ba3ji3の植物園16

   

 

一般にはツゲと呼ばれているものはモチノキ科 の「イヌツゲ」を指すことが多いです。印鑑や櫛などの加工に用いられる高級材料のツゲ(ホンツゲ)に葉は似ているが、木材としてはやや劣るということでこの名がつけられました。しかし、庭木としては大気汚染にも強く、互生する葉は刈り込みによく耐えることから和洋を問わず庭木としてよく使われています。このイヌツゲは高さ5mぐらいになる常緑樹で、生け垣や玉物、玉の段づくりにトピアリーなど、さまざまな姿に仕立てられます。これほど樹勢が強く仕立てやすい木はないといっても過言ではありません。モチノキ科のイヌツゲは互生で葉の出る位置が一枚ずつずれています。やや楕円形または長楕円形(ちょうだえんけい)で、少し鋸葉があります。ツゲ科のツゲ属は「ホンツゲ」や「アサマツツゲ」と呼ばれます。イヌツゲとホンツゲはよく似ていますが、 ホンツゲの葉はイヌツゲに比べ、葉が向き合うように2枚の葉が出ている対生で丸いです。このホンツゲも花壇の縁取りや、刈込みに使われていますが、印材や櫛材にもなります。たいへん萌芽力が強いので、1~2年放任して乱れてしまった木でもつくり直しができるのが大きな特徴です。3~5年ほどすると樹形も完成するので、その後は3月から10月にかけ、年2~ 3回、刈り込みをしていくのが理想です。刈り込みは33~4月が適期ですが、あまり枝を伸ばさず、早め早めに新しく伸びた小枝を刈り込みばさみなどで刈るのがポイントです。また、枝に細い竹を添えたり、シュロ縄を使ったりして樹形をつくることもできます。

 

イワガラミは、北海道から九州まで日本全国に見られるアジサイ科のツル性植物です。ツルから気根を生じ、大きな岩や木に絡まりながら育つため、イワガラミと名付けられました。林の縁や岩場などに自生しており、庭に使われることは少ないですが、ツル性であるため、いわゆるガーデニングでは立体的な演出に用い、近年では壁面緑化に使われる例もあります。開花は5~7月でガクアジサイと重なり、よく似たツルアジサイよりは半月ほど遅いです。花びらのように見えるのはアジサイ同様、装飾花と呼ばれるもので、花が枯れた後も落ちずに残ります。自生種での装飾花は白です、栽培品ではピンク色になるものもあります。イワガラミの本当の花の内側でモヤモヤしている部分で、同時期に咲くクリに通じる精臭があります。小さなクリーム色の花は両性花で、1本の雌しべと10本の雄しべ、そして5枚の花弁がありますが、花弁は開花後すぐに落下します。葉は卵形でツルから対になって生じます。先端の縁には粗くて鋭いギザギザがあるのが特徴です。ツルは7~10mほどに育ち、ツルから伸びる枝は垂れ下がり気味に育ちます。

 

オジギソウは中央アメリカから南アメリカ原産の多年草で、非耐寒性で霜に当たると枯れるため、日本では春まき一年草として扱われています。オジギソウは学校の教材として育てた記憶のある人も多く、たいへん馴染み深い草花です。手を触れることで、普段動かない植物が、名前の通りお辞儀をするように動く様子はとても興味をそそられます。オジギソウの葉のつけ根には葉枕(ようちん)というふくらんだ部分があります。触れられるとその刺激で、葉枕の下側の水が一気に葉枕の上側に移動し、上側は膨張します。水がなくなった下側は収縮するため、その結果として葉が閉じて垂れ下がるのですが、元に戻るには10~20分くらいかかるようです。本葉が展開した小さな苗でさえも触れるとお辞儀をするのが何ともけなげです。ただし、触るという行為は植物にとってはストレスになるようなので、短時間に何度もむやみに触らないほうがよいかもしれません。オジギソウはこのように素早い運動をする植物として有名ですが、ピンク色のふわふわとしたポンポン状の花も可憐で魅力的で、単独でまとめて植えるとかわいい雰囲気になります。ピンク色の球状の部分は花序で、小さな花が多数集まっています。

 

オッタチカタバミは、国内では1962年に京都で発見されたのが初記録です。現在は身近な場所でごく普通に見られ、乾燥した荒れ地環境でも生育可能なため、幹線道路の路傍など、植物が育つには過酷と思えるような場所にも見かけます。在来種のカタバミに似ていますが、茎は太くて立ち上がります。草丈は10センチメートルから50センチメートルほどになり、葉は茎の節の部分に集まってつくような傾向があります。葉のつけ根にある「托葉」は小さく、茎にはかかりません(カタバミの托葉は大きく茎にもかかる)。花後にできる果実の柄は斜め下を向く傾向が強く現れます(カタバミの果実の柄は横から斜め上)。果実は熟すと軽く触れただけで勢いよく弾け、中のタネを飛ばします。またタネにはエライエソーム(アリの好物)がついており、アリによって拡散されていきます。オッタチカタバミによく似たエゾタチカタバミという植物があります。これは北半球の広範囲に分布する種で、国内でも山地に自生しています。現在はエゾタチカタバミにO. stricta、オッタチカタバミにO. dilleniiの学名が充てられています。しかしこの学名の扱いについてはアメリカとヨーロッパの学者の間で論争があり、かつてはオッタチカタバミにO. strictaが充てられたこともありました。増える力が強いため、他の植物が育つ場所を奪ってしまうおそれがあります。また最近は同じ仲間のカタバミ(在来)との間で交雑が起こっており、雑種も少しずつ増えてきています。

 

カキドオシはヨーロッパ及びアジア原産で、北米を含む世界各地の温帯地方に帰化しており、森の周辺や歩道わきや垣根の周辺に見られます。多年生の蔓性草本で、高さ15 cm程の茎は初め直立し、開花後、長い走出茎は伸びて地面を這い、垣根を通り抜けるほど伸長することから、「垣根通し」と呼ばれ、後に「垣通し」となりました。葉は腎臓形で葉縁に鈍い鋸歯がありますが、これを丸みを帯びた「銭」に見立て、葉が茎に連統してついていることから、別名の連銭草(れんせんそう)の名が付いたそうです。青紫色の花が輪生し、下唇に紅紫色の斑点を生じます。花期の茎や葉の生育が十分となる4~5月に株元から採取し、陰干しにしたものが生薬「連銭草(れんせんそう)」です。煎液は腎臓病や糖尿病、腎臓結石、膀胱結石、小児の疳に用います。湿疹には濃い煎じ液を患部に塗布します。また、カキドオシには胆汁分泌促進や血糖降下作用があり、胃炎や酸性消化不良などの消化器系疾患にも有効であると言われています。その他、カキドオシは壊血病の予防と強壮薬として用いられ、水虫やたむしには生の葉を何回も擦り込むと良いようです。上記の「小児の疳を取る」ことができることから、別名「疳取草(かんとりそう)」とも言われています

 

カタバミはカタバミ科カタバミ属の多年草で、日本では道端や空き地、農地などでもよく見かけます。属の植物は温帯から熱帯の地域に分布し、世界に約850種も存在しますが、日本では6種類が自生しており、さらに7種類ほどの外来種が帰化植物として定着しています。花が大きく美しいカタバミは「オキザリス」と呼ばれ、ガーデニングプランツとしても利用されています。また、横に株が増えていくので、グラウンドカバーとしても活躍します。カタバミの花言葉は「輝く心」「喜び」「母の優しさ」です。その昔、カタバミは真鍮の鏡や仏具を磨くために使われていたため、「輝く心」という花言葉がつけられました。またスペインやフランスでは「ハレルヤ」と呼ぶことから、「喜び」という花言葉の由来となっています。これは復活祭でハレルヤが唱えられる時期にカタバミの花が咲き始めることに因んでいるといわれています。和名のカタバミは漢字で「片喰」と書きます。ハート形の葉が、昔の人には一部が食べられて欠けているように見えたことに由来しています。また、カタバミは「酢漿」と書くこともあり、「酸葉(すいば)」「スイモグサ」と呼ばれることもあります。これは葉や茎にシュウ酸を含んでいるため酸っぱい味がするのが由来です。このほかに「黄金草(おうごんそう)」や「鏡草(かがみぐさ)」、「銭みがき(ぜにみがき)」とも呼ばれます。いずれも、カタバミに含まれるシュウ酸を利用して、カタバミの葉で古い銅製品を磨くと錆が取れピカピカになることが由来です。

 

ガマズミは、日本の山野でごく普通に見かける落葉性の樹木です。身近な「雑木」扱いをされているのか、同じガマズミ(ビバーナム)属のオオデマリ(花が大きくて立派)やチョウジカマズミ(花がかわいらしくて香りがよい)などと比較すると庭木として利用されているものを見ることはあまりありません。5月頃に独特の臭いをもつ白い小花がかたまって咲きます。春に咲く花もきれいなのですが、秋に濃紅色に熟す果実も非常に美しくて鑑賞価値が高く、多数の果実が付いた枝は野趣たっぷりの味わいがあり郷愁を誘います。果実はやや平べったい感じの卵形で表面はツヤがあります。本来は毎年花を咲かせる常緑多年草で低木状に育ちますが、寒さに弱く霜の降りる頃には枯れてしまうことが多いので、一年草として扱うのが一般的です。南西諸島では逃げ出した?園芸品種が一部野生化しているようです。草丈は低くボール状によくまとまり、花付きもよく様々なバラエティーに富んだ花色があり、半日陰の場所でよく咲くので花壇や鉢植えなどに幅広く利用されています。果実はそのまま生食したり、果実酒(澄んだ赤色のお酒になります)、漬け物の着色や衣料の染色に利用できます。近年では絞り汁が「ジョミ」の商品名で飲料として出回っています。枝は細めでも丈夫で、薪を束ねるロープのように使ったり、民具の柄などに利用されていました。

 

カリンは、バラ科カリン属。落葉樹です。ピンク色の花が開花するのは4月中旬~5月上旬ごろ。その後、夏から秋にかけて、徐々に実がふくらんで熟していきます。香りも強くなり、10月下旬~11月下旬が収穫期となります。自宅の庭木として楽しむ人も多く、実のなる盆栽としても人気があります。国内の産地としては、山梨県、山形県、愛媛県、香川県、長野県、奈良県など。ちなみに、原産国は中国といわれています。一説には、カリンの名が「金を借りん」に通じることから、昔から商人にとっては縁起のよい木なのだとか。熟したカリンは、濃厚な甘酸っぱい独特の香りがします。香りのよいカリンですが、生のまま食べようとしても硬くて、味も渋すぎるため食用には向きません。そこで、よく自宅の玄関などにおいて、香りを楽しむために使われています。また、昔から親しまれているのがカリンシロップ、カリン酒です。スライスしたカリンを砂糖、または、はちみつと一緒に瓶に入れて、数カ月漬け込んで完成するのが、カリンシロップ。カリンシロップをお湯で割れば、寒い時期にはピッタリな飲み物の完成です。カリン酒の作り方も簡単。スライスしたカリンをホワイトリカー(果実酒づくりでよく用いられる、焼酎の一種)に数カ月ほど漬け込んで、出来上がり! カリンの風味がよくしみ込んでいて、ほどよい渋みと酸味を味わえるのが魅力です。

 

キュウリグサは、身近な場所のいたるところにごく普通に見られる1年から越年草です。秋に発芽し、ロゼットの状態で越冬し、春に開花結実して枯れるというサイクルを繰り返しています。穂の先はくるんと巻いています。花が咲き進むにつれて巻きがほどけるようにしてのびていき、最終的には20センチメートルから30センチメートルほどの長さになります。このように巻いたような穂のつきかたをサソリ状花序または巻散花序と言います。穂の部分には葉はありません。花は直径2ミリメートル程度と小さいのですが、よく見るととても可愛らしい姿をしています。花びらは水色で、中心付近はほんのり黄色になっています。つぼみはしばしばピンク色になります。キュウリグサのキュウリ、これはあの野菜のキュウリのことです。しかし見た感じはどこにもキュウリの要素がなく、疑問に思う方も多いかもしれませんね。では、どこがキュウリなのか…。葉を揉んで匂いを嗅ぐと、そこに答えがあります。そう、キュウリのような匂いがするのです。草むしりをしている時にふとキュウリの匂いが漂ってきたら、近くにキュウリグサがあるかもしれません。

 

クサイ(草藺)は、身近な場所にごく普通に生えるツンツンした感じの地味な草です。人がよく通る「けもの道」のような場所で、踏みつけられ、泥をかぶりながらもたくましく育っています。ふだんは深緑色ですが果実期になると黄色みがかった色になります。初夏を中心に、茎の先に小さな薄緑色の花を咲かせます。花が開くのは朝のうちのみです。花びらは6枚で、外側は白くてうすい膜のようになっています。雄しべは6個あります。花びらは花後も脱落しないでそのまま残り、その真ん中に少し縦長の果実ができます。花びらの長さと果実の長さはだいたい同じくらいです。熟したタネは、濡れるとベタベタとした透明な粘液に覆われさわるとべたつきます。これで人の足などにくっついてあちこちに運ばれていきます。イグサのようなツンツンとした姿の草に対して、「○○イ」という名前がつけられているものがあります。イグサ科やカヤツリグサ科に多く見られる傾向です。日本語の形容詞の基本形も「○○い」となることから、音の響きが面白く聞こえるものもあります。クサイ(草藺)もその一つでしょう。他には、イグサ科のホソイ(細藺)、カヤツリグサ科のフトイ(太藺)、シカクイ(四角藺)などが挙げられます。

 

クサヨシは九州以北の日本各地に生育する多年生の草本です。北半球の温帯に広く分布しています。小川や大河川の通常は流れの緩やかな場所に生育します。細い地下茎で広がって群落を形成します。したがって、生育する場所の土壌は泥や砂質であることが必要です。大きな礫が含まれていても、その間は必ず砂や粘土です。小河川では純群落を形成して繁茂しますが、大河川ではヨシやオギなどの群落に混生することが多です。冬にも緑葉を地表面に展開しており、ヨシやオギが成長して地表を覆ってしまう前に成長し、花を咲かせます。同じ場所を季節的に住み分けて使っているといえます。初夏に花を咲かせると、高さは2m近くなります。花穂は最初は円柱状、やがて広がって散開しますが、稔ると再び円柱状になります。クサヨシの名前は、ヨシと同じような場所に生育しますが、より細くて柔らかいという意味です。葉は乾燥させると甘い香りがあり、味も甘くなります。

 

コノテガシワは樹高15mを超える常緑高木で、中国から朝鮮半島に分布します。以前はクロベ属に含まれていましたが、未熟な球果が多肉質で、種子に翼がないなどの点から、現在は1属1種のコノテガシワ属となっています。自然樹形でも卵形や狭円錐形に整いますが、大きくなりすぎる前に刈り込んで樹形を維持します。園芸品種も多く葉色のバリエーションが多いのも魅力ですが、コノテガシワには冬の葉色が茶色や褐色を帯びる品種が多くあります。生育期の黄緑や濃い緑の葉色から一変する冬の葉色を知ったうえで品種選びをすると、四季を通して周囲の木々との調和が楽しめます。ヒノキ科(分子系統に基づく分類:ヒノキ科)の常緑低木または小高木で、高さ2~14メートルになります。中国名は柏、側柏です。枝は直立して広がり、小児が手のひらを立てたようにみえるため、コノテガシワの名があります。植付けの場所は、日陰でも大丈夫ですが日当たりの悪い場所では発色が悪く、内側の枝葉が少し枯れる事があります。 ・植付けの土質は、水はけの良い肥沃な土地を好みます。 ・密に植える場合には、生長した事を考えて1.5~2m程あけて植えて下さい。 ・植付けの穴は、根鉢の1.5~2倍の大きさで堀り植え込んで下さい。

 

サガリバナは、陽が落ちる頃に花を咲かせ、夜明けには散ってしまう「幻の花」。日本でも限定された一部の地域でしか見ることができない希少な花です。白や淡いピンクの綿毛のような花を、ぶらりと垂れ下がる茎の周りに連なって咲かせる姿が「フジの花」に似ていることから、「沢藤」とも呼ばれています。その美しさとバニラのような甘い香りが相まってつくり出される幻想的な雰囲気に、心を奪われることでしょう。サガリバナは夏の風物詩で、6月から9月頃まで見ることができます。その中でも見頃なのは梅雨が明けた6月の下旬から7月の後半頃までで、基本的には7月の頭が最盛期です。自然のものなのでその年の降水量や日照時間、気温、月の満ち欠けなどの要因によって開花や見頃の時期に変動はありますが、6月末から7月頭を目処にすればいいでしょう。サガリバナのもっとも大きな特徴が、「開花時間」です。夕日が綺麗な頃に大きく膨らんだつぼみが開き始め、日没後の暗くなった20時頃には完全に花を咲かせる個体がでてくるため、それ以降の時間帯が見頃です。そして、翌日の朝日が上る5時頃には花が落ち始め、太陽が完全に上る頃には前日の夜に咲いたすべての花が落ちています。

 

ザクロは、外見は茶褐色で、少しおどろおどろしい感じですが、中にはルビーのような赤く美しい実がつまっています。市販されているザクロはアメリカ産、イラン産を中心とした輸入品。国産のザクロに比べて甘みが強く酸味の少ない品種です。ペルシャ(イラン)原産で古代から食されてきました。西へはシリアからエジプトに伝わり、さらにギリシャに伝わって「カルタゴのりんご」と呼ばれました。種が多いことから、ギリシャ・ローマ時代には「豊穣のシンボル」とも呼ばれたようです。また、スペインの町グラナダの「グラナダ」とはザクロを意味する言葉です。やがて地中海沿岸地域が主産地となり、アメリカに伝わったものはフロリダ・ルイジアナ州など東部で広まりました。約2000年前、ペルシャ北部の安石国からシルクロードを経由してアジアに伝わってきました。日本には平安時代に中国から伝来したと考えられています。当時は主に花の観賞や薬用として使われました。日本で育てられた品種は実の非常に酸っぱいもので、果物屋で売られるというよりは庭木として親しまれてきたものです。 現在ではアメリカのカリフォルニア州、アリゾナ州やイタリア・スペインなどの地中海沿岸諸国、インド、中国などで果樹として栽培されています。ザクロは日本での栽培は非常に少なく、市場に流通しているものはアメリカ・カリフォルニア産又はイラン産です。品種は大粒のワンダフル系統です。

 

「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、日増しに春めいてきました。わが家の庭にも、梅の花に代わって、山茱萸(サンシュユ)が鮮やかな黄色い花を咲かせています。山茱萸は、中国や朝鮮半島が原産の落葉木で、日本では江戸時代に薬用植物として栽培が始まったと言われています。早春になると木全体が黄金色に輝いて見えることから、別名春黄金花(はるこがねばな)とも言います。この果実の種を取り除いて乾燥させたものが生薬<サンシュユ>で、滋養強壮、疲労回復などに効果があるとされています。また、冷え性・頻尿・肝機能障害の改善、血糖値を下げる作用、免疫力を向上させる作用がある“老化防止”の漢方薬だというので、秋になったらぜひ手作りの生薬<サンシュユ>を作ってみようと思います。そしてもう一つ、山茱萸には驚くべきパワーがあるんです。それは――山茱萸の枝でヨーグルトを作ることができるというのです。山茱萸の枝の中には乳酸菌が含まれており、40℃ほどに温めた牛乳の中に入れておくと、発酵して固まり、ヨーグルトになるというのです。ヨーグルトの本場ブルガリアには“ヨーグルトの木”と呼ばれるドリャンの木があり、山茱萸はその親戚にあたるので、ヨーグルトが作れるのだそうです。

 

シバザクラは、アメリカ西部原産の毎年咲く多年草です。茎は立ち上がらずに横に這うように広がって4~5月に花を咲かせます。環境が良ければ一株で径50cmほどに広がり、満開時の地表を埋め尽くさんばかりの花は見応えがあります。花は色は白、ピンク、藤色などがあり、その中でも品種によって濃淡の色幅があります。また白い縁取りやすじ模様が入るものなどもあり、非常にバラエティー豊富です。地面を覆うグランドカバーとして単独で利用したり、花壇の縁取りや高さのある他の植物とあわせて寄せ植えにしたりと幅広く利用できる植物です。寒さに強く、寒冷地でもよく育つ…というよりどちらかというと涼しい環境の方を好みます。シバザクラの名前は芝のように茎がほふくし、桜のような花を咲かせるところに由来します。学名のフロックス・スプラータの「スプラータ」は「針形の」という意味で針状のがくを付けるところから来ています。

 

シラホシムグラは、日本でよく見かける雑草です。別名はツルハモグラ、ツルハナグサ、ツルハナモグラと呼ばれ、細長いつるを他の植物に巻きつけて成長します。寄生するわけではなく、支えを得るための適応です。世界の湿った場所で見られ、日本の道端や畑、庭でもよく生育します。小さな白い花を夏から秋にかけ開花させ、集散状に咲きます。一年生または二年生の草本で、名前は茎の突起が白い毛に似ていることに由来します。実は小さく丸く、熟すと緑や黒になり、鳥や動物に運ばれて種子が広がります。絡みつく性質があるので、他の植物と混植するのに適しており、水やりに気をつければ容易に育てられます。シラホシムグラは身近で特徴的な植物で、生育環境に適応して繁殖しているのが興味深いです。シラホシムグラ(白星葎) は寒さに強く、20°C以上で最もよく生育する。冬期は0°C以上に保つ。-35°C}を下回ると、冬場は目立った変化はないものの、発芽が悪くなったり、春になっても発芽しないことがあります。本来の生育環境は湿った日陰で、肥沃な土壌で育ちます。季節が変わっても、必要に応じて好みの温度範囲に調節することができます。

 

スティパ属の植物は多数ありますが、ガーデニングでは小型のテヌイッシマの改良品種が主に出回っています。品種名のエンジェルヘアーやポニーテールなどで出回ることも多いです。柔らかな髪のように細い葉をたなびかせる葉ものです。新芽のころは葉色はライムグリーンで美しく、初夏には白灰色の花穂をつけさらに雰囲気がよくなります。冬越し中は葉は緑が濃くなり白く枯れた葉も目立つようになります。株はロゼット型、品種により株の大きさに変化があります。店頭では苗やタネで出回ります。流通量はそれほど多くありませんが有料庭園ではよく見かける定番リーフプラントです。日当たりと水はけのよい場所に植えられれば放任でも育ちます。適地に植えることが大事です。湿気の多い環境は苦手なので、土の水はけと風通しをよくします。適した場所がない場合は鉢植えで育てた方が無難。長雨の際には軒下に移動できる利点もあります。

 

夏になると、日本各地の日当たりの良い道端の藪や山野に、白い花をいっぱいにまとったセンニンソウが目を引きます。センニンソウはつる性の多年草で、無毛の茎は勢いよく長く伸びます。葉は羽状複葉で、小葉は卵円形で3〜7枚付けます。葉柄で他のものにからみよじ登ります。花は盛夏から初秋にかけて円錐花序にがく片4枚の白い花を多数つけます。茎や葉の切断面から出る汁や濡れた花粉に触れると炎症を起す有毒植物です。和名のセンニンソウは、白い花をまとった姿が仙人をイメージすると思いきや、花の後に果実より伸びた銀白色の長毛が密生した様子を、仙人のひげにたとえたことに由来しているようです。センニンソウの別名には、ウマノハオトシ、ウマノハコボレ(馬歯欠)、ウシクワズ、ハコボレ、ハグサなどがあり、これは有毒植物である所以です。10月頃に根及び根茎を掘り出し、水洗いした後、乾燥したものが生薬 「ワイレイセン」です。しかしその利用例はわかっていません。民間では、夏から秋にかけて採取したセンニンソウの生の葉を扁桃炎、神経痛、リウマチの痛みの患部に数分貼り付けるなど、少し手荒い療法があったようです。いずれにせよ、センニンソウは毒性が強いので、民間では絶対に飲用しないように注意が必要です。それゆえワイレイセンは、残念ながら漢方の生薬として日本では利用されていません。

 

竹煮草(タケニグサ)は、宇奈月の山地の日当たりのいい荒れ地に生え、高さ1mから2mにもなるケシ科の大形多年草です。竹と一緒に煮ると竹が柔らかくなり、細工しやすくなることが名前の由来となっています。茎頂に白い小花を多数つけた円錐花序を作り、白色の2個の蕚片は開花時に落下します。葉は、掌状に深く切れ込んだ広卵形で互生し、裏面は、毛が密生し白くなり葉柄があります。茎を切ると有毒の黄色の乳液が出てきます。この有毒成分はプロトビンなどのアルカイロイドで、皮膚の炎症などを引きおこします。外用として皮膚病等に効き目があります。山が荒れはじめると竹煮草が増えるようです。富山県水墨美術館に、菱田春草の「武蔵野」という題材の作品があります。背景に、薄墨の富士と前面に大形の植物が描いてあります。竹煮草です。掌状に深く切れ込んだ大きな葉が墨濃淡で描かれています。大形の竹煮草と大きな葉が、春草の筆を走らせたのかもしれません。

 

マメ科。学名:Dalbergia oliveri 常緑高木。チンチヤン(Ching Chan)、Tamalan tree、Tulipwood、タイではチンチャン、ミャンマーではタマラン、ラオスではカンピ などと呼ばれています。ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムに分布します。樹高15〜30メートル。直径50cm。果実は、熟すと茶色から黒色に変わる1〜2個の種子を含む緑色の鞘です。材は木理は交錯し、紫檀よりもいくらか荒いです。両逆目が強く加工は難しいです。比重は1.04程度と重く硬くて 強い材です。乾燥後は狂いが少なく接着性、塗装性はよいです。 材の色はホンシタンはど赤くはなく、褐色を帯びて暗いですが、似た雰囲気があり、ホンシタンの模擬材として使用されています。ホンシタンとの差は経年変化により明瞭にあらわれ、塗装直後はきれいでも、テチガイシタンは色がぼけて、しだいに白茶けてきます。辺材は淡い黄褐色で、心材は赤色がかった紫褐色で、紫檀よりやや淡い境界は明瞭です。心材は非常に硬くて重いです。肌目はやや粗いが仕上がりは良好です。耐久性、耐朽性は高いです。木材商品としてビルマ産ローズウッド、ラオス産ローズウッド、アジア産ローズウッドの名前で販売されています。用途は木工ろくろ細工、家具、仏壇、楽器、床用、突き板など用いられます。

 

ナズナは畑や道端など至るところ生え、「春の七草」の一つに数えられています。生命力が旺盛なことから、よく雑草と思われがちですが、邪気を払い一年の無事を願う風習として、正月七日に食べる七草粥には欠かすことのできない植物です。ナズナは一年または二年草で、草丈は10~70 cm位になり、切れ込んだ根生葉は、ロゼットで越冬します。春になると直立した花茎を出し、4花弁の白い十字形の花を総状花序につけ、果実は心臓形を呈しています。ナズナの語源は「撫菜)」より転訛したといわれ、撫でたいほどかわいい菜の意味があります。また果実が三味線の撥(ばち)に似ていることからペンペングサ、シャミセングサ(三味線草)、バチグサ(撥草)の別名もあります。属名のCapsella(カプセラ)は、ラテン語で「小箱」の意味があり,果実の形から名づけられました。開花期の全草を水洗後、日干ししたものが生薬セイサイ(薺菜)またはセイ(薺)といいます。民間療法では、主に煎じ薬として利尿、解熱、子宮や腸の出血、高血圧症、便秘、目の充血、尿、解熱、止血、緩下、動脈硬化予防、月経困難の際に使用されていました。目の充血には煎液を人肌に冷ましてから脱脂綿に含ませて洗眼すると良いと言われています。

 

ネズミムギ、ホソムギともにヨーロッパ原産の多年草で牧草として世界じゅうで栽培されています。しかしこの2種類は交雑しやすく、その結果誕生したのがこのネズミホソムギです。ネズミホソムギも「ハイブリッドライグラス」と呼ばれ、同様に牧草として広く利用されています。初夏を中心に、茎の先に30センチメートルほどの長さの穂が1本つきます。ふつう穂は枝分かれしませんが、エダウチ型と言って、さまざまな枝分かれが見られることがあります。ふつう小穂の先には芒があります。ただ芒の出具合は株によって、また同じ株でも小穂によってずいぶん異なります。世界中の畜産を支える重要な牧草です。一方で増える力がとても強く、イネ科花粉症の主要な原因植物にもなっています。この点に留意しつつ有効に活用していきたいところです。ネズミムギ(イタリアンライグラス)、ホソムギ(ペレニアルライグラス)とも、ヨーロッパ原産の多年草で、牧草として広く栽培されています。一般に小穂に1センチメートルほどの芒があり、長さが揃っていて、次に出る若葉が若芽の中で渦を巻くように収まっています。一方のホソムギは小穂に芒はなく(稀に短い芒あり)、次に出る若葉は若芽の中で2枚に折りたたまるようにして入っています。

 

ハナミズキはミズキ科ミズキ属の落葉高木で、アメリカヤマボウシという別名があります。この別名からわかるように原産地はアメリカで、おもに北米東部からメキシコ北東部に分布しています。開花時期は、桜(ソメイヨシノ)が散った後。4月中旬から5月中旬にかけて、白、赤、ピンクの花を咲かせます。樹高は5~10m。樹木としては、耐寒性、耐暑性ともにやや弱いという特徴があります。これから白、赤、ピンクの花を咲かせるハナミズキですが、これらが「花ではない」というのは、どういう訳なのでしょうか?ハナミズキが大きく咲いたように見せている“花”は本来の花弁ではなく、総苞片(そうほうへん)と呼ばれる花のつけ根の葉です。ハナミズキの鑑賞期間が他の樹木の花に比べてかなり長いのは、それが“葉っぱだから”ということになります。ハナミズキは自然に樹形が整う木であるために、街路樹、公園木、個人庭園など幅広い用途で楽しめます」「本当の花は、総苞片に囲まれた中央部に、小さな花が寄り集まったようにいくつも咲きます。つまり、私たちが花びらだと思っているものの中に小さく咲いている事になります。確認するにはハナミズキに近づいて、“花びらの中”をのぞいて見るといいでしょう。離れていては見えないくらい小さな花が、中心部にあるのがわかります。未開花のときは緑色の粒々の集まりですが、それらが黄色に変わると開花した状態です。

 

名は花の色が桃の花に似ていると云う事からきています。羽を広げている白い蝶に見立てて別名ハクチョウソウ(白蝶草)とも云います。従来はヤマモモソウ属とされていましたが、分子系統学的成果により、ヤマモモソウ属はマツヨイグサ属に合一されました。園芸の世界では今でも旧属名であるガウラの名で流通しています。明治時代中期に北アメリカから渡来した多年草です。観賞用に栽培されていたものが逸出して日当たりのよい道沿いや河川敷などで群生しています。茎は細く直立し、分枝しています。葉は葉柄がなく、狭披針形で、僅かに粗い鋸歯があり、互生しています。6~10月頃、長い花茎を伸ばして総状花序を作ります。花は白色~桃色で、左右相称です。萼片は開花時に反り返ります。花弁は4枚、雄しべは8本、雌しべは1本。果実は蒴果です。

 

ペパーミントとは、ウォーターミントとスペアミントが交配して生まれた品種で、別名「西洋薄荷」とも呼ばれているハーブの一種です。葉の形はスペアミントより尖っていて、ギザギザはありません。ペパーミントには「メントール」が多く含まれており、強い刺激と清涼感が特徴です。スペアミントと同様お菓子やデザートのほか、臭み消しや清涼感を添える目的で羊料理や魚料理にもよく合わせて使われています。また、歯磨き粉や虫よけスプレーなどの香料としても広く利用されています。スペアミントとは、別名「緑薄荷」と呼ばれている多年草の植物です。スペアミントの葉はペパーミントより丸みを帯びているのが特徴で、葉が「槍(Spear)」のようにギザギザした形であることからその名前が付けられました。「l-カルボン」という香り成分が含まれていて、ミント特有の刺激が少なく、清涼感の中にほのかな甘みや苦みがあります。ヨーロッパ中部から地中海が原産といわれており、比較的ヨーロッパでよく使われています。スイーツや料理のトッピングのほか、ハーブティーやカクテルのモヒートにも使われます。

 

ホソムギは牧草あるいは種子吹き付けによる緑化などに利用される多年草です。同属のネズミムギなどと自然交雑あるいは交配によって品種改良され中間的なものが広く分布しており、同定の困難な種です。緑化などではペレニアルライグラスと呼ばれ、牧草種子吹き付けにもよく利用されています。越年草で、生育期間ほぼ通年です。種子で繁殖します。ヨーロッパ原産の帰化植物で牧草や砂防用植物として各地で栽培されたものが野生化して、現在では道端、あき地などに広がっています。ほぼ1年中発生しますが多くは秋に発生して幼苗で越冬します。茎はそう生し、高さ30~70㎝になります。葉は多くは根ぎわから出るが茎にもつきます。葉は細長い線形で、基部は鞘となって茎を包んでいます。葉の表面は滑らかで、5~8月に細長い穂を出します。小穂は扁平で穂軸に2列に並んで付き、小穂はネズミムギと違いのぎがないので区別できます。

 

マツの仲間は、北半球の寒帯から亜熱帯に9種ほどが広く分布します。日本にはアカマツ(赤松)、リュウキュウマツ(琉球松)、ゴヨウマツ(五葉松)、ハイマツ(這松)、クロマツ(黒松)、チョウセンゴヨウ(朝鮮五葉)の6種の自生が見られます。なかでも、クロマツは樹高が30mにもなり寿命も長いため、長い年月をかけて枝づくりと樹形を維持していくと、風格がある庭の主木となる代表的な樹種です。マツの仲間は葉が1年から5年間枝に残ります。そこで、庭木としての樹形を美しく維持するためには、古い葉の「もみあげ」や「ミドリ摘み」といった技術と知識を要する手入れが必要であり、主木としての付加価値を高める条件といえます。このほか、海外に分布するマツの仲間もコニファー(針葉樹の総称)の人気とともに、近年は多くの品種が導入されています。クロマツは、樹皮は灰黒色で亀甲状に深い溝ができています。葉は2葉が束生し、濃い緑色で長く堅いです。豪壮な外観からオトコマツ(オマツ)とも呼ばれています。アカマツは、葉はクロマツより細く柔らかな2葉が束生するためオンナマツ(メマツ)とも呼ばれています。樹皮は赤茶色で古くなるとはがれ落ちます。庭木では秋か冬にめくれかけた樹皮をはがし、つややかな新しい樹皮を見せ観賞価値を高めています。株元から放射状に分枝し傘状の樹形になる‘タギョウショウ‘など園芸品も多いです。

 

メマツヨイグサ(雌待宵草)は、1920年代に観賞用に導入されましたが、増える力がとても強く、今や荒れ地ではびこって、他の外来種とともに背の高いやぶをつくっています。それでも夏の夜に咲かせる花は、幽玄な美を感じます。花の直径は2センチメートルから5センチメートルほどで、季節が進んで気温が下がってくると日中も開いたままになります。果実は棒状で、熟すと先が4つに開き、この中に細かいタネがびっしりと詰まっています。この果実はいわば「天然のタネまき器」で、風などで揺れるたびに、中のタネがすき間から散布されていくしくみとなっています。マツヨイグサの仲間で最もよく見かけるのがこのメマツヨイグサとコマツヨイグサです。かつて多かったオオマツヨイグサは今は稀になりました。オオマツヨイグサはメマツヨイグサそっくりですが、メマツヨイグサよりも明らかに大きな花を咲かせます。メマツヨイグサは夜に咲く幽玄な花を楽しむために観賞用に栽培されるだけではなく、食べられる草としても役に立っています。新芽や花、蕾は茹でて和え物にしたり、天ぷらにしたりと山菜にして食べられます。また根がとても太くなるため、「ハムの根」とも呼ばれ、アメリカ先住民は乾燥させたものを、冬の保存食としたようです。乾燥させた根は茹でると甘くて美味しく食べられます。

 

ヤツデは、日本原産の常緑低木で、本州の福島より南~沖縄まで広く分布します。日本では古くからごくふつうに親しまれており、庭園や公園にもよく植えられています。ヨーロッパには1838年に入ってきたという記録が残っており、今では世界で広く栽培されています。厚みのある葉は深い緑色で通常7~9、多くて11くらいに裂けます。裂ける数はたいがい奇数です。表面には光沢があり葉の縁は細かいギザギザになっています。その特徴的な葉姿から、テングノハウチワの別名があります。冬も落葉せずに大きな葉が茂っているので目隠し用の庭木として利用される他、大きな手のような葉が人を招くという「千客万来」の縁起を担いで玄関先や門の脇に植えられることもあります。また、大きな葉っぱが魔物を追い払うとも言われています。日陰でも元気に育つので、あまり日当たりの良くない場所にも植えることができます。冬、球状にまとまった白っぽい花がたくさん咲き果実が付きます。果実は翌年5月頃に黒く熟します。

 

レンギョウはおよそ8種の仲間がある落葉性の低木です。ほとんどの種は中国、朝鮮半島、日本などに分布しますが、1種のみ東ヨーロッパ(主にアルバニア)に産します。園芸で栽培されるのは主に中国や朝鮮原産の種です。具体的には、レンギョウ、シナレンギョウ、チョウセンレンギョウ、それに人工的に掛け合わせて作られたインテルメディアを加えた4種が庭木や垣根、切り花などに広く利用されています。日本産(西日本のごく限られた地域に自生)のヤマトレンギョウは、花付きが他の種に比べてややまばらで寂しいからか、園芸では利用されません。レンギョウの仲間をまとめてレンギョウと呼ぶこともありますが、厳密には学名でフォーサーシア・サスペンサと呼ばれる特定の種のことを指して「レンギョウ」と言います。細長い枝を地際からたくさん伸ばして茂ります。開花期は春で、枝を埋め尽くすほどたくさんの黄色い花を咲かせます。花びらは基部から深く4つに裂けてやや斜めに開きます。属名のフォーサイシアはイギリスの園芸家フォーサスの名前にちなみます。