ba3ji3の植物園12


     



 

山菜の女王・アイコ(ミヤマイラクサ)は、シドケと並びブナ林を代表する山菜で、とりわけ秋田では人気が高く「山菜の女王」と呼ばれています。大きく伸びたアイコは、全草に鋭い刺があるのが最大の特徴で、素手で触ると悲鳴を挙げるほど痛いです。深い山地の沢沿いに群生しています。トゲがある姿からはとても想像できないほどクセがなく、万人向きの美味しい山菜です。深山に生え、刺(トゲ)で刺すことから深山刺草(ミヤマイラクサ)と云います。秋田では、「ミヤマイラクサ」と言っても通用しません。100%愛情を込めて「アイコ」と呼んでいます。その名の由来は、アイヌ語説で、「アイ」は「刺」の意味、コは愛称です。他に和え物としての「和えコ」がアイコに転訛したという説もあります。ブナ帯の谷・・・沢の近くの日当たりのよい腐葉土が堆積した所に群生しています。しばしばシドケと混生しますが、沢沿いの半日陰になっている斜面の上部にシドケ、斜面下にアイコが群生する場合が多いです。イラクサは全草に細かい刺があり、その刺にはヒスタミンを含んでいます。不用意に素手で触ると、痛く、痒くなるので、必ず軍手をはめて採ります。腐葉土が厚い所では、土中に入った茎の部分は意外に深いので、できるだけ深い根元から採取するには、手前に折り返すように折り採るのがコツです。



秋になると紫色の甘い実を付けるアケビの花は春に咲きます。最近ではあまり食べられなくなりましたが、実が開くと白い果肉とたくさんの黒い種子があり、果肉にはほんのりと甘みがあるので、かつては里山のフルーツでした。一方、種子には油分が多く、東北地方では食用油の原料としても利用されていました。葉をよく見てみると5枚のものと3枚のものがあります。3枚の葉が出るアケビはミツバアケビと呼ばれ、四国を中心に広く自生しています。学名のtrifoliata も「3枚の葉の」という意味です。花は濃い紫色の3枚の花弁があり、雌雄が別になっていて、雄花は房状に咲き、その付け根あたりに雄花より大きな雌花が数個開きます。葉は柔らかく、三出複葉で小葉は卵形から長卵形で、葉縁にはごく浅い切れ込みがあり波打っています。一方、葉が5枚のものはアケビまたはゴヨウアケビ(アケビとミツバアケビの自然交配種)です。

 

アケビの花も単性花ですが、花弁は薄い紫から白色で、葉はやや固く革質で葉縁には切れ込みがないので区別することができます。いずれも、つる性の茎を木通として生薬にします。『神農本草経』には「通草」として記載されているのですが、現在、「通草」は一般にカミヤツデ(ウコギ科)の茎の髄を指します。木通にはトリテルペンサポニンであるアケボシド類が含まれており、漢方では利水や痛経作用を期待して、五淋散や竜胆瀉肝湯、通導散などに配合されています。民間でも月経不順などに利用されることがあるようです。薬用以外にも、茎はよくしなって加工がしやすいことから、カゴに細工したりクリスマスリースに使ったりします。また、現在は使われなくなったアケビ油の機能性についての研究も進められていて、今後、アケビの新しい利用法が開発されるかも知れません。

 

あさつきは山などに広く自生していた山菜の一種で、ネギとは種類が異なります。辛味が強く、香りがよいのが特徴です。漢字では「浅葱」と表しますが、これはあさつきがネギよりも浅い緑色をしていることが由来です。山形県では伝統野菜として親しまれており、冬から春にかけて収穫される新芽の部分が流通しています。おもな産地は山形県や福島県、広島県、群馬県などですが、あさつきの生産量はネギ全体の1%ほどしかありません。そのためネギより高価で取引されています。あさつきは「アサツキ」という種で、エゾネギの変種です。庄内の冬の味覚として親しまれているアサツキは、この地方に残る貴重な在来作物のひとつです。もともと日本各地に自生しているユリ科ネギ属の多年草で、ネギ、ニラ、ニンニク、ノビルなどの仲間です。生命力が強い植物で、球根なので交雑しにくく、日当たりが良く適度な水に恵まれた土地を好みます。

 

「うるい」は、キジカクシ科の花であるオオバギボウシの葉が開く前の若い芽を収穫したものです。白い茎の先に緑色の葉がついていて、一見すると長ねぎによく似た姿をしています。オオバギボウシは、漢字で「大葉擬宝珠」と書き、7~8月に淡い紫色の花を咲かせます。地域によって、「山かんぴょう」や「ギンボ」、「コレイ」などと呼ぶこともあるそうです。うるいという名前の由来には諸説ありますが、瓜の皮に似た色をした葉が春先になると丸まっている姿から「瓜菜(うりな)」と呼ばれ、それが変化していったともいわれています。日本国内では、本州や北海道など、広い範囲の湿り気がある山地や草原に自生しています。山形県などでは、食用にするためハウス栽培もされているんですよ。芽が出てから1週間~10日で収穫できるのですが、その間、茎の部分に籾殻をかけてあえて日光を遮ることによって、白くやわらかく育てたものもあるそうです。うるいはアクの少ない山菜で、ほろ苦さとねぎのようなぬめりがあるのが特徴です。シャキシャキとした歯ごたえもあります。旬の時期は4~5月にかけてですが、ハウス栽培されているものは、2月ごろから出回りはじめます。

 

日本全土の日当たりのよい土手や路傍に自生している大型の多年草です。朝鮮半島、台湾、中国の温帯域に分布しています。茎は長く地中を這って拡がります。草丈は1~1.5mほどです。茎は円柱状で中空、直立しますが上部では斜傾し、また茎には紅紫色の半点が散在しています。卵状楕円形から広卵形の先の尖った10cmほどの葉は互生で、6~8月に葉腋からでる円錐花序に白色か淡緑色の小さな花を蜜につけます。 花色が紅色の種類をメイゲツソウとして区別しています。北海道、本州以北には丈が2~3m、葉の長さは30cmにもなるオオイタドリがありますが、イタドリ同様に、薬用として扱われます。春に筍状に伸びる若芽は、皮をむいて食用になります。名前の由来は「痛み取り」からという説があります。試したことはありませんが、擦り傷や切り傷に若葉を揉んで患部塗布すると、出血は止まり痛みも取れるそうです。別名をスカンポ、スイバといいますが、スイバという植物もありますから、ややこしいです。

 

「笹巻き」は、浸水後に水切りしたもち米を笹の葉で巻き、結びひもをかけた後、熱湯でゆで上げた食べ物です。ほかの県では「ちまき」とも呼ばれています。笹の葉には防腐性や抗菌性があるといわれていて、昔から保存食や携帯食の包装によく使われる材料でした。山形県では、年越しや正月のほか、祭りや祝い事など、年間を通してよく餅をついて食べます。こうした餅文化は米どころであればそう珍しくありませんが、もち米を粒のまま使用する「笹巻き」や、鶴岡市の南部でつくられているような灰汁水で煮る「笹巻き」は珍しい郷土食として知られています。灰汁水で煮る「笹巻き」は、戊辰戦争をきっかけに保存食として伝わったという説があります。「笹巻き」は、特に5月5日の端午の節句に供えられ、子どもの健康と元気な成長を願い、「柏餅」などとともに各家庭で食べられてきました。鶴岡市の「笹巻」が文化庁の「100年フード」に認定されました。

 

養蚕に欠かせない桑は、葉っぱが蚕のエサになることで知られていますが、その木に実る果実「桑の実」は、ご存知でしょうか? 桑の実は、クワ科クワ属の落葉樹になる果実の総称です。桑の実は、成りはじめは白く、徐々に赤くなり、完全に熟すと赤黒くなります。果実はラズベリーなどと同じように小さな粒が集まって1個の果実になっていて、真ん中の軸は果実の先近くまで中心を貫いてます。葉っぱは縁にギザギザがあり、木にたくさん付いています。桑の実は、アントシアニン、ビタミン類や鉄分、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛など豊富な栄養素を含んでいます。アントシアニンは、ポリフェノールの一種で、抗酸化力によって老化を予防する効能が期待されています。カリウムは、余分な塩分を排出してくれるので、高血圧を防いでくれる効能が期待されています。

 

こごみとは山菜の一種です。正式名称は「クサソテツ」で、若芽を「こごみ」と呼びます。若芽のときは、茎の先端がくるくると丸まっていて可愛らしい見た目をしています。成長するスピードが早く、茎とともに葉も細長く伸びていきます。他の山菜に比べてアクが少ないので食べやすく、天ぷらやごま和えが定番料理です。こごみの旬は、芽吹きの季節である春です。4月頃に地面からこごみのうず巻きがひょっこり顔を出します。こごみを見つけると、他の株も近くに生えていたり、1株から何本もの茎が伸びたりするので、一度にたくさん収穫できるのが特徴です。春になって山に行く機会がある場合は、こごみを探してみましょう。こごみを見つけやすいポイントは、湿気があり日があたる場所です。こごみには、カリウムといったミネラルが含まれています。また、主に含まれるビタミンは、βカロテンやビタミンC、葉酸などです。

 

コシアブラはタラの芽やウドと同じウコギ科の木の芽の部分を食する山菜です。名前の由来は、かつてこの木の樹脂を絞り、濾したものを漆のように塗料として使われていたからだそうです。近年特に知名度と人気を増した山菜です。コシアブラは特徴的な青臭い、それでいて爽やかな香りが感じられます。また苦味もしっかりあり、その中に甘みがあります。ここに山菜通を虜にする秘密があります。タラの芽の味と似ていますが、茎にはぬめりがあり、コシアブラの方が風味が濃い(苦味・香りともに強い)傾向があります。また、アクがあるため、天ぷらや素揚げなどが一般的ですが、アクを抜いておひたし、和え物、パスタ、山菜ご飯などにすると風味が引き立ってよりいっそう美味しさを楽しむことができます。コシアブラは、抗酸化作用があり、クロロゲン酸由来の、ポリフェノールを含んでいるため、アンチエイジング効果や血液をさらさらにする効果があると言われています。

 

山のアスパラガスとも言われる山菜「シオデ」、芽だしから伸び始めた姿や食感がアスパラガスのようで す。日当たりの良い丘陵地の草むらの中などで見ることができ、発生量が少ないことから 保護が必要な山菜のような気がします。秋田県のほうでは「ヒデコ」 とも呼ばれて親しまれています。「しおで」にも種類があって普通見ることのできる「しおで」は林地内に細い蔦のような枝を 出しているものです。(これも「しおで」を知らないとなんの蔦なのかわからない!)立ちシオデとも言われる ものです。シオデはも発生地が限られていることから採取は困難な山菜の一つです。しおでは。幼少のころの芽を採取をしてもその後のシオデの成長した姿を見ることはありません。芽はどんどん伸びて他の植物に絡みついて成長していきます。まるで自然薯のような成長です。

 

しどけの正式名称は「モミジガサ」です。モミジのような形の葉が傘のように開くことが名前「モミジガサ」の由来です。東北では「シドケ」と呼ぶのが一般的です。木の下に生えることから、関西以南では「キノシタ」の名で呼ばれているようです。収穫時期は秋田県では主に5月上旬から中旬頃です。若芽を天ぷらにしたり、茹でて水にさらし、おひたしにして食べることが多いです。茹でるときにひとつまみの塩を入れると、緑が鮮やかに引き立ちます。独特のくせと苦みが山菜らしく、隠れたファンも多い山菜です!しどけは、山地の湿った林内や、崖が多いところなどに生えるため採集には危険が伴います。また、年によっては、不作の年もあり、何時間も山を歩いて1束しか採れないときもあります。根こそぎ採ってしまうと、来年以降にその場所からしどけがなくなってしまうことになるので、半分くらいは残しておきます。一度採った場所は次の年は休ませて、2、3年後に採りに行くという山の名人もいます。

 

自然薯とは、日本原産の野生種で、その他の山芋(長芋、大和芋など)とは別物です。古来より滋養強壮食として珍重され山菜の王者と呼ばれ親しまれて来ました。また漢方名「山薬」と呼ばれいろいろな効用が説かれています。自然薯の大きな特色は、良質の澱粉質に加え、アミラーゼなどの酵素がたくさん含まれていて、食べたものを速やかに消化吸収する作用があります。胃がもたれても、とろろを食べればいつのまにかさっぱりしてしまいます。また、カルシウム、鉄分、リン等のミネラルやビタミン類も豊富で、新陳代謝や細胞の増殖機能を促進する作用も著しく、疲労回復、虚弱体質の改善、食欲増進、免疫力を高めかぜ予防にも効果があると言われます。古来より精のつく滋養強壮食として一般に用いられてきた他、漢方薬でも“山薬”“じょよ”と称し珍重されてきました。また、最近になって自然薯にだけ含まれるディオスゲニンと言う物質が、若さの維持やホルモンバランスに関係しているDHEAを増やす役割があるということも分かってきました。

 

ぜんまいは日本固有の山菜で、生育力旺盛な多年生シダ植物です。地下茎は分枝し、黒色長大で地下浅く張っています。地下茎の先端から綿毛を被った新芽が出てきて、その新芽を食します。ぜんまいは、険しい山奥から自然採取し、乾燥は1本1本手もみをして仕上げていることから、良質で高級料理の食材として多くの方々に食されています。4月下旬~6月上旬にかけてが収穫時期です。水気の多いところを好みますので、渓流や水路の脇などに自生します。葉は栄養葉と胞子葉にわかれ、栄養葉をオンナゼンマイ、胞子葉をオトコゼンマイと呼びます。ぜんまいはアクがとても強いので、そのまま食べるのではなく一度乾燥させてから調理するのが一般的です。独特の歯ごたえとまろやかな風味のある山菜です。ぜんまいは良質なタンパク質やビタミンA(カロチン)、ビタミンB2、ビタミンC、ニコチン酸を含み、栄養価が高いといわれています。このことから、古来より歯の薬と称されたり、神経痛やかっけ、腹痛にも効くといわれ、健康食として食されているようです。

 

タラの芽はウコギ科のタラノキの新芽の事で、この新芽の部分を山菜として食用とします。ほのかな苦みや、もっちりした食感が春を伝える食材として人気があり、山菜の王様とも言われています。 タラの木は全国の山野に自生していますが、栽培も進んでいます。タラの芽が山菜の王様と呼ばれる理由は、まず食味の良いことが挙げられます。独特のほろ苦さは食欲をそそり、他の食材との相性の良さが挙げられます。次に、栄養価が高いことです。ビタミンB群、ビタミンC、E、K、β-カロテン、カリウム、食物繊維などの栄養が豊富です。また、山菜の中ではアクが弱く、天ぷらやおひたし、ソテーなど調理のバリエーションが広いことも理由の一つといえるでしょう。高いところにある芽は、幹を折らないように寄せて芽の根本から折りとり、絶対に幹を切らないこと。幹を切ると木が死んでしまいます。また、脇芽や2番芽以降は採らないルールを守りましょう。来年以降芽が出なくなり、採れる数が減ってしまいます。

 

根曲がり竹は、山菜シーズン終盤の御馳走であり、雪国でもっとも人気が高い山菜の代表格です。人間だけでなく、クマの大好物でもあります。優しい香りと食感が最高で、アクも少ないので生のまま蒸し焼きや素焼きにしても美味しいです。チシマザサの若竹の事で、竹と呼ばれているがイネ科タケ亜科の笹のことをさす。北半球の一番北に分布する笹であり、日本を代表する笹の一つです。北日本では主に「根曲がり竹」、南日本では主に「姫竹」と呼ばれている。北日本でネマガリダケと呼ばれている理由は、雪の重みで根元が曲がっていることが多いからです。竹ではなく笹の若芽なので、タケノコと比べるととても細く小さく、食べると非常に柔らかく水々しいです。ネマガリダケの収穫できる期間は短いです。柔らかい食感を味わえる生え始め(20~25センチくらい)の短くて太さが2センチくらいのネマガリダケが美味しいですが、すぐに大きくなるので収穫の際は注意しましょう。太さが2センチを越えると固くて食べられないです。

 

ノビルは日当たりのよい道端や土手に生えている野草で、意外と身近によくある野草です。食材として流通することは少ないですが、春の山菜として楽しむ愛好家も多いです。古くから薬草としても利用されており、滋養強壮によいといわれています。ノビルはヒガンバナ科(ネギ亜科)ネギ属の多年草で、全体的にニラとそっくりな姿をしています。地下にできる球根と葉は食べられますが、毒のあるタマスダレと草姿が似ていることもあり、採取する際は注意が必要です。また、花びらの先が薄紫色がかった白く美しい花を多数咲かせます。草丈は10~30 cm程度ですが、花茎はすっと伸びて50〜80cmほどにもなります。成熟すると花にムカゴができ、それが落ちることによって繁殖していきます。古来ノビルは、ニンニク・ニラ・ネギ・ラッキョウと並んで五葷のひとつとして扱われていました。さまざまな説がありますが、五葷とは仏教などの宗教哲学に基づき食べることを禁じた5つの野菜のことを指します。



春の訪れを告げる山菜、フキノトウ。雪の消え間からポコポコと道路端に顔を出すのフキの新芽をフキノトウといい、大鳥を含む山形県庄内地方ではバンケと呼ばれるのが一般的です。成長するとフキになります。古名、山生吹(やまふぶき)がフキの名の由来です。キク科、フキ属の多年草です。江戸時代後期に米沢藩が飢饉に備えて作った”かてもの”という本の復刻版 読下し本ではフキについて、「葉も茎も茹でて食う。カテモノとしては灰汁水で茹でずに一晩浸すべす。フキノトウもカテモノとすべし。茹でて、流れ水に一晩さらしておいて苦味を取る」とあります。フキノトウは3月下旬頃から少し湿り気のある山道や田んぼの畔、沢沿いの地面から生えてきます。採取は、まだ苞が開かないうちに手でひねりもぎ採ります。

 

ほろ苦い味わいで、天ぷらによく合う。味噌・砂糖・みりんと一緒に炒めてバンケ味噌を作り、ご飯にかけて食べるのが大鳥では定番です。細かく刻んで味噌汁に入れてもOKです。フキノトウは保存はしないです。フキノトウは、フキの蕾の部分です。花が咲いた後に地下茎から伸びる葉の部分がフキです。ほろ苦い風味が特徴の春の訪れを感じさせてくれます。苦みには、新陳代謝を活発にする働きがあり、香りが食欲増進させ、消化を助けてくれます。生育中の蕾なので、フキよりも栄養が豊富です。フキノトウの栄養としては、カリウムを多く含んでいます。そのほか、ミネラルではカルシウムや鉄、ビタミンでは、カロテンやビタミンE、葉酸が比較的多いです。食物繊維が便秘改善に役立つと考えられます。苦みが苦手で食べられない方は、下準備をしておくことをおすすめします。まずは、塩を少し加えた熱湯で茹でて、冷水にさらしてアクを抜けば完了です。

 

春の到来を告げる山菜の一つであるふきは、日本人にとって馴染み深い食材です。なぜなら、数少ない日本原産の野菜だからだです。自生しているふきを収穫して食べることは当然ですが、平安時代には栽培が始まっていたほどふきは日本人に愛されていました。自生しているふきの中でも、よく食べられているのが「野ぶき」です。野ぶきは、山で自生しているふきの一つです。人間の手がまったく入っていないため、自然の味を楽しめます。ここでいう自然の味とは、山菜が持つ苦みなどの味を指します。栽培されているふきは、食べやすいようにアクや苦みが少なくなっているのだが、自生している野ぶきはアクや苦みが強いです。また、繊維が硬いため、食べるためには下処理が必要となってくきます。栽培されているふきと比べ手間はかかりますが、自然の恵みをたっぷり受けた野ぶきならではの苦みがくせになります。



野ぶきは土の香りを堪能できる山菜ですが、アク抜きをしっかり行なってからでないと食べられません。栽培されているふきと違い、硬くてアクが強いため、いつもより丁寧に下処理を行うようにしよう。野ぶきを1本丸々入手できたときはまず葉と茎を切り分けよう。葉と茎でアク抜きの方法が異なるからです。葉は、下茹でしたものを冷水にとる作業を何度か繰り返してアク抜きをします。茎の場合は、葉よりも少し手間がかかります。茎は鍋に入る大きさに切り分けたら、塩をつけて板ずりします。塩を洗い流さずそのまま熱湯で茹でます。火が通ったら冷水にとり冷やします。野ぶきは硬いため火が通りにくいです。そのため、長めに茹でるようにしましよう。アク抜きが終わったら、あわせて野ぶきの皮むきも済ませておきます。冷水にとった状態で野ぶきの薄皮をむきます。薄皮をむくだけでも筋っぽさがなくなり食べやすくなります。

 

山では最も重宝する山菜の代表格・ミズ(ウワバミソウ)は。渓流沿いや水の滴る崖、滝の近く、水の流れるジメジメした所に群生しています。特に日当たりの悪い深い谷で、清冽なしぶきを浴びるようなところでは、よく伸びた太いミズが採れます。春から秋(5~10月)まで、約半年間にわたって美味しく食べられるだけに、山では最も重宝する山菜です。山ごもりする方はもちろん、山で遭難した場合など、何はさておきミズだけは、絶対に覚えておかなければならない山菜の筆頭です。ありがたいことに、沢筋の水が流れる湿地帯には、「ミズ畑」と呼びたくなるほどの大群落を形成し、大量に採取できます。クセもなく、どんな調理にも合います。だから実用的には「山菜の王様」です。根元の色によって、アオミズ、アカミズと区別していますが、粘りのあるアカミズの方が美味しいです。方言のミズは、茎が柔らかく水分が多いから「水(ミズ)」と云われています。正式名のウワバミソウは、ウワバミ(大蛇)の住みそうな暗くジメジメした所に生えることから名付けられました。

 

地下茎から出る花穂を食すので「花みょうが」とも呼ばれています。3世紀に書かれた『魏志倭人伝』で書かれているほど日本では歴史が古いミョウガですが、野菜として栽培しているのは日本だけといわれています。ミョウガの若い茎を、光を当てずに栽培し、ほんの少しだけ日に当てて赤みをつけたものを「みょうがたけ」と呼び、3~5月に出回ります。「茗荷」の名前の由来は、釈迦の弟子からきているといわれています。その弟子は、悟りまで開いた優秀な人でしたが、自分の名前だけは覚えられないという悩みをかかえていました。そこで釈迦は、名前を書いた札を用意してあげ、首からぶら下げさせましたが、それすらも忘れてしまいます。そしてなんと死ぬまで自分の名前を覚えることができませんでした。死後、弟子の墓に生えたのが、今の「茗荷」です。自分の名前を荷って苦労したことから、名付けられたということです。さわやかな香りはアルファピネンという精油成分で、食欲を増進させる働きがあります。発汗や消化の促進に加え、血液循環や呼吸機能を高めるほか、眠気を覚ます効果があります。夏バテ予防におすすめです。

 

東日本の山野にごく普通に生え、木苺(別名キイチゴ)の中で最も美味しいです。林道の脇など日の当たる所に大きな群落をつくります。春、5弁の白い花を下向きに咲かせます。6月下旬、ツキノワグマが繁殖期に入ると、黄色に熟します。ちょうどその頃、生後1歳半の子グマが夢中でキイチゴを食べている間に子別れをするそうです。これをマタギは「イチゴ落し」と呼んでいます。生食のほか、ジャム、果実酒などに利用されています。中部地方以西には、葉が細長い変種のナガバモミジイチゴが分布しています。 キイチゴが熟す6月下旬頃は、ツキノワグマの繁殖期に当たります。発情した雌グマは、生後1歳半の子グマが夢中でキイチゴを食べている間に、母グマがそっと離れて子別れをします。これをマタギたちは、「イチゴ落し」と呼んでいます。「子別れはあくまで、接近してくる雄の成獣による子グマの追い払い、あるいは雄グマと母グマがペアリングするために起こる現象である」としています。また、雄グマは、母グマが連れている子グマを襲い、共食いもすることを指摘しています。これは、雄グマが自分の遺伝子を少しでも多く残そうとする行動だと言われています。

 

ヤマウコギは、山野に普通に生える落葉低木です。小葉5枚の掌状複葉で、枝にトゲがあるのが特徴です。若葉は、昔から山菜として食べていました。かつては救荒食用として庭木や垣根として植えられ、ウゴギ飯にして食べていました。本州、四国、九州に分布しています。仲間に雑木林や川岸などに生えるウコギ、トゲのないヒメウコギなど種類が多いですが、若葉はいずれも食用になります。 山に生えるウコギである事から、中国では、古くからヒメウコギのことを、唐音で「五加(ウコ)」と呼び、それに木である意味を加えて「五加木(ウコギ)」と呼ぶようになりました。新芽が伸び始めるころ、葉柄の元につくハカマごと摘みます。葉が古いと苦みが強く使えません。ハカマを取り除き、柄がやわらかくなるくらい茹で、2~3回水を替えてさらし、えぐみを抜きます。天ぷらが最も合いますが、アクを抜いてから和え物、新芽を細かく刻んで塩味をつけ炊きたてのご飯に混ぜるウコギ飯などに利用します。米沢藩の名君として有名な上杉鷹山は、救荒食として城下にある家々の垣根にウコギを植えることを奨励しました。鋭いトゲを持つウコギは、防犯を兼ねた生け垣としても有用でした。そのウコギの生け垣は、総延長20キロにも及んだと云います。

 

ヤマウドは、原産地は日本や中国東北部などの東北アジアで、日本でも古くから食されており、江戸時代から栽培されていました。漢方では根を乾燥させたものを生薬として用います。うどは実際に食用となるのは若い茎や穂先で、大きくなると食べられません。またうどは「木」でなく「多年草」なので、成長してもやわらかいため使い道がない、ということからきているようです。林の際など日当たりのよい場所か半日陰の傾斜地などに自生しています。うどの主成分は水分のため栄養価は低いですが、血圧の上昇を抑える働きがあるとされるカリウムが比較的多く含まれています。そのほか、ビタミンB2、C、ジアスターゼなども含まれます。うどの持つ苦味(アク)はポリフェノールの一種「クロロゲン酸」で、抗酸化作用があるといわれています。ただし、調理する際にアク抜きをするので摂取量はあまり期待できないかもしれません。その他、アスパラギン酸、コリンなども含まれます。また、うどの根を乾燥させた漢方は、アンゲリコールや各種アミノ酸を含み、頭痛、かぜなどに用いられています。

 

山ぶどうは「古事記」にもその名が記された由緒あるぶどうです。それもそのはず、今では数多くの品種があるぶどうですが、その多くはヨーロッパやアメリカがルーツです。山ぶどうは甲州と並んで日本に二つしかない在来種、つまり日本の風土が生んだ「ジャパンオリジナル」のぶどうなのです。山ぶどうは元々野山に自生する野生のぶどうです。基本的に日本だけに分布しますが、中でも北海道から本州の山間地に多く、晩秋には月の輪熊やヒグマが山ぶどうを食べて冬眠に入ると言われ、古来より滋養あふれる果実として知られてきました。山ぶどうは一般的なぶどう品種に比べ1粒が8ミリ程度ととても小さいのが特徴。一方種は大きく、一粒からほんのわずかな果汁しか採れません。実がなるまで6年もかかり(普通のぶどうの3倍)、しかも樹には雄雌があるため果実を生らせるのにも苦労します。今では栽培されるようになった山ぶどうですが、その果実はとても希少性が高いものです。山ぶどうは野生種ゆえに、その果実は酸味と渋味がとても強く生食には向きません。しかし古くからその薬効は広く知られ、薬代わりに用いられてきた歴史があります。また、樹皮はカゴなどの材料として、最近では山ぶどう樹液が化粧品原料として使われるなど、山ぶどうは古くからひとびとの暮らしの役に立ってきた果樹なのです。

 

よもぎとは、キク科ヨモギ属に属する多年草植物で、代表的な春の野草の一つです。繁殖力がとても強いので、乾いた道端に生えているのを見かけたことがあると思います。葉の特徴としては緑色の表面に、裏は綿毛が密生しています。また、紫褐色の小さな花を夏から秋にかけて咲かせます。原料であるよもぎの緑色の成分はクロロフィルと呼ばれる、天然色素で出来ています。クロロフィルは、血液を作るヘモグロビンを増やす効果があるとされています。血液が体内を循環することで、余分なコレステロールを吸着して体外に排出し、血中コレステロール値を下げる働きがあると言われています。血中コレステロール値を下げることによって、ドロドロの血ではなくさらさらでキレイな血液を保つことが出来るでしょう。また、よもぎには多くのビタミンが含まれているため、末梢血管を拡張し、新陳代謝を高め血液を造り出す作用があると言われています。また、体内に酸素を運搬するための赤血球を構成する、鉄分も多く含まれているため貧血予防にも効果的です。



わらびは、春を代表する山菜のひとつです。日本全国に自生しているシダ植物の一種で、若芽を摘んで食用にします。また、わらびは地下茎を地中深く伸ばしますが、根には澱粉が多く含まれています。この根から採れる澱粉が、わらび餅の材料となるわらび粉の原料となります。わらびは日当たりのよい場所を好む植物で、身近な里山や草地、土手などさまざまな場所に生えます。わらびの先端の葉が丸くなった状態の、葉が開く前が収穫するタイミングです。茎の部分を下から上へと指で触れ、自然とちぎれる部分で摘み取ります。土から出て間もないものは茎が太くて短く、首の部分が下を向いています。このようなわらびは、やわらかくておいしいです。わらびは、ほのかな苦みと独特の食感がある山菜です。表面はサクッと歯切れの良い食感ですが、茎の中は粘りがあります。

 

わらびのおいしさをシンプルに味わうなら、まずはおひたしがおすすめです。わらびを包丁の背で叩くと、ねばりが強くなります。しょうゆとだし汁をベースに、生姜を効かせるとおいしいですよ。また、炊き込みごはんや炒め物、天ぷらなど、さまざまな料理でおいしく食べることができます。わらびは低カロリー、低脂質の食材です。ゆでたわらびには、100g当り3.0gの食物繊維が含まれています。わらびはあくが強いので、必ずあく抜きをしてから調理します。意外と簡単にできるので、ぜひ動画でマスターしてみてください。生のわらびはあくが強く、そのままではえぐみや強い苦みがあり食べられません。わらびのあく抜きには、食品用の重曹を使用します。わらびに重曹をふりかけて、熱湯をかけてしばらく置き、水洗いすれば完成です。あく抜きをしたわらびは、おひたしや炊き込みごはんなど、さまざまな料理でおいしく食べることができます。