが、野生の原種であることを強調する際、藪に生えるツバキ=ヤブツバキと称します。
ヒロハフウリンホオズキは、北アメリカ原産で、温暖な地域を中心に見られ、ダイズ畑やアズキ畑の厄介な雑草として君臨しています。長らくセンナリホオズキと混同されていましたが、ヒロハフウリンホオズキとセンナリホオズキはよく似た別種です。夏から秋にかけて、直径1cmほどの小さな淡黄色の花を下向きに咲かせます。花冠は五角形で、中心付近に茶色い模様があります。花後果実が大きく膨らんで袋状になり、その中に丸い果実が1個できます。変種に細長い葉をつけるホソバフウリンホオズキがあります。ホソバフウリンホオズキは花がひとまわり小さく、中心付近の茶色い模様はありません。ただヒロハフウリンホオズキとホソバフウリンホオズキの中間的な姿のものもあり、それはアイフウリンホオズキと呼ばれています。
イヌホオズキは、日本をはじめアジアのいろいろな地域に自生するナス科の植物です。その名の通り、フウチソウに似ているものの、さまざまな点で異なる特性を持つのです。日本各地の草原や山野などでよく目にすることができ、野生の草花として知られ親しまれています。イヌホオズキは南から北まで幅広い地域に適応できるため、非常に広い範囲で見られます。特に雑草として扱われることもあるぐらい、生命力が強いです。茎には細かい毛が生え、葉は大きくギザギザしています。花は5cm前後のサイズで、その形は鐘状です。昆虫による受粉に頼ることが多く、とくに蜜を求めるハチによって受粉されることが多いです。また、枯れたあとにできる果実は、鳥や昆虫により種が散り広がる手助けになります。
シオンは、古典の『今昔物語』に登場するほど、昔から日本人の心に訴えかけてきた植物の一つ。花は、9〜10月に見頃を迎え、十五夜の頃に満開になることから「十五夜草(じゅうごやそう)」とも呼ばれています。シオンはキク科シオン属の草花です。原産地は日本、中国、朝鮮半島、シベリアなど。日本に古くから自生してきたことから、環境にも馴染み、育てやすい植物です。しかし、日本での自生種は九州、中国地方の山間部にわずかに確認されているくらい数を減らしており、絶滅危惧種に指定されるほどになりました。ここでご紹介するシオンは、国内で園芸用として流通している種類です。シオンは多年草に分類されており、春に新芽を出して旺盛に生育し、秋に開花。寒くなるとともに地上部を枯らして休眠し、越年してまた翌春になると新芽を出して生育を始める……というライフサイクルを繰り返します。一度植え付ければ、何年も決まった時期に開花を楽しめ、コストパフォーマンスに優れています。
イトコヌカグサはコロニアルベントグラスとして一般に知られており、主にヨーロッパ、特に北部と中央部に由来します。この雑草は高い再生能力と急速に広がる能力のために庭園の景観に害を与えることが多いです。種子は風や水の流れによって広い範囲に拡散し、侵入が発生します。イトコヌカグサが雑草として認識されるもう一つの重要な要因は、その耐久性です。さまざまな気候や土壌条件で生存できるため、完全に根絶するのは困難です。この植物は資源を求めて望ましい植物と競合し、植物の生物多様性を損なう可能性があります。その多用途性により、さまざまな生態系にも脅威をもたらし、生態系のバランスを崩すことがあります。イトコヌカグサの主な拡散手段は、風によって運ばれるか動物や人間に付着する種子です。また、這い茎を通じて庭やその外部にさらに広がります。
アメリカセンダグサは、日本には大正時代にやってきたと考えられ、今は日本全国でふつうに見られる存在になっています。水田や湿地などの水辺を好みますが、環境適応能力が強いため、畑地や乾燥した荒れ地などにも生えることがあります。同じ仲間で水田に生えるものとして日本在来のタウコギがあります。それに似て背が高くなることから、セイタカタウコギの別名もあります。花期は秋です。茎の先に、多数の小さな黄色い花(筒状花)が、まるく集まってつきます。稀に、黄色い舌状花がつくこともあります。この花の集まりの外側には、細長い総苞片が何枚もつき、まるで緑色の花びらのように見えます。
シロバナミゾソバの花はミヤマタニソバに似ていますが、葉の形、托葉はミゾソバと同じように見えます。水田周り、水辺などでふつうに生える1年草で、高さは30~100センチ位です。茎の下部は地を這い、上部は立ち上がります。茎、葉柄、葉の下面に刺があります。葉は互生し、先は鋭く尖り、基部は左右に張り出しほこ形になり,中部がくびれたようになり、八の字形の黒い模様があります。葉柄の翼は目立ちません。托葉鞘は短い筒形で毛があり、時に上部が葉状に広がっています。花は茎頂にまとまって付き、花被は下部が白色で上部は紅紫色、長さ4~7ミリ、先は5裂しています。花期は7~10月です。北海道~沖縄県に分布しています。
ツルマンネングサは、春先の新緑が美しく、暑さ寒さに強いことから、グランドカバーや屋上緑化に向いている植物として注目を集めています。春には黄色の花をつけるため、季節ごとの彩りがあります。ツルマンネングサは、日当たりの良い場所で育つ多肉植物です。そのため、1年を通して日光のよく当たる場所で育ててあげましょう。多少の生育条件が悪い場所でも育ちますが、日陰などの日当たりの悪い場所で管理すると、日光不足になってしまい、間延びします。間延びしたツルマンネングサは必要以上に茎や枝が長くなり、虚弱で環境の変化を受けやすくなってしまうので注意しましょう。耐寒、耐暑ともに強く、環境の変化に強いのが特徴のため、多少のコンディションの悪さに負けず、すくすくと育っていきます。また、ツルマンネングサは多肉植物ですが、夏の多湿も耐えられます。
ノギクとは日本在来のキク科の野草で、キクに似た姿を持つ植物の総称です。キク科植物の特徴は、1個の花のように見えるもの(頭花)が、2種類の合弁花が多数集まってできていること。その一つは5枚の花弁が横に結合し、1枚の花弁のようになった舌状花で、頭花の周縁を取り巻きます。もう一つは中心部に集まる、先端が5裂した小さな筒状花。多くの場合、黄色をしています。ノギクと呼ばれる条件は、あくまで花や葉の姿がキクに似ていることです。キク科植物であっても、ヨモギ(ヨモギ属)やセイタカアワダチソウ(アキノキリンソウ属)などは、花が小さ過ぎて、ノギクとは呼ばれません。ノギクの代表格は、ノコンギク(野紺菊)とヨメナ(嫁菜)で、どちらもキク科シオン属の多年草。本州から九州までの山野に広く自生します。
コマツヨイグサは、湿地や水辺の生態系において非常に重要な役割を果たします。その根は水中の堅い土をやわらげたり、水質を清浄に保つ役割を担っています。コマツヨイグサ周辺には多種多様な水生生物が生息しており、種の多様性を保つ上で重要な存在です。また、夜間に開花することで、夜行性の昆虫にとって貴重な蜜源となります。これにより、コマツヨイグサを訪れる昆虫が受粉を助け、生態系の中で植物と昆虫の共生関係を支えています。コマツヨイグサはその見た目からも容易に識別できる植物です。特徴は、心形か卵形の葉と、茎の上部につく大輪の白い花が挙げられます。花は直径が3~5センチほどあり、5枚の花弁が星形に広がっています。夕方から夜にかけて開花し、翌朝には閉じる周期を繰り返します。一つの目安として、茎に沿って一対ずつ生える葉の形状が、コマツヨイグサ特有の心臓形をしており、これが他のヒルガオ属の植物との大きな見分けポイントになります。
イトバハルシャギクは、コスモスを小さくしたようなお花で、北アメリカを中心に80~100種があると言われています。糸のように細い葉が特徴の黄花の品種は、昔はイトバハルシャギク(糸葉春車菊)の名前で流通していましたがコレオプシスは他にもたくさんの種類が出回るようになり、近年ではコレオプシス・ザグレブなどの名前で流通します。花色も黄色の他に、ピンクやオレンジ、複色や蛇の目のものなど、様々です。イトバハルシャギク(糸葉春車菊)は、手入れが少なく丈夫な多年草として知られています。イトバハルシャギク(糸葉春車菊)のための2つの重要な手入れポイントは、排水の良い土に植えられ、最適な成長と開花のために直射日光を受けることです。
ミヤマヨメナは本州から九州に分布する多年草です。照葉樹林帯の上部からブナ帯の谷沿いの路傍・草地・明るい落葉広葉樹林下や林縁など、やや湿った場所に生育します。堆積岩地域の谷の出口など、細礫の堆積地に見られることが多いですい。早春に落葉が厚く堆積しないということも重要です。4月の終わり頃から6月にかけ、花茎は比較的下部で枝分かれし、頂きに1つの頭状花を付けます。直径は4cm程度で、淡青紫色からほとんど白色です。ミヤコワスレの原種ということで、花は美しくて形が整っており、栽培品かと疑いたくなります。花弁の幅は、細くて間が透くものから重なるものまであります。
九州~北海道の日当たりの良い湿地や田んぼの畔などに生える夏緑性シダ植物です。胞子期は秋です。地下茎があって池や田の土手でしばしば群生します。高さ30~50cmになりますが、湿原に生育する場合には小型(高さ20cmほど)になります。葉は柔らかく、葉柄はわら色で無毛、葉身は広披針形の1回羽状複葉です。栄養葉と胞子葉があり、わずかに毛があります。胞子の付く葉は葉の裂片が内巻し、その内側に胞子嚢があります。
ミズヒキは、日本全国の山地や平野の路傍、草藪などに見られるタデ科ミズヒキ属の多年草です。紅白に彩られる花や果実の様子を、祝儀袋などに使う水引に見立てて命名されました。日本以外でも中国、朝鮮半島、ベトナムなどに分布し、庭園にも植栽されています。ミズヒキの開花は88~10月です。茎先から長さ20~40センチほどの細い花穂を数本伸ばし、直径2~3ミリの花を穂状に咲かせます。花には雌雄があり、雌花には1本の雌しべが、雄花には5本の雄しべがあるものの花弁はありません。花弁のように見えるのが萼で、雄花にある十字型の「萼片」は上の三つが赤く、下の一つが白いため、花を上から見れば紅く、下から見れば白く見えます。写真はシロミズヒキです。
チャービルは、セリ科シャク属に属する一年草で、ヨーロッパでは古代ローマ時代には食されていたといわれるほど、長年親しまれてきたハーブです。甘くて爽やかな香りを持ち、明るい緑色のギザギザしたかわいらしい葉が特徴です。見た目はイタリアンパセリに少し似ています。パセリよりもクセが少なく、葉も柔らかくて食べやすいので、料理の飾りや風味付けだけでなく、食材としてもよく使われます。このことから、チャービルは「美食家のパセリ」とも呼ばれています。