ba3ji3の植物園4


 公園の草木  



 

一般にマーガレットとして扱われているのは、本来のマーガレットであるモクシュンギク(アルギランセマム・フルテッセンス)の園芸品種のほか、モクシュンギクと近縁種を交配させた園芸品種です。モクシュンギクはスペイン領カナリア諸島原産の半耐寒性低木です。関東地方以西では霜に当てなければ戸外でも冬越しが可能で、冬から春まで長期間花を楽しむことができます。高温多湿に弱く、日本では夏に生育を休止します。鉢植え、庭植え、切り花に向きます。モクシュンギクでは、明治時代に導入された‘在来白’という白花の園芸品種がよく知られています。



‘在来白’はタネがなかなかできませんが、鉢物用に改良された最近の園芸品種の多くは簡単にタネができます。黄花の園芸品種のなかには、近縁のシュンギク(キク科キク属)との交配によって誕生したものもあります。最近ではハナワギク(キク科キク属)と交配させた園芸品種がふえていますが、花後に雨に当てると枯れやすく、一年草的な性質が強いといえます。花形は一重、丁字、八重、ポンポン咲きなど変化に富んでいます。基本的に香りはありませんが、ラベンダーに似た香りをもつ交配種もあります。

 

オキナグサは本州、四国、九州の日当たりのよい草原や林縁に生える多年草です。花後にできるタネに白く長い毛があり、そのタネが密集して風にそよぐ姿を老人の白髪に見立てて「オキナグサ(翁草)」と呼ばれているといわれます。地下には太いゴボウ根状の根茎があり、春に暖かい日ざしが注ぐと芽を出します。葉を開くと同時に白い毛で覆われた花芽を伸ばし、葉の伸びきる前に、短い毛で覆われた赤紫色の花を下向きに咲かせます。花弁に見えるものは萼片です。この花が数輪咲いた姿はとても情緒があり、タネの姿と相まって愛好家が多い理由もうなずけます。庭植えにすると、より風情や情緒が楽しめるでしょう。花後に葉の展開が終わると、花茎が長く伸びて、先端にタネを実らせます。あとから開花した茎の成長が止まると、葉はほとんど出ることもなく夏を迎えますが、わきにはしっかりと側芽をつけており、秋には株を充実させます。やがて落葉して休眠に入ります。



パンジーはヨーロッパに分布する数種のスミレ類を掛け合わせてできた園芸植物です。通称でサンシキスミレと呼ばれることもあります。開花の早い品種は、8月末にタネをまくと11月頃から咲きはじめ、翌春まで楽しめます。夏を越して毎年花を咲かせることもありますが、高温多湿が苦手でおおかたは梅雨前に枯れてしまいます。花壇やプランター、鉢植え、ハンギングなど用途は幅広く春花壇には欠かせない植物で、非常にバラエティーに富んだタネや苗が出回ります。数千とも言われるたくさんの品種があり、花の大きさ・色・咲き方をはじめとして途方もないバラエティーがあります。単色の他、きれいに2色に咲き分けるもの、花の中心に「ブロッチ」と呼ばれる目が入るもの、様々な色の混じるもの、縁取りが入るものなどがあります。ユニークなものに、花びらのフチが大きく波打つ品種などもあります。

 

パンジーの名前はフランス語のパンセ(物思い)に由来し、花の咲いている姿が物思いにふけっているように見えるところから名付けられました。パンジー改良の歴史は19世紀初頭にはじまり、現在も続いています。花の大きさで言うと、ごく小輪の野生種からはじまり、超巨大輪といも言われる10cmを越す品種に達しました。どのように改良が進んでいったのか、時系列で見ていきたいと思います。パンジーは交雑によって作られた植物なので、基本的に野生種はありません。元となる野生種はありますが、世代を渡った複雑な交雑を経て成り立っているので、全容はわかりにくいようです。ルーツとしてわかっている野生種は、ビオラ・トリコロル〔V. tricolor〕、ビオラ・ルテア〔V. lutea〕、ビオラ・アルタイカ〔V. altaica〕、ビオラ・コルヌータ〔V. calcarata〕の4種です(ここで言うビオラはスミレ類の学名のビオラです)。時代の流れからか、巨大輪種は受けなくなり現在は小~中輪でたくさんの花を咲かせるものが主流になっています。

 

現在、パンジーの改良をリードしているのは日本で、数々の優良な品種が生み出されています。現在は日本やイタリアで育種が進み、八重咲き種やたっぷりフリルの入るボリュームのある品種など大輪種とはまた違ったゴージャスさのある品種、パステルカラーで色幅があり個性的な花を咲かせる遊びごころのあるかわいらしい品種などが作られています。パンジーが日本に入ってきたのは江戸時代末の1864年頃とされています。当時は遊蝶花、胡蝶草などと呼ばれていました。一般に栽培されるようになったのは戦後からです。昭和30年代に園芸家を中心としたパンジーの会が結成され、世界各地から様々なパンジーが収集されました。昭和40年代に入ると種苗会社が本格的な育種を開始して、優良品種が数多く作出されるようになります。日本での育種は現在でも非常に盛んで、種苗会社や個人育種家によって多くの品種が作出され続けています。

 

ハマナス(浜茄子)は砂浜や砂丘に自生する落葉低木です。庭や公園などにも観賞用に植えられ、地下茎を伸ばして群生します。夏中咲き続けるよい香りの花にはハチなどの昆虫がよく集まり、花が終わった後にできる実はローズヒップと呼ばれ食用になります。皇后雅子陛下のお印にもなっています。ハマナス(浜茄子)は、中国・朝鮮半島・日本原産で、バラ科バラ属の耐寒性落葉低木です。牡丹の花を小さくし、一重にしたような綺麗な桃色の花を咲かせます。枝はよく分岐し、バラ科なので茎に鋭い刺があります。水捌けのよい海岸の砂地に生えます。花に芳香があり、香料の原料となります。果実は形が梨に似ており、ジャムなどにして食べられます。近年は園芸品種が多く育種されています。

 

ニセアカシアは5月から6月にかけて、下垂する花房(総状花序)を出し、芳香のある白い花をつけます。幹には鋭いとげがあります。「アカシアの蜂蜜」として売られている蜂蜜の多くは、本種の花から採取されています。花は天ぷらにして香りを楽しみながら食べることもできます。もともと北アメリカから砂防用や土地改良用、飼料用として導入された落葉性の高木です。根粒菌と共生しているため、繁殖力が旺盛で、現在では日本各地の河原や原野に野生化しています。一般にニセアカシアの名称が広く使われていますが、ハリエンジュの別名もしばしば使われています。花は白でフジの花の房を短くした印象です。枝には鋭いとげがあり、葉は羽状複葉で小葉は卵形で、葉先にあるわずかな窪みが特徴です。原種の実用目的どおりのとても丈夫な樹木ですが、家庭園芸ではいくつか管理上の問題があり、後々切り倒されたりしやすいです。

 

夏前から夏の終わりにかけて、海岸の道路沿いなどで南国感漂う可憐な花を咲かせているのが「夾竹桃(キョウチクトウ)」です。南房総市内でも、この可憐な花を見かけることがあります。夾竹桃はインド原産の常緑低木で、葉は竹の葉に似た細長い形をしており、6~9月頃にかけて桃の花に似たピンクや白の花を咲かせます。車の排気ガスや塩害に強く、枯れにくいため、海岸の道路沿いや緑地など多くの場所で植栽されています。しかし根・幹・葉・枝・花・種子など樹木全体に強い毒性があり、万が一口に含んでしまうと、最悪の場合、命にかかわる危険性があります。周辺の土壌にも毒性が出るそうなので、取扱う際には細心の注意が必要です。夾竹桃は日本国内の公園にもよく植えられているため、子どもやペットが口に入れないよう気を付けましょう。

 

マリーゴールドは鮮やかな黄色や橙色の花を長期間次々と咲かせます。栽培も容易で、花壇の定番品目ともいえるポピュラーな花です。ボリューム感があり、マッス植えや花壇の縁取り、コンテナ植えなど、広い場所から小さなスペースまで、華やかさを出すには好都合な草花です。品種も多いので、組み合わせによりさまざまなバリエーションを演出できます。草丈が低く枝分かれの多いフレンチ・マリーゴールドと、高性で大輪のアフリカン・マリーゴールドが主に栽培され、両種の交配種もあります。また、メキシカン・マリードールドは、細い葉がマット状にこんもり茂り、たくさんの花を咲かせます。マリーゴールドには独特のにおいがあり、コンパニオンプランツとして、ネグサレセンチュウなどほかの植物の害虫の防除に役立つものがあります。



マリーゴールドは鮮やかな黄色や橙色の花を長期間次々と咲かせます。栽培も容易で、花壇の定番品目ともいえるポピュラーな花です。ボリューム感があり、マッス植えや花壇の縁取り、コンテナ植えなど、広い場所から小さなスペースまで、華やかさを出すには好都合な草花です。品種も多いので、組み合わせによりさまざまなバリエーションを演出できます。草丈が低く枝分かれの多いフレンチ・マリーゴールドと、高性で大輪のアフリカン・マリーゴールドが主に栽培され、両種の交配種もあります。また、メキシカン・マリードールドは、細い葉がマット状にこんもり茂り、たくさんの花を咲かせます。マリーゴールドには独特のにおいがあり、コンパニオンプランツとして、ネグサレセンチュウなどほかの植物の害虫の防除に役立つものがあります。マリーゴールドの仲間タゲテス属には50種ほどがあり、日本ではシオザキソウが帰化植物となっています。宿根性の種類では、柑橘系の強い香りのあるT・レモニー(レモン・マリーゴールド)、甘い香りで切り花にも利用されるT・ルシダ(ミント・マリーゴールド)があり、秋の花壇をにぎわしてくれます。これらは-5℃ぐらいまでなら冬越しできます。

 

「ききょうなでしこ」は、牧野植物図鑑にもみられる古くからの和名です。しかし、キキョウ科でもナデシコ科でもない植物の和名としてはあまりふさわしくないこともあり、現在は学名のままフロックス・ドラモンディと呼ばれることが多です。和名はキキョウナデシコ(桔梗撫子)ですが、キキョウ科でもナデシコ科でもなく、名付けの理由ははっきりとしていません。「フロックス」という名前で流通するものには一年草タイプと多年草タイプがありますが、こちらは一年草のフロックスです。スターフロックスという園芸品種がよくホームセンターなどで販売されています。

 

耐寒性または半耐寒性の一年草です。草丈は15~50cmですが、矮性種のほうが好まれています。茎は直立しますが、特に矮性種では、分枝も多いです。葉は茎の下部では対生、上部では互生し、長楕円形で、長さ5cm、はばは1cm程度です。花は秋まきでは初夏、春まきでは夏に開花し、直径2cmくらいの漏斗型の花が数個ないし十数個まばらな円錐花序に咲き、花色には薄紫、淡紅色、紅などがあります。欧米の大きな種苗店では、一代交配種も含め、十種以上を扱っているところがあります。日本でもたまにこうした新品種が紹介されることがありますが、現在は丸弁のいわゆるドラモンディと、花弁の先がとがって★形のスターフロックスが出回っているだけです。

 

アメリカ合衆国のテキサス州からニューメキシコ州にかけて分布しています。こぼれ種で増えることもあるほど丈夫な草花で、半日陰や、やせた土地でも割合良くできます。多湿に弱いため、少し乾かし気味に育てると良いです。種まきは首都圏以南では、秋の彼岸ころ、高冷地や東北・北海道地方では、ソメイヨシノが散るころにまくのがよいです。健全な生育に最適な暖かさと日照が得られる春先から晩春の最盛期に移植しましょう。水はけがよく、風通しのよい場所を選びましょう。もし可能であれば、キキョウナデシコ(桔梗撫子) を強風から守ると、最良の結果が得られます。

 

リビングストンデージーは、日が当たると一斉に大きく花開き、色とりどりでまばゆいほどです。花はマツバギクに似ていますが、より華やかな印象を受け、蛇の目傘を開いたように中心部が濃く、コントラストもはっきりしています。花径は5~6cm、1輪は数日間開閉を繰り返します。茎は分枝しながら地面を這うように広がり、厚みのある葉には多数の透明な小突起があり、光って見えます。花色が豊富で、春の比較的ポピュラーな花になっており、春の花壇やコンテナを彩る花として、3月ごろから苗が多く流通します。タネからの栽培も容易で、早く成長します。温暖で日当たりのよい環境を好みます。冬は凍らないように管理します。また、高温多湿や乾燥に弱く、初夏に気温が上がってくると株は枯れます。水はけが悪いと根腐れしやすいので、水はけがよく、しかも乾燥させないことが大切です。多肉質ですが、一般の草花と同様に、生育開花には十分な水分を必要とし、乾燥させると株が弱くなります。

 

用土が乾き始めたらたっぷりと水を与えます。タネが発芽して本葉が出てきたら、月に3~4回液体肥料を施します。苗が大きく育ち、花壇やコンテナに植えつけてからは、粒状の化成肥料などを株のまわりにまいておくとよいでしょう。日当たりと水はけのよいところであれば、病気はほとんど見られませんが、湿度が高いと灰色かび病が発生します。タネまき:タネは秋か春にまきます。早いものは2か月後くらいから咲き始めます。タネは微細なので、ポットや鉢、育苗箱などにまきます。容器に鉢底石や大粒の鹿沼土を敷き、タネまき用土(市販のタネまき用培養土、サボテン用培養土、赤玉土小粒、鹿沼土、パーライトの配合土など)を入れます。覆土はごく薄くするか、またはしません。1週間くらいで発芽します。本葉が出始めるころから、薄めた液体肥料を施します。本葉が大きく開いて苗が大きく育ってきたら、2~3号ポットに植え替えて育苗し、根が十分に育ったら、花壇やコンテナに植えつけます。凍霜害にあわないよう、必要に応じて霜よけなどの防寒対策をしておきます。リビングストンデージーは、日が当たると一斉に大きく花開き、色とりどりでまばゆいほどです。花はマツバギクに似ていますが、より華やかな印象を受け、蛇の目傘を開いたように中心部が濃く、コントラストもはっきりしています。



 

ハナビシソウは、盃状に大きく開いた鮮やかなオレンジ色の花は、遠くからでもよく目立ち、満開時には地面を覆いつくしてオレンジ色のカーペットを敷いたようになります。輝きのある花は、日中に開き、夜間や雨天は閉じています。開花期が長く、丈夫であまり手がかかりません。ワイルドフラワーとしてほかの草花との混合種子も売られ、直まきで栽培されることもあり、自然のお花畑のような花壇もつくれます。北米カリフォルニアの州花にもなっていて、ネバダ州からテキサス州まで広く自生しています。ハナビシソウ属の学名は、ロシアの医者で自然科学者のエッショルツ氏の名前に由来します。野生種の花色はオレンジ色が基本で、園芸品種には、赤やピンク、白があり、花色混合の一重咲きミックスのタネも流通します。八重咲きもあります。近縁種にヒメハナビシソウがあります。カリフォルニア原産の小型種で、淡黄色の花が多数咲き、花壇やコンテナに利用されます。

 

世界の熱帯地域で広く野生化している低木のランタナ・カマラと、やや花と葉が小さいほふく性のコバノランタナが主な原種で、それらをもとにさまざまな園芸品種がつくり出されました。生育形態によって系統を分けると、低木状になるもの、鉢向きのコンパクトなブッシュ状の樹形になるもの、ほふく性のものなどがあります。また、花がなくても楽しめる葉に斑が入った品種もあります。開花期間が長く、丈夫なので鉢物としてよく流通するほか、花壇などにも利用されます。寒さにも比較的耐えるので、関東地方南部では戸外でもよく冬越しします。熱帯・亜熱帯アメリカにおよそ150種が分布します。気温が高ければ季節を選ばずに咲きますが、日本の一般的な気候下では初夏~秋まで咲き続けることが多いです。

 

ピラカンサは生け垣や鉢植えとして栽培される常緑低木で、数種類をまとめてピラカンサと呼んでいます。日本には明治時代に導入されましたが、果実が美しく、特別な管理をしなくてもよく育つため、広く普及しています。春に開花する花は白色で観賞価値が高く、秋には美しい果実がたわわに実り、葉は濃緑色で光沢があるので、年間を通して観賞することができます。ヨーロッパ南部からアジア南西部に自生するトキワサンザシは、最も多く栽培される種類です。鋸歯(きょし)がある葉は濃緑色で、両面とも毛がありません。秋には鮮やかな赤色の果実を多数つけます。タチバナモドキは中国西部に分布し、葉の裏面にはフェルト状の毛が密生します。果実はオレンジ色です。いずれも栽培容易で、土壌を選ばずに、旺盛に生育します。刈り込みにもよく耐えるので、生け垣やトピアリーとしても利用されますが、枝にとげがあるので、作業時には注意が必要です。単木として育てると樹高は4mほどになります。

 

ルピナスは、チョウに似た小花が咲き上がる様子がフジを逆さまにしたようで、「ノボリフジ(昇り藤)」とも呼ばれます。品種によっては花穂が60~70cmほどになるものもあります。古くは、食料、肥料として利用され、日本には明治時代に導入されましたが、現在では観賞用として楽しまれています。多年草タイプのラッセルルピナスは、寒冷地では宿根して毎年雄大な花を咲かせますが、耐暑性が弱く、温暖な地域では一年草として扱われます。「ルピナス」は、藤の花に似た小さな花をたくさん咲かせるマメ科植物です。藤の花といえば青紫色が定番ですが、「ルピナス」の花色は、赤やピンク、紫、黄色などとバリエーションが豊富です。もともとは南北アメリカ原産で、世界中に200種類以上分布しています。



ヤマボウシはミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉小高木ないし落葉中高木です。初夏を代表する花木で、花びらのように白く見える総苞片をつけて花を咲かせます。山林などに自生する木ですが、花、実、紅葉が観賞の対象にされ、街路樹や庭木などにも植えられています。花色は白、うっすらとグリーンを帯びた白、ピンクなどがあります。花色と書きましたが、花に見える部分は苞で、葉が変化したものです。苞はもちがよいので、観賞期間も長いのが長所といえます。花は苞の中央にあるグリーンの球状のものです。ヤマボウシの名前は、比叡山延暦寺の僧兵である白い頭巾をかぶった山法師をイメージして名付けられたとされています。

 

ヤマボウシは中国、朝鮮半島、日本の本州から琉球列島に分布します。江戸時代には欧米へ渡り観賞樹木として栽培されています。同じ属のハナミズキに比較すると開花時期が遅く、葉が出たあとに枝先に開花するので華やかさは少ないのですが、梅雨どきの花木としては価値が高い存在です。花のように見えるのは本来の花弁ではなく、ハナミズキと同様、総苞片(花のつけ根の葉)です。そのため比較的花の観賞期間も長いのが特長です。果実は8月から9月に紅橙色に熟し、果肉は粘質で甘く生食できます。自然に樹形が整い、幹肌が鹿の子模様になることから、個人庭園のシンボルツリーや景観木、公園木のほか街路樹としても広く利用されています。最近では、常緑のヤマボウシとしてガビサンヤマボウシ、ヒマラヤヤマボウシなども出回って、人気を得ています。



ヒナギクは、春の花壇を飾る花として親しまれています。小型の多年草で、へら状の毛をまとった葉を根元から出し、葉の間から10cm程度の花茎を伸ばして先端に直径約2cmの花をつけます。花は一重と八重があり、舌状花の花色は白く、外側が淡紅色、管状花は黄色です。最近は紅色、紫紅色、濃紅色の品種や、大型に改良された品種も見られます。一般にはヒナギクの呼び名より、英名のデイジーの名で呼ばれています。英名は「日の目」が語源で、花の形が太陽に似ていることや、陽光が当たると花が開き、曇った日や夜には花を閉じることに由来します。Daisyの名が付いた植物はほかにもいくつかあるため、ヒナギクを指す場合は「English daisy」「True daisy」と呼んで区別されています。

 

ヒナギクという日本名の由来は、かわいらしい花姿にちなんでおり、漢字では「雛菊」と書きます。花期が長いことから、「長命菊」「時知らず」「延命菊」などの別名もあります。学名Bellis perennisの属名は「美しい」、種小名は「多年草」という意味です。ヒナギクは欧米では一般に4月の花として知られており、イタリアでは国花となっています。ヒナギクの原産地は欧州、コーカサス地方で、欧米では古くから身近に存在していたため、さまざまな物語が生まれています。ローマの伝説には「木の精ベリデスが森のはずれでいいなづけのエフィゲネスと踊っていると、そのかわいい姿を見た庭園の守護神ペルタムナスが彼女を追いかけた。ベリデスは執念深い追跡を逃れようとベリス(bellis)の花に変身してしまった」という物語があります。この中に登場する花bellisは、ヒナギクの学名の属名になっています。



日常生活の中では花びらを一枚ずつ取っていく恋占いや、祝い事の占いによく利用されてきました。また、ヒナギクの根を枕の下にして眠れば恋人の夢を見るという言い伝えや、この花の夢を春や夏に見れば「𠮷」、秋や冬に見れば「凶」という夢占いもあります。イギリスではヒナギクが野原に雑草として繁殖しており、子ども時代から親しんでいるため、最期はヒナギクで墓を覆われて生涯を閉じるのを理想としている人も多いといわれています。多くの文学者や詩人もヒナギクを作品の中に取り入れています。たとえば詩人のローウェルは「私を愛する、私を愛さぬ、天地以上に私を愛する。花びらの数が奇数と分かれば、目に嬉し涙をためただろう」(加藤憲市訳)という詩を詠んでいます。日本には明治時代になってからヒナギクが紹介されました。花期が長くかわいらしいことから広く親しまれるようになりましたが、歴史が浅いため、欧米ほど文学や詩歌の対象になっていないようです。



 

ライラックの日本名は「ムラサキハシドイ=紫はしどい」です。枝の端に集う(はしにつどう⇒はしどい)様に花が咲くことに由来しています。寒さに強く、厚さを嫌うライラックは、北国に合う花木です。北海道ではライラックが咲くころに冷え込むので、「リラ冷え」と呼ぶほどです。英名は「ライラック」、フランス名は「リラ」です。ライラックの花びらは4枚ですが、まれに5枚の花びらが見つかるようです。5枚の花びらは「ハッピーライラック」と呼ばれ、恋のおまじないに使われたり、見つけた人は幸せになれるとも言われています。 香りが良く、香水の原料ともされています。

 

燃え立つような濃い鮮やかな赤色の花が群れ咲く様子は、サルビアならではのものです。印象が強く、秋花壇では主役にもなり、花期が長く育てやすい花です。サルビア属は900種ほどありますが、最もポピュラーで親しまれているのは、この赤い花を咲かせるS・スプレンデンス(ヒゴロモソウ)で、単にサルビアといえば本種を指すほどです。濃緑色のハート形の葉が密に茂り、花は長い穂になって下から順に咲き上がります。萼も美しく色づき、花が散ったあともしばらく残るので、長く観賞できるのが特徴です。低木状に育つ多年草ですが、寒さに弱いので、春まき一年草として扱います。ほかに、S・ファリナセア(ブルーセージ、ブルーサルビア)やS・コクシネア(トロピカルセージ)も同様に利用されます。また、宿根サルビアのなかでも、高温多湿に弱く古株は枯れやすいのですが、タネから容易に育てられるS・パテンスなどは一年草として扱われます。S・ビリディス(=S・ホルミナム、別名ペインテッドセージ)は半耐寒性一年草です。



 

セントウソウは、まだ花が少ない早春に咲き出し、春の訪れを教えてくれます。この花が咲くと、いよいよ花シーズンの到来だと感じます。山野の林内や林縁に生える、小さな多年草です。低地の雑木林などでも見かけます。和名の由来はどうもはっきりしないようです。江戸時代にはこの名があったそうですが、果たして本種を指した名前であるかは、確認されていないそうです。また「仙洞草」は当て字である可能性もあるそうです。花期は3〜5月です。北海道から九州まで分布します。雑木林などでよく見かける、馴染み深い植物と言えるでしょう。白色のとても小さな花を咲かせますが、他の植物がまだ生い茂っていない時期でもあり、薄暗い林内では目立ちます。高さは10〜25cmほど。せいぜい足首か脛のあたりの高さであることが多い気がします。セントウソウの葉は、1〜3回3出羽状複葉です。8cm程度の柄があります。葉は緑色で毛はありません。小葉の裂片は、卵形〜三角形と様々で、深い切れ込みが入ります。

 

ヤマブキは、北海道から九州の低山や丘陵地に普通に生える落葉の低木です。美しい山吹色の花が咲くので『万葉集』にも詠まれるなど、古くから観賞されてきました。太田道灌が農家で蓑を借りようとすると、娘が蓑の代わりにヤマブキの枝を差し出しました。しかし道灌は『後拾遺和歌集』(1086年)の「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」(八重のヤマブキは雄しべが花弁に変化し、雌しべも退化したもので、実がならない。「実の=蓑は一つもありません」)の歌を知らなかったため娘に立腹します。後にその無知を恥じた話は有名です。この時代、すでに八重のヤマブキがあったことが、この逸話からわかります。シロヤマブキと混同されることがありますが、ヤマブキとシロヤマブキは別属の植物で、ヤマブキは花が5弁(シロヤマブキは4弁)、葉が互生(シロヤマブキは対生)であることで、容易に区別できます。日本原産種なので、極端に乾燥しない日なたから半日陰であれば、栽培は容易で、毎年美しい花を楽しむことができます。



 

モッコウバラは中国南部原産のつるバラです。大きくなると5mを越します。全体にトゲはなく、病害虫の被害が少ないのも特徴です。葉は3~7枚の小葉で明るいグリーン、葉裏はグレーがかったグリーンをしています。モッコウバラの花は一季咲きで、春に開花します。花色は白か淡黄で、一重咲き、または八重咲き。枝の先に直径2~3㎝の可愛らしい花を房状に咲かせます。モッコウバラはとても花付きが良く、満開の時期には枝をしならせるほどたわわに花を咲かせるので、遠くからでも人目を惹くほど見事な姿になります。モッコウバラが咲く季節は春、4月~5月です。桜が咲き終わった頃にカスタードクリームのような淡黄や白の小ぶりの花を、枝いっぱいにたわわに咲かせます。モッコウバラは原種のバラです。人為的に作出されたバラには香りのないものもありますが、モッコウバラは原種ならではの芳香があります。



 

一般にカエデと呼ばれている樹木は、カエデ科カエデ属の、主として北半球の温帯に分布している150種を総称したものです。特に、東アジアを中心に日本に約20種、中国に約30種が分布し、北アメリカ、ヨ-ロッパにまで広がっています。主に落葉高木で切れ込みのある葉をつけていますが、まれに常緑性のものや切れ込みのないものもあります。葉を対生につけるのが特徴です。園芸品種が多く、特にイロハモミジ(イロハカエデともいう。Acer palmatum)、ハウチワカエデ(Acer japonicum)など、日本産の種に属する品種が200~400品種といわれています。園芸の世界では、切れ込みが深く数が多いものをモミジ、浅く少ないものをカエデと呼んでいます。

 

一般にレンギョウ属の植物を総称してレンギョウと呼んでいます。しかし、レンギョウ(Forsythia suspensa)という標準和名をもった種があります。この種は中国原産で、早くから欧州へ紹介され広く普及している園芸的に重要な種です。レンギョウ属は中国大陸、朝鮮半島および日本に自生していますが、日本ではシナレンギョウ、チョウセンレンギョウ、アイノコレンギョウなどが広く植えられています。日本原産のヤマトレンギョウやショウドシマレンギョウは、花数が少なくあまり植えられていません。レンギョウ属は北海道南部から九州まで広く栽培されています。

 

ユキヤナギは春、枝垂れた枝先の長い穂に、たくさんの花を咲かせてひときわ目を引き、花壇や公園によく植えられている植物です。近年は、‘フジノ・ピンク’などの花弁の外側がピンクの品種が植えられることも多く、白一色だったユキヤナギにも色幅がふえました。ユキヤナギの和名は、葉がヤナギに似て、白い多数の花が、雪をかぶったように見えることからつけられました。庭木としてだけではなく、切り花としてもよく利用されます。強健で、生育も非常に旺盛なので、花後に地際から刈り込んでも、秋までに新梢が1m以上伸び、翌年もよく開花します。なお、関東地方以西の本州、四国、九州の川岸の岩場などに生えるユキヤナギを見かけますが、もともとは栽培されていたものが野生化したものともいわれています。