ba3ji3の植物園17


  

 

エゾムラサキはワスレナグサとよく似ています。ワスレナグサは帰化植物で、エゾムラサキは日本のものです。丈は20-40cm、茎葉は倒披針形で2-6cm、茎とともに粗い毛が見られ、上部の葉はやや茎を抱きます。 花序はサソリ形花序、10-25cmまで伸びます。 花は6-8mmではじめはピンク色で後に青色になります。白い勿忘草の花言葉は「私を忘れないで」です。 勿忘草に共通する花言葉ですが、これは日本、イギリス、中国、イタリア、フランスでも共通しています。わが国の本州、中部地方と北海道、それに朝鮮半島から広くユーラシアの亜寒帯に分布しています。山地の林内に生えて、高さは20~40センチになります。根生葉はさじ形、茎葉は倒披針形です。5月から7月ごろ、枝先にさそり状集散花序をだし、淡い青紫色の花を咲かせます。どこにでもあるものではありませんが、生えている場所ではどこでも群落となっています。遠くから眺めても、うっすらとブルーに見えるほどの大群落となっています。ひとつひとつの花を見ても可愛いが、エゾムラサキの良さはいちめんに大群落となるその凄さかも知れません。ワスレナグサは、原産地では多年草ですが、暑さに弱く、寒冷地を除き、花後に枯れるので、日本では一年草として扱われています。日本でも本州中部以北の高原の湿地に野生化しています。したがって、園芸種も湿り気のある土壌を好み、水切れを起こすと傷みます。基本種の花色は青に黄色または白色の目が入ります。

 

ヨーロッパ~南西アジアに自生するイグサ科の多年草です。細長く伸びる葉が大名行列に使う毛槍に似ており、スズメノヤリの中でも特に大きいことからこの名がつきました。葉はイヌワシが巣の材料とし、花と種子を唯一の食料源とする蛾が存在します北海道〜九州の海岸から山地にかけて、草地にごくふつうに生えています。茎は高さ10〜30cmになります。根生葉は長さ7〜15cm、幅2〜6mmの線形〜広線形で、縁には白色の長い毛があります。茎葉は2〜3個。茎の先に赤褐色の花が多数集まった卵球形の頭花をふつう1個、まれに2〜3個つけます。花被片は広披針形、長さ2.5〜3mm。雄しべは6個あり、花被片より短い。花糸はごく短く、葯が目立ちます。雌しべ先熟で、3個の柱頭が受粉したあと花被片が開き、雄性期に移ります。さく果は褐色で花被片とほぼ同長です。種子には種子の半分ほどの大きさの白い種枕があります。アリを誘うごちそう、「エライオソーム」(糖や脂肪酸など)をタネにセットし、アリの巣に運ばれてエライオソームだけ食べられたあと、タネは巣の近くの柔らかい地面に捨ててもらう、という作戦です。

 

オニツリフネソウ(鬼釣舟草)には数個の花が吊り下がっており、見た目が船に似ていることが名前の由来となっています。オニツリフネソウ(鬼釣舟草)の花は他の同属種と比べてやや大きく、横から見るとタラコのようです。絶滅危惧種に指定されており、希少価値の高い植物です。オニツリフネソウ(鬼釣舟草)を誤食で大量摂取すると、ミネラル(シュウ酸カルシウム)含有量が高いため人体に有害である場合があります。シュウ酸カルシウムは消化器系への悪影響や皮、膚、粘膜への刺激をもたらすことが報告されています。中毒症状として、軽度の悪心、嘔吐、下痢、舌、唇の麻痺や腫れ等を引き起こす可能性があります。特に生の状態のオニツリフネソウ(鬼釣舟草)は有毒成分を多く含むとされていますが、乾燥することで毒素が消滅します。オニツリフネソウ(鬼釣舟草)は、庭の園芸植物として使用できる非常に侵襲的な雑草です。多くの場合、観賞用植物として導入され、良好な成長条件下で急速に広がり、雑草になります。 それは有毒な植物であり、毒性が少ないです。ヒマラヤ方面原産で欧州から移入されたツリフネソウ属の植物で、正式な和名がロイルツリフネソウであり、別名でオニツリフネソウと言うようです。(ロイルは学名の二名法の後ろにRoyleとあって、別な命名者の学名もある中でこの名前が使われているようです)

 

ガガイモは、北海道から九州まで、日本全国の日当たりのよい原野に生育する、つる性の多年草です。国外では中国の一部を除くほぼ全土と朝鮮半島、隣接するロシアの一部に分布します。地下に長い地下茎を伸ばして広がりますが、「芋」のような塊茎とはなりません。葉は対生して全縁(ふちにギザギザがない)、無毛、長さ5~10cm、幅3~6cmの長卵形で、葉の裏はやや白っぽく(白緑色)、基部は心形(ハート形)、葉の先は細く尖ります。草刈りをされて再生したような個体ではかなり葉が細くなることもあり、生育環境によって葉形は変異が多く、ヤマノイモの仲間や、ウマノスズクサ、アオツヅラフジといった他の植物と似た葉形となることもありますが、茎や葉を傷つけると白い乳液が出ますので、初心者の方でも簡単に見分けることができます。花期は8月頃、葉の腋から花序を出して直径1cmほどの薄紫の花を多数咲かせます。花冠は肉質で5裂し、裂片には縦に「谷折り」されたような溝がありますが、ほとんど溝のない花も見られます。花の内側には白い毛が密生しています。花後には表面にイボ状の突起を持つ、およそ長さ10cm、幅2~3cmの果実ができますが、花数の割に結実率は低く、花が咲いていても実が見られないこともあります。果実は晩秋~初頭に縦に割れて、白い絹糸のような毛足の長い綿毛を持つ種子を風で散布します。

 

カラスノエンドウはマメ科ソラマメ属の一年生雑草で、成長すると60〜90センチほどの大きさまでになることがあります。標準和名はヤハズエンドウで、学術的にはこちらで統一されているようです。日本では本州以南でよく見られ、畑や道端、空き地などでもよく見られます。基本的には秋に芽が出て、小さい状態で越冬したのち、春に大きく成長して赤紫色の奇麗な花を咲かせます。エンドウという名前がついているように、小さいキヌサヤのようなサヤがつき、熟すと真っ黒になります。畑でもよく見かけ、背丈が大きくなる雑草ではありますが、比較的柔らかい雑草で根の張りも弱いので、そこまで除草に困る雑草ではありません。元々は地中海沿岸地方が原産で、食用として栽培されていた歴史もあるようです。サヤの部分はキヌサヤのように若くて柔らかいときは食べることができますが、すぐに硬くなってしまうので注意が必要です。カラスノエンドウをはじめとするマメ科植物の根には、「根粒菌」という特殊な微生物が共生しています。普通の植物は土の中にある窒素しか利用できませんが、マメ科植物の場合は根粒菌が空気中の窒素も取り込んで供給してくれるのです。代わりに根粒菌はマメ科植物から炭水化物をもらうことで、相利共生の関係ができています。

 

ギネアキビは、草丈もセイバンモロコシに似ていて、大人の背丈ほどになります。しかし、下の写真からもわかるようにギネアキビとセイバンモロコシの穂は大きく違います。ギネアキビは、南アフリカ原産(その植物の故郷)で、牧草として世界各国で栽培され、野生化しているといわれています。草地、路傍に生える多年草で、太い稈を叢生させ、高さ50~100cm以上となります。稈の節は長い毛を密生します。葉は線形、先は糸状に伸び、長さ30~75cm、幅5~30mm、葉鞘に接する所が最も幅広いです。葉鞘には粗毛があり、毛の基部は 乳頭状に膨らみます。葉舌は高さ3~5mm位です。花序は長さ20~40cm、各節から3~4個枝分れし、最下節には枝が輪生します。小穂は長さ3mm、第一包穎は高さ小穂の1/3、 第二包穎は小穂と同長で3脈があり、内に2小花があります。第一小花は不念、第二包穎とほぼ同長、稔性小花の護穎はちりめん状の横しわがあり、両側は強く果実を包んでいます。分布は熱帯アフリカ原産、熱帯地域を中心に広く牧草として栽培されています。開花は6~8月です。

 

コグマザサは「小熊笹」ではなく、「小隈笹」と書きます。名前からも想像がつくように、草丈は低く10cmから30cmで、根茎は地中で横に這っています。いわゆる笹という印象の植物で、日本庭園など和風の景色によく合います。コグマザサの花は滅多に咲くことはなく、葉を鑑賞することが基本です。葉にはまっすぐにスジが入って、細長い葉が特徴で、葉の色は明るく4cmほどの大きさをしています。他の笹同様に繁殖力が高いのが特徴です。コグマザサは日向から半日陰で栽培ができます。笹類は丈夫な植物なため、やや日当たりが悪くても育ちます。直射日光に当たりすぎると色が悪くなるので、とくに夏の日当たりには注意をしてください。地植えでコグマザサを栽培する場合は、特に水やりをする必要はありません。雨の水分だけで育てることができるので、あまりにも晴れの日が続く場合を除き水やりは不要です。コグマザサを地植えをする場合は、とくに土を選ぶことはありません。日本原産の植物なので日本の土になじみます。水はけのよい土であれば育てることができるでしょう。コグマザサは挿し木で増やすことはできません。笹は地下茎で繁殖します。コグマザサは繁殖力が旺盛なため、すぐに増えていきます。

 

ブタクサは、温帯を中心に世界の広範囲に広がる1年草で、国内でも昭和時代に一気に全国へと広がりました。ただ後から入ってきた同じ仲間のオオブタクサに押されたのか、すっかり数を減らしおとなしくなりました。乾燥した荒れ地や畑のまわりに見られます。夏から秋にかけ、茎の先に長い雄花の穂をつけます。ここから大量の花粉を空中にまき散らすため、秋の花粉症の主要な原因植物のひとつとなっています。名前のブタクサは「hogweed」を直訳したものです。ただhogweedはブタクサに対する英名ではなく、硬い毛におおわれた植物を総称したものです。ハナウド(セリ科)などもhogweedと呼ばれます。ブタクサの英名はannual ragweed。annualは1年草、ragはボロボロという意味で、細かく切れ込む葉のかたちからきています。

 

サルナシは、マタタビ科に属する雌雄異株または雌雄雑居性の落葉性つる植物で、その仲間には科名になっているマタタビや、シナサルナシなどがあります。シナサルナシを品種改良したものが、現在ではポピュラーとなった果物のキウイフルーツです。サルナシとマタタビは日本全国に自生していますが、マタタビは開花期頃から葉の先が白色化するため探し出し易いのに対し、サルナシは葉柄が赤紫色である事ぐらいしか目立つ特徴はなく、また、マタタビに比べて自生数が少ないため、注意深く探さないとなかなか見つけ出す事は出来ません。サルナシの果実はキウイフルーツより小ぶりで、表面に毛がないため皮をむくことなく食べる事が出来ます。キウイフルーツよりも香りが強く、かすかな酸味と甘みがある食味の良さから「珍果」と評価する人もいます。そして、果実酒やジャムなどの加工品にも利用されます。また、ビタミンCなどの栄養価がたいへん高く、タンパク質分解酵素を大量に含み、疲労回復、強壮、整腸、補血などの効能があるといわれています。

 

シャリンバイは、1~4ⅿの樹木で、春から初夏にかけて白い花を咲かせます。潮害や排気ガスにも強く、公園や道路の緑地帯によく植えられています。非常に丈夫で剪定もあまり必要ないので、大変育てやすい木と言えます。シャリンバイは大気汚染や暑さに強い、バラ科シャリンバイ属の常緑低木です。この性質から公園や庭の植栽、生垣やシンボルツリーなど、様々な場面で用いられる庭木です。また漢字では「車輪梅」と書きます。梅に似た白い花を咲かせることや小枝が車輪のように出ていることから、シャリンバイという名が付けられました。常緑性で大気汚染や夏の暑さのほか潮風にも強く、道路脇の植え込みなどにも使用される花木です。シャリンバイは5月~6月の初夏のタイミングで、梅のような白い花を咲かせます。花びらは直径1~1.5cmほどの大きさで、小さくて可愛らしい花が枝先にたくさん咲く姿が、華やかな印象を与えてくれるでしょう。花びらの先端は丸くなっており、ふっくらとした姿は小さいながらも存在感を感じさせます。また花からは、ほのかに甘い香りが感じられるのも特徴のひとつです。すっきりとした香りのため、大人っぽさを感じます。シャリンバイの葉は濃い緑色で光沢があり、肉厚で長楕円形をしています。葉は長さ4~8cmほどで、車輪のように互い違いに生えるのが特徴です。シャリンバイは常緑性で葉を年中楽しむことができ、枝葉が密集する性質もあることから生垣としての人気も高い草花です。

 

シレネガリカは、ヨーロッパ原産で日本に帰化しているほど丈夫でこぼれダネでよく殖えます。5mmほどの小さな花だが褐色のスポットが入るおしゃれな色で目を引きます。群生してたくさん咲きます。とても丈夫でこぼれダネでよく殖えます。暖地では一年草扱いになる場合もありますが、一度植えれば、種がこぼれて、どこからともなく毎年咲いてくる花です。小型のシレネで草丈は30cmほど、花もとても小さいのですが、赤褐色のスポットが入る目を引く花で、アクセントとしても効果的です。同じくこぼれダネでたくさん殖えるリナリア パープレアや宿根アマ、オルラヤなどと植えてワイルドフラワーガーデンにしてもオシャレな雰囲気が楽しめます。ひと花は5ミリほど。よく枝分かれして、たくさんの花が次々上がります。草丈は30~40㎝ほどですが、自由気ままに伸びるので、ある程度スペースがあるある場所の方がよさそうです。日当たりよく、風通しのよかったこの場所では、よく伸びましたが、背後の低木のメギや、石積みがクッションとなりました。小さな花の中心には、濃い赤紫のスポットが入る細やかさ。いろいろな草花との組み合わせを試してみたくなる花です。

 

シレネ・カペンシスは、主に南アフリカに自生している野草です。 夏の夜に香りが良い白い花を咲かせます。 環境、土壌日当たりと水はけの良い場所を好みます。 肥料も特に必要ありません。シレネの仲間は約300種が知られ、多くの種は北半球に自生しますが、一部は南アフリカ、南アメリカに分布します。高山の岩場や砂礫地、海岸に自生するものが多く、栽培する際は、日当たりと水はけがよい場所を選ぶことが大切です。種によって栽培難易度に差があります。シレネには、1つの花に雄しべと雌しべをもつ両性花をつける種と、雄花と雌花が別々の株に咲く雌雄異株の種、さらに、両性花をもつ株と雌花しかつけない株が混在する種、それらの中間的な種があります。そのため、植物の性の仕組みを探る実験材料にもなっています。

 

シロバナマンテマは中~南ヨーロッパ原産の帰化植物です。秋に芽生え、4月から5月に花を咲かせる越年草です。植物体に触ると粘ります。特に上部から花序にかけては白長毛とともに多数の腺毛があります。シロバナマンテマは、花の形や花の時期、生えている場所などが、マンテマと全く同じですが、マンテマとは色が違います。「シロバナ」とはいいながらも、花の色は、白だけではなく薄いピンクから赤に近いピンクまで、花弁の幅も、細くてねじれているものから、ふっくらと幅広のものまで多彩です。どうも最初に見つけたのが白い花だったので「シロバナ」と付けられたという人もいるようです。海岸近くの荒れ地や造成地などでよく見かけますが、おそらくどこかの土に混じっていた種が、土と一緒に運ばれてきて繁殖したものと思われます。マンテマはもともとは観賞用として、江戸時代末期にヨーロッパから持ち込まれたものなので、おそらくこのシロバナマンテマもマンテマの種に混じって持ち込まれたのではないでしょうか。花色以外はマンテマと同じで、丈は20-50cm、全体に毛が多く、上部では腺毛が混じります。葉はへら形~倒披針形。花は片側に偏って総状に付き、白~淡ピンク色、花径7mm、萼筒に10脈があります。

 

スイカズラは、日本各地から朝鮮半島,中国にかけての地域に分布する半常緑の木質のつる性植物です。近年はヨーロッパや北アメリカにも帰化し,特に北アメリカでは有害な雑草として問題になっています。全株短毛を生じ,葉は長楕円形で時には羽状に切れ込むこともあります。花は甘い芳香を生じ,葉腋に2個並んでついて初夏から夏に咲きます。始め白色ですがしばしば淡紅色を帯びることもあり,その後は淡黄褐色になります。また開花とともに甘い芳香を生じますが,その芳香は昼間より夜間の方が強いようです。これは夜行性の蛾の仲間によって,受粉が行われるためです。果実は球状で光沢があり,秋から初冬にかけて黒紫色に熟します。和名のスイカズラとは「吸蔓」の意味があり,「花の基部から甘い蜜を吸う際の唇と花がとても似ている」説と「ただ単に甘い蜜を吸ったことから」という説など諸説ありますが,どちらにしても甘い蜜に由来しています。生薬名は葉をニンドウ(忍冬),花をキンギンカ(金銀花)といい,ともに民間薬として利尿や解熱,また煎液をうがい液として利用します。

 

杉(スギ)は、日本の固有種です。じつは、日本にしか生育していない植物なんです。日本の杉は、ヒノキ科スギ亜科スギ属 に分類される常緑針葉樹で、学名を(クリプトメリア ヤポニカ)といいます。Cryptomeriaは「隠された宝」、japonicaは「日本の」という意味です。古代から日本では神社仏閣や住居などの材料としてスギが使われ、伐採したあとの山には苗木を植えてきました。いにしえの時代から活用範囲が広く、生活に身近な樹木。まさに杉は「隠された日本の宝」といえますね。日本の杉は、本州の北端・青森県から、四国、九州、屋久島まで自生で分布しています。日本の森林面積のうち、約4割が人工林です。そのうち1位は杉で44%。2位のヒノキは25%ですから、杉が圧倒的に多いのがわかります。杉は一年中、緑色の葉で覆われている円錐形の樹木で、成長が早いのが特徴です。成木となるまで杉は35年〜40年ほど、ヒノキでは40〜50年とされています。これを聞くと、杉の成長の早さがおわかりいただけるでしょう。また水を好む植物で、土壌水分ばかりでなく、空中湿度にも深く関わるとも言われています。徳島の吉野川南岸から剣山周辺は全国有数の多雨地帯で、もともと杉生育の適地でした。 杉を伐ると森林にダメージを与えるのでは?と心配する人がいるかもしれません。日本国内で50〜60年以上成長した杉を伐ることは、環境にとって大切なことなんです。杉を伐採し、新たな苗を植え育てることで、二酸化炭素の吸収量が増加しますし、山の保水力を高めることにもつながります。

 

スベリヒユ(山形ではヒョウ)は、真夏の炎天下の畑で、猛暑や乾燥に負けずに元気に育っているのをよく見かけます。いわゆる多肉植物のひとつで、茎や葉は厚く、中にたっぷり水分を蓄えています。また砂漠仕様の光合成システムを持っており、これが乾燥への耐性を一層強めています。茎や葉をつぶすとぬめりがあります。名前の「滑り」はこのぬめりにちなんでいるという説もあります。また古くは「伊波為都良(いはいつる:祝い蔓の意味)」と呼ばれ、お祝い事のときに軒先に飾ったと言います。これは炎天下でも枯れない強靭な生命力から縁起物とされたためです。夏から秋にかけて、茎の先に直径6ミリメートルから8ミリメートルほどの小さな花を咲かせます。花が開くのは朝のうち数時間のみです。夏の花壇でおなじみのポーチュラカはスベリヒユの仲間です。タチスベリヒユは茎が立ち上がって大きな葉をつけるもので、食用に改良されたスベリヒユの変種です。日本ではなじみの薄いものですが、ヨーロッパではサマーパースレインやプルピエなどと呼ばれ、野菜としてサラダやおひたし、スープなどに利用されています。じつはスベリヒユそのものも立派な食べられる野草で、東北地方などでは「ひょうな」と呼ばれ、野菜として利用されています。

 

オモダカは日本の全国各地の水田や池沼の浅水中にも自生する抽水植物・湿生植物・多年草です。特に休耕田に多く出現します。アジアの寒冷地から熱帯まで広く分布します。オモダカはサジタリアの仲間で、草丈約30~70cmになります。オモダカの葉は基部で抱き合う方形の太い茎の先につき、深いヤジリ形、鋭尖頭または徴鈍頭で全体が「クワイ」の葉より細く見えます。葉は根生し、葉柄は15~60cmです。葉はやじり形で、長さ7~30cm、アギナシより葉幅が広い場合が多いですが、変異が顕著なため葉形だけでは決め手になりません。葉の形は生育段階で変化します。幼葉は線形ですが次第に細長い楕円形へ、更に矢尻形へと変化します。葉下部の裂片は先が鋭く尖ります。オモダカの花期は6~10月です。株の基部の葉間から2~3個、高さ20~30cmの花茎を直立、上方に花柄が分岐する白色の単性花を総状または複総状円錐花序がつき、下部から順次開花、結実します。花序は3~5輪生、上方は雄花、下方は雌花がつき1日花を開きます。和名の語源は箭形葉が人の顔に似ていることに由来します。オモダカは、サジオモダカ同様に根や塊茎は利尿、腎臓病などの薬用にされます葉の頂片や側片が細長で、線状ひ針形の品種をホソパオモダカと呼び、側片の発達していない変種をヒトツバオモダカといいます。

 

1876年には本種が日本からアメリカへ導入され、土壌侵食の予防や観賞用に積極的に用いられました。しかし、爆発的に繁殖し在来の生態系を破壊してしまうことから、1950年には有害雑草に指定され駆除が続けられています。クズ属の本種を含む5種は交雑できるうえ、形態学的差異はわずかで同定は困難とされます。タイワンクズ(台湾葛)は、米国東部と中央部の多くに生えるつる性雑草ですが、南東部の州で最も攻撃的です。それは、野原、森林の端、および道端に沿ったような日当たりの良い地域で最もよく育ち、米国では侵入植物種と見なされています。連邦の有害雑草であり、ミズーリ州を含む多くの地域で栽培または販売できない場所に植えることは違法です。問題なのは、 タイワンクズ(台湾葛)の大きな葉が植物群落全体を窒息させ、排除することができるということです。それは単にそれらの上に成長することによって木を殺すことができます。毎月の密な草刈りは、根を飢えさせたり、除草剤を繰り返し使用したりする可能性があります。

 

タチジャコウソウ は、シソ科イブキジャコウソウ属の多年生植物です。広義のタイムとよばれるグループの代表種で、英語ではコモンタイム 、日本では一般にタイムとよばれ、株全体に芳香があり、ハーブ、香辛料としてよく知られています。葉をオリーブオイルに入れたり、魚料理や肉料理と一緒に煮込んだりして利用されています。タチジャコウソウ花/葉/茎エキスは、優れたスーパーオキシド消去作用を示すことが確認されました。和名タチジャコウソウは、茎が立ち上がり、麝香のようなよい香りがするので、漢字で「立麝香草」と書きます。和名の由来は、日本にも自生する近縁種のイブキジャコウソウが地を這うのに対して、本種は先端が立ち上がることから名付けられたものです。シソ科イブキジャコウソウ属の多年生植物で、日本では一般にタイムとよばれている代表種で、株全体に芳香があり、ハーブ、香辛料としてよく知られています。

 

タブノキは、北海道、青森及び岩手を除く日本全国に分布するクスノキ科の常緑樹です。暖地の海岸沿いに多いですが、公園や庭園に植栽されることもあります。漢字表記は「椨」ですが、本来、中国では「楠(日本ではクスノキ)」と表し、南方系の樹木であることが分かります。日本以外では中国南部、韓国(済州島のみ)、フィリピンなどに見られます。名前の由来には諸説ありますが、古代朝鮮語で丸木舟を表す「トンバイ」がタブに転訛したとする説が有力です。また、日本書紀に登場するほど神事との関連が深く、「霊(たまが宿る木」を意味する「タマノキ」から転訛したという説もあります。タブノキは幹が真っすぐに伸び、樹高が最大30m、直径が3.5mにもなることから、船を作るのに使われました。古代に朝鮮半島から渡来した丸木船は全てタブノキで造られたほど日韓交易に貢献しています。材質はやや硬くクスノキに似ていますが、クスノキに比べて用途が少ないため「イヌグス」という別名があります。建築、家具、枕木、彫刻、パルプ、器具(臼や木鉢)、薪炭に利用され、その歴史は縄文時代まで遡ります。材の色合には個体差がありますが、より良質とされる赤みを帯びたタブ材をベニタブ、白っぽいものをシロタブと呼んで区別しています。中には木目に巻雲紋が出るような老木があり、これを特に「タマグス」と呼んで珍重します。 タブノキは耐潮性に優れ、地下に海水が浸入するような土地や波打際でも育ちます。このため、魚群を追い込んで捕獲する「魚つき林」として使われ、各地の海辺にはその名残となる大木が多いです。

 

チガヤはイネ科の雑草で、イネのように平均的に40〜60cmほどの細長い葉がツンツンと立つのが特徴で,田畑の土手などによく生えています。5〜6月になると尻尾のような白い穂がつくのでより見分けやすくなります。種による繁殖だけでなく、地下茎と呼ばれる根のような器官を地中に伸ばし、広がった先でまた芽を出すというような繁殖の仕方をしていきます。芝生のようなイメージをしてもらえればわかりやすいかもしれません。この地下茎を持っているため、地上部の葉っぱを刈っても、地下茎が残っていればまた芽が出てきます。多年草で、冬の間も葉が枯れることはあっても、地下茎は枯れないため生き残り続けます。またこの地下茎からは他の植物を生えにくくするような化学物質が出ているため、他の雑草を押しのけてそのテリトリーを広げていきます。その旺盛な繁殖力ゆえに嫌われているチガヤですが、昔の人はこのチガヤが田畑の土手に繁殖するように意図的に手入れを行っていたと言われます。地下茎が残っていればまたすぐ生えて来るという性質を活かして、定期的に草刈りや野焼きを行うことで、チガヤだけがそこに残るようにしていたのです。その目的としては、①土手崩れを防ぐ、②家畜の飼料にする、③田畑への堆肥として利用する、という3つがあったようです。

 

ツタは、ブドウ科ツタ属のツル性植物です。各地の山林に自生しており、秋には美しく紅葉します。繁殖力や生命力が強さが特徴で、ツルの先端に巻きヒゲがあり、その巻きヒゲが変化した吸盤を他の植物や壁などに付着させて壁面を登るようにして成長していきます。建物壁面の装飾やグランドカバーとして使用されることが多いですが、盆栽として楽しまれる場合もあります。ツタは、12種類あるといわれており、種類によって葉の形や柄にも違いがあります。一般に園芸で親しまれている種は、12種類の内のいくつかの種類とその園芸品種です。ナツヅタは、アヒルの足のような形をした代表的なツタです。別名「ジャパニーズアイビー」と呼ばれ、春から夏は鮮やかな緑色の葉をしており、秋になると紅葉し、冬には落葉するため四季の変化を楽しむことができます。また、樹液から甘味料が採れることから「アマヅラ(甘蔦)」と呼ばれることもあります。アメリカヅタは、5枚の掌状に広がる葉が特徴のツタです。ツルを伸ばして成長するのではなく、気根を出して壁などを上るようにして伸びていきます。秋になると赤く紅葉する葉と黒い果実がとてもきれいですが、実には、有毒量のシュウ酸が含まれているため、口にしないようにしましょう。

 

デロスペルマ(耐寒性松葉菊)は、ツルナ科デロスペルマ属の常緑多年草です。南アフリカが原産です。常緑で耐寒性があります。茎は地面を這い、高さは10~15センチになります。葉は円筒形の多肉質、濃い緑色で対生します。5月の中頃から霜が降りるまで、明るいピンク色で真ん中が白色の花を咲かせます。花は日差しのあるときだけ開き、「ちょう(蝶)」の好きなものです。暑さや乾燥にタフな多年草です。また耐寒性も強く、葉は傷みますが枯れることはありません。別名で「たいかんせいまつばぎく(耐寒性松葉菊)」と呼ばれます。デロスペルマは、細長い花びらを放射状に咲かせるお花で、耐寒性マツバギク(松葉菊)という名でも知られています。這い性で開花期間が長く多肉質の葉を持つ丈夫な植物ですが、多湿を苦手とするので乾かし気味に育てます。デロスペルマ ルミナスレンジャーは、最低温度ー25℃まで耐えることができ、ほぼ日本中どこでも花壇で冬越し可能な宿根草です。冬越しした翌年はさらに充実した株となり多くの花を咲かせます。コンパクトな草姿に、光沢ある花が株を覆いつくすように咲きます。

 

ナガバタチツボスミレは本州中部地方以西から九州、朝鮮南部に分布する多年草。明るい森林のやや湿った谷沿いや林縁などに生育します。花は3月の終わり頃から咲き始め、5月頃まで。薄い紫色のものが多いですが、やや濃いものもあります。花が咲き始めた頃の根出葉は丸い円心形であすが、花茎が伸びて上位に付く葉ほど細長くなって三角形から被針形になります。上位の葉が三角形になる点がタチツボスミレとの区別点ですが、早春の状態ではまだ三角形の葉が出ていないので、区別しにくいです。早春の段階では葉の裏面が紫色を帯びているが、初夏には紫色は薄くなります。野原,山地,道ばた,庭先,林床など,里山から人里にかけて普通にみられます。 日陰でも見られますが,日当たりのよい場所 を好みます。やや湿った草原にも生えますが,冠水するような場所には見られません。ナガバタチツボスミレは、葉は小さく、光沢があり、根生葉の基部は切形~浅い心形です。上部の葉は基部が楔形です。コタチツボスミレは西日本の日本海側に多い変種です。葉脈が目立たず、葉の基部が切形~浅い心形、鋸歯が粗く鋸歯の先が尖っています。

 

ナワシロイチゴはバラ科キイチゴ属の分類される植物で、サツキイシゴ、ワセイチゴという別名を持ちます。草丈は10センチから30センチほどで、日本や朝鮮半島、中国などに分布するイチゴです。ナワシロイチゴの茎は匍匐性があり地面を這うようにして広がります。茎や葉柄にはトゲがたくさんあるのが特徴で、これは茎や葉が外敵である動物に食べられないようにするための工夫とされています。またこのトゲを使って、ナワシロイチゴは周囲の植物に絡みつき成長していきます。ナワシロイチゴの花期は5月から6月です。枝先や葉のわきに小さなピンク色の花を咲かせます。見た目はオシロイバナに似ています。この花はあまり目立ちません。花弁の長さは5ミリから8ミリほどで、花弁は5枚です。開花しても開かないので、地味です。ガクなどに毛が密集して生えています。ガクの色はクリーム色をしていて約2センチほどの大きさです。ガクは花びらと同様に5枚で、花期になるとこのガクが大きく広がります。ナワシロイチゴはイチゴの仲間なので、イチゴのような果実をつけます。果実は集合果で、大きさは1.5センチほどで球形です。集合果とは小さな果実が複数集まってできたもので、ナワシロイチゴの1つ1つ粒は7ミリほどです。ナワシロイチゴは6月になると赤く熟して、収穫の時期になります。果実の粒の先端からは短い毛が生えて、ラズベリーのような見た目をしています。

 

ハハコグサ(母子草)は全国の日当たりのよい畑地、原野、道端などにごく普通に見られるキク科の越年草です。高さは20~30 cmほどで全体に白軟毛があり、葉は先が丸みを帯びたへら状で、互生します。4~6月に茎の先端に頭状花序の黄色い小花を多数つけます。春の季語として古くから俳句や短歌などにたびたび登場します。冬期はロゼット葉で過ごし、春になると茎を伸ばして花を付けます。花後にはタンポポと同じように、長さ約2 mmの綿毛のある種子をつけます。和名のハハコグサにはオギョウ、ゴギョウ(御形)、ホオコグサ(這子草)、ブツジグサ(仏耳草)、ソジ(鼠耳)、モチバナ(餅花)などの別名が知られています。開花期に全草を採取し、水洗いして天日でよく乾燥させたものを、生薬ソキクソウ(鼠麹草)といいます。漢名でもある鼠麹草は、葉に毛があって鼠の耳のような形をしていることと、花が粒状で黄色の麹(こうじ)に似ていることから名付けられたようです。ハハコグサの若い茎葉は食用とされ、春の七草の一つです。かつては葉を草餅や団子のなかに入れましたが、緑色の鮮明なヨモギがこれに取って代わり、今では草餅に用いることはほとんどありません。このようにハハコグサは色の映えにはやや劣ものの、粥や天ぷらの食材として、母から子へ受け継がれるべき植物であることは確かなようです。

 

ぺんぺん草は北半球に広く分布する越年草で、春になると小さな花を咲かせます。ひとつの花に、白い花びらが4枚つきます。土手や野原、荒地にもよく生えるため雑草のように扱われることもありますが、日本では昔から食用にされてきた歴史があり、子供の遊び道具としても身近な草です。花が咲く時期は、地域にもよりますが2月から6月頃です。関東地方以南であれば、最も多く見かけるのは4月、5月頃。夏になり気温が高くなるにつれて花は見られなくなります。越年草であるため、花がなくなっても緑の茎や葉をつけたまま冬を越します。ナズナとぺんぺん草は同じものを指しており、両者の間に特別な違いはありません。ナズナの愛称あるいは通称として、ぺんぺん草が使われます。三味線草と呼ばれることもあります。ナズナは漢字で「薺」と書きます。あまり馴染みのない字ですが、中国でナズナを表すのに使われている漢字をそのまま用いています。ぺんぺん草)の花言葉は「あなたに私のすべてを捧げる」という意味になります。花言葉の由来は、実(種)の部分が三角の財布の形に見えることにちなんでいるとする説が有力です。ぺんぺん草の英語名である(羊飼いの財布)」も、実の部分が財布のように見えることから名付けられたという説があります。羊を追って動き回る羊飼いは、持ち運びやすい小さな袋状の財布を使っていたという事情があるようです。また、ぺんぺん草は1月17日の誕生花でもあります。

 

初夏に花穂を伸ばしマメ科特有の形の紫色の花を咲かせます。葉は三出複葉で互生し、小葉の形は楕円~倒卵形。葉色は灰緑で遠目からだと全体が白っぽく見えます。株は株元から分枝してブッシュ状になり、かなり大きく広がります。他にもセンダイハギの名がつく植物では、黄色い花を咲かせるセンダイハギや、白い花を咲かせるシロバナセンダイハギ(アルバ)、シロバナセンダイハギとの交配品種などがありますが出回る量は少ないです。センダイハギは、本州中部(茨城、富山)以北から、朝鮮半島、中国、シベリア、北アメリカ北部まで広い地域に自生する植物です。海岸に近い砂地では、ときに大群落を形成することがあります。宮城県仙台市以北で目立ち、名前は「仙台萩(千代萩、先代萩)」の意味です。これは、仙台藩の伊達騒動を題材にした歌舞伎「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」に由来するといわれています。キバナセンダイハギと呼ばれることもありますが、これは別属のムラサキセンダイハギと区別しやすいように使われている呼び名です。花色は鮮やかな黄色で、春の花壇を明るく彩り、萩というよりはルピナスによく似た花を咲かせます。草姿はすらりとし、ラッセルルピナスのように花が密生しないので、やさしい自然な雰囲気が感じられます。鉢植えではコンパクトに育ち、草丈30cmくらいで花が咲きます。ルピナスと異なり、長い地下茎を伸ばして広がります。このため、荒れ地の緑化にも利用されます。

 

レモンバームとは、シソ科コウスイハッカ属に分類されるハーブの一種です。「メリッサ」や「セイヨウヤマハッカ」と呼ばれることもあります。黄色がかった明るい緑色の葉を持ち、レモンに似た爽やかなシトラスの香りが特徴です。これはレモンバームにシトラールと呼ばれる精油成分が含まれているためで、フレッシュで清涼感のある香りなので、料理やお菓子だけでなく、アロマセラピーや入浴剤など食用以外にも用途があります。レモンバームのおもな原産地は南ヨーロッパや西アジア北部ですが、日本国内でも栽培されています。また、気温の変化に強くて初心者でも育てやすい品種なので、家庭菜園やガーデニングを行う方にも人気のあるハーブです。レモンバームはそのまま置いておくと、あっという間にしなびてしまい香りも飛んでしまいます。できるだけその日のうちに使い切りたいですが、一度で消費するのはなかなか難しいもの。余ってしまったレモンバームの香りを保ちたい場合は、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。レモンバームの葉の乾燥を防ぐために、濡らしたキッチンペーパーでしっかりと包みましょう。生のレモンバームは傷みやすいので、キッチンペーパーは毎日新しいものに交換し、できるだけ早めに使い切ってください。

 

ローズヒップとは、バラの果実のことです。バラ科バラ属の植物の花が咲いた後に結実し、秋に収穫期を迎えます。ローズヒップの実は食用に供され、ほどよい酸味とフルーティーな甘みのある味、そしてさわやかな香りが特徴です。そのまま食べることもできますが、基本的には乾燥させてお茶(ローズヒップティー)として飲まれるほか、ジャムやジュース、健康食品としても広く活用されています。また、種を圧搾して油を採り出した「ローズヒップオイル」も美容や保湿の目的でよく利用され、さらに香りの良さからアロマオイルとして活用されることもあります。栽培場所は主に温帯から冷帯にかけての地域で、南米チリを中心にヨーロッパや北アメリカ、アジアなどでも栽培されています。ローズヒップの果実はすべてのバラに実るわけではなく、特定のバラの原種に実ります。ローズヒップが実る代表的な種は「ドッグローズ(イヌバラ)」です。ドッグローズはヨーロッパが原産であり、16世紀から17世紀ごろの大航海時代にヨーロッパから南米へもたらされ、アンデス山脈で野生化しました。高さは2~4mほどの低木で、白やピンク色の5㎝ほどの花を咲かせた後に緑色の果実が赤く熟していきます。また、日本に自生する品種としては「ロサ・ルゴーサ」(ハマナス)があります。成木の高さは1~1.5mほどと小さめですが、花は赤紫や白色で直径6~10cmとドッグローズに比べ大きく、秋に赤い果実を実らせます。

 

ワスレナグサはヨーロッパとアジアが原産のムラサキ科の多年草で、鉢植えや花壇で栽培されています。地下茎より地上に茎を出し、高さ30cmほどで、まばらに枝分かれします。春から夏にかけて、先端がサソリの尾状に巻いた総状花序を出し、短い柄にるり色で中心が黄色い小花を次々と咲かせます。花の形と配色の妙が、清純可憐な花の印象を強くしています。庭に植えると、春に咲いた花の種子がこぼれ、再び芽を出して成長するので、1年中楽しめます。近年は品種改良された白やピンク色の花も目にします。類似する植物に、深山に生育する「エゾムラサキ」があります。エゾムラサキは花の数がやや少なく、ガクの裂け方も浅いという違いがありますが、遠目にはワスレナグサと区別がつきにくいです。在来種には夏季によく目にする「ワスレグサ(ヤブカンゾウ)」があります。植物名の由来は、この花を見て憂いを忘れるという中国故事にならったとされています。ワスレナグサが特に有名なのは、ヨーロッパに伝わる伝説や詩歌によるものと思われます。中でもよく知られているのが、こんな中世ドイツの悲恋物語です。「愛しあう2人の若者がドナウ河岸を散歩している時、この花を見つけた。若者は彼女のためにその花を摘み取ろうとした時、足を滑らせて急流に流されてしまった。重い鎧を身に着けていた騎士の彼は、自由を失い沈んでいくが、手にした花を彼女に投げて、『私を忘れないで』と叫んで河底に姿を消した」。