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春を代表するお花の1つで、馴染みがあるという方もいらっしゃると思いますが、ここで改めて「チューリップはどんなお花なのか」をお伝えします。チューリップはユリ科の球根植物です。学校でチューリップを育てたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。種ではなく、球根から育てるチューリップは、他の植物よりも少し印象的だったかもしれません。地域によもりますが、開花時期は3月~5月です。春を代表するお花の1つです。花壇にチューリップのお花が咲いているところを見かけると「春になったんだなぁ~」と言う気持ちになります。チューリップと言えば、オランダを連想する方も多いのではないでしょうか。オランダのチューリップ畑は美しく印象的です。しかし、チューリップの原産地はオランダではないのです。

 

では、チューリップの原産地・発祥の地はどこになるのでしょうか。チューリップの原産地はスペイン・イタリア・カザフスタン・イラン・中国・西シベリア…など北緯40度一帯だと言われています。チューリップの原産地は、広い範囲が考えられているようです。ちなみに、中でもトルコから中央アジアのエリアで、チューリップの野生種が多く発見されています。実は、この原産地と言われているエリアは、冬場に雨が多く湿度の高い地域として知られています。現在、私たちが見ることの多いチューリップは、品種改良されているものがほとんどですが、このような気候を好む傾向があります。もしかすると、チューリップが野生だった時の環境が、関係しているのかもしれません。

 

ちなみに先ほどお伝えしたように、私たちが目にするチューリップは、野生のチューリップではなく、品種改良されたものがほとんどです。では、品種改良される前のチューリップは、どのような姿だったのでしょうか。チューリップと言えば、つぼんだお花の形がかわいらしく、すらっと背の高いイメージがあります。しかし品種改良する前は、私たちの知っているチューリップの花姿とは異なっており、草丈も低かったそうです。では、「チューリップの品種改良が始まったのはいつ?」と、疑問に思う方もいらっしゃると思います。実は、トルコで12世紀に品種改良されたのが始まりと言われてもいますが、品種改良は初めて行われたのがいつなのかは、詳しく分かっていないようです。

 

トルコの伝統的なタイルや、古い記録にはチューリップが描かれているそうですが、そこには既に品種改良されたチューリップが描かれているのだそうです。他のお花や野菜を植える時は、球根よりも種で植えることの方が多くありませんか?しかし、先ほども少し触れたように、チューリップを植える際は球根ですよ。実は、チューリップは球根を見ることが圧倒的に多いかもしれませんが、お花が終わればチューリップにも子房(花びらが落ちた後に中心に残っている部分)が膨らんで、種が作られるのです。では、なぜチューリップは球根で植えることが多いのでしょうか。それは、大きく分けて2つの理由があるとされています。

 

1つ目は種からチューリップを育てようとすると、お花が咲くまでに数年かかってしまうということです。球根を植えてから一般的に、現在植えられることの多いチューリップは、4~5か月程度でお花を楽しむことができますが、種から育てようとすると数年かかってしまうのは驚きです。ちなみに、チューリップの種は、発芽率もあまり高くないようです。2つ目は、種からチューリップを育てるともと、もと咲いていたチューリップと同じお花が咲くとは限らないということです。「きれいなチューリップが咲いたから」と、種を取って数年かけて育てても、イメージと違ったお花が咲いてしまったら少し悲しいですよね。また、チューリップの種を販売する際も、どんなお花が咲くのか分からなければ、困ってしまいます。そのため、チューリップは種からではなく、球根から育てることが一般的になったと言われています。

 

チューリップを育てているという方は、花が終わった後、本当に種ができるのか見てみるのも、面白いかもしれません。チューリップの種を見ることができるのは、お庭や鉢植えで育てている方だけです。チューリップには、約5,600品種以上の種類があります。品種改良は現在でも進められており、まだまだ新しい品種が開発されています。そんなチューリップは、主に開花時期によって大きく4つに分類されています。これは、オランダ王立球根生産者協会によって分類されていて、日本だけでなく世界のチューリップが分類されているのです。ここでは、簡単にその分類についてご紹介します。ちなみに、今回掲載している開花時期は、富山県を基準に掲載しています。

 

●早生(Early flowering)開花が4月中旬のチューリップです。咲き方は一重咲きと八重咲きがあり、草丈が高くならないのが特徴です。花壇や鉢植えなどで親しまれている種類が多いかもしれません。
●中生(Mid-season flowering)開花は4月下旬で、早生と異なり中型や大型の草丈のチューリップが多いです。花色の種類が比較的に多いので、お庭で楽しまれることはもちろん、花屋さんで並んでいる切り花にも多いようです。


 

●晩生(Late flowering)開花時期は4月下旬~5月上旬です。草丈は高いものが多く、すっと伸びている姿が美しいため、切り花としてアレンジメントや花束で使われることが多いとされています。花色や咲き方(お花の形)が様々あり、フリンジ咲きやユリ咲き、八重遅咲きなど7種類の咲き方があります。
●原種(Species)開花時期は4月上旬~5月中旬とされています。品種改良を重ねたものとは異なり、野生種とそれに近い品種をまとめたグループです。草丈は低いものが多いようですが、高いものもあるようです。


 

日本で「チューリップ」と言えば、観賞用が一般です。鉢植えや花壇、アレンジメントなど、春になるとチューリップは色々な形でかわいらしい姿を私たちに見せてくれます。実は、世界ではチューリップは、観賞だけで楽しまれているわけではないのです。オランダを中心に、食べることを目的に栽培されている品種もあります。この食用のチューリップは、日本では珍しいですが、思っている以上に盛んに栽培されているのだそうです。チューリップの食べ方としては、サラダやお菓子などがメインなのだそうです。お皿に、彩り豊かなチューリップが添えられていたら、見た目のきれいなおしゃれな食事ができそうですね。サラダなどで食べられているチューリップは、食用として専用で育てられる品種になります。そのため、花壇などに咲いているチューリップは食べることができません。

 

一般的に観賞用として流通しているチューリップには、毒があるので間違っても口にしないようにしてくださいね。「チューリップを食べてみたい」と思った方は、食用のチューリップを購入するようにしてください。先ほどもご紹介した通り、チューリップで有名なオランダでは、風車とたくさんのチューリップの風景は、オランダを象徴する風景の1つにもなっていますよ。そんなオランダに、チューリップが伝わったのは16世紀と言われています。オランダでチューリップの栽培が始まると、チューリップに関することを収録した本が出版されました。すると、その本に掲載されていたチューリップの見た目が珍しく美しかったことで、チューリップは瞬く間にとても人気なお花になったのだそうです。

 

その後、どんどんチューリップの人気は高まり、王族や貴族が斑入りのチューリップなど珍しいお花を咲かせる球根を次々に購入していきました。すると、それに目を付けた投機家が、チューリップの球根の値段を吊り上げ、大きな利益を得るようになったのだそうです。当時は珍しい花を咲かせる高価な球根が盗まれ、ものすごく高値で取引されることもあったくらい、チューリップが人気だったと言われています。加えて「チューリップに興味を持った人」や「チューリップでお金儲けをしようとした人」が多くなり、球根を栽培する人が次第に増えていきました。それにより、今まで以上に品種も多くなって、咲き方や花色の種類が豊富になりました。今までに見ない花色や特殊な咲き方が増えたことで、チューリップの人気はさらに高まり、ついには「チューリップバブル」というものが起きました。

 

これは、世界で初めて起こったバブル経済と言われています。世界で初めて起こった「バブル経済」の原因がチューリップだったというのは驚きです。当時は特に、斑入りなど模様の入ったチューリップと、淡い色のチューリップが人気だったそうです。この淡い色のチューリップは、ウイルスに感染してしまっていて、育てることが難しく球根の数もそれほど多くないという希少性から、とても高値が付いていたと言われています。ウィルスに感染していて弱っている球根が、人気だったというのは、今では少し不思議な感じがします。しかし、当時はそれほどチューリップが人気だったのです。なんとチューリップの球根が、金よりも高く取引されていたこともあったのだそうです。

 

一気に膨れ上がっていった、チューリップバブル。このままチューリップの人気はつづくと思われていました。しかし1637年2月、ある町でチューリップが全く売れなくなるということが起きました。すると、これをきっかけにチューリップの価値が、一気に下がってしまったのだそうです。突然、全くチューリップの需要が無くなったことが球根を販売する売人に広がり、多くの人が、そこからパニックになったと言われています。いつまでも人気があるとおもっていたものが、ある日突然売れなくなってしまったら、パニックにもなってしまいますよね。それが、高額な物ならなおさらです。こうして、突然にはじけてしまったチューリップバブル。このバブル崩壊の原因は、あまりに値段が上がりすぎて、まったく買い手がつかなくなったことからだとも言われているようです。

 

「高額になると思って育てていた球根が、誰にも買ってもらえない」なんてことがあれば、困ってしまいます。当時は、お金儲けをしようと、チューリップの球根に大金をつぎ込んでいたという人も少なくなく、一文無しになってしまったという人もいたのだそうです。経済にチューリップが大きく関係していたということを知ると、現在でもチューリップの人気が高く、ファンが多いことも納得できますよね。日本にチューリップが伝わったのは、江戸時代後期と言われています。今は、子どもから大人まで人気のあるチューリップですが、伝わった当時はそこまで興味を持たれることがなかったのだそうです。もともと日本に伝わったチューリップの数が少なかったということや、上流階級のごく一部の人の観賞用とされていたことも原因の1つだったと考えられているようです。

 

日本に伝わってすぐのチューリップは、高級品だったのです。ちなみに、チューリップが本格的に日本で生産されるようになったのは、大正時代になってからです。現在、チューリップの生産が日本で中心になっているのは、富山県と新潟県です。富山県はチューリップの球根生産量が日本一であり、新潟県はアレンジメントや花束で使う切り花の生産が日本一なのです。2つの県の気候は湿度が高く、気温がそこまで高くならないという気候であり、チューリップの栽培に適していたことが日本一になった要素の1つかもしれません。ちなみに、富山県でのチューリップ栽培は、「チューリップの父」と呼ばれている水野豊造氏が貢献しました。水野氏は、富山県の冬場の水田を有効に活用するため、球根栽培に着目したと言われています。

 

その後、富山県では約450品種のチューリップが栽培され、中にはオランダに渡ったものもあるそうです。また新潟県には日本で最初のチューリップ球根の商業栽培であることを記念して、チューリップ発祥の地の記念碑が建立されました。記念碑は 1989年に建てられたそうです。今回は、チューリップの特徴や歴史についてご紹介しました。歴史を知ってからチューリップを見ると、いつもとは違った印象を持つかもしれません。経済を動かすほどの力があったチューリップは、現在も豊富なカラーバリエーションと様々な咲き方と草丈があり、花壇などを華やかにしています。「チューリップが好き」というファンの方は、今でも世界中に多くいらっしゃいます。チューリップのことが気になったという方や、少し珍しいチューリップを見てみたくなったという方は、お花屋さんやチューリップ畑に行ってみてください。

 

春の花であるチューリップは、赤・ピンク・黄色・白などさまざまな色が人気です。そのそれぞれに異なる花言葉があるのをご存知ですか?ここでは、チューリップの花言葉の色別の意味、人気の種類、特徴などを解説します。チューリップ全体の花言葉は、「愛の告白」「美しい瞳」。 春に咲く花の代名詞ともいえるチューリップ。そっと手のひらで包み込みたくなるような、ふんわりと丸いフォルムの可愛らしい花は、春の訪れを喜んで綻び始めたかのようです。寒く厳しい冬を冷たい土の中で乗り越えた末に咲き誇るチューリップには、見る人の心を明るく弾ませる魅力があります。17世紀にチューリップが大人気となったオランダでは、花は王冠、葉は剣、球根は黄金、そしてつぼみの形は純潔を表す愛の花と伝えられてきました。愛する異性に贈る花として好まれてきたという歴史的経緯から、現代でも「愛の告白」「美しい瞳」というロマンティックな花言葉を持っています。

 

チューリップには、花全体を表す花言葉のほかに、それぞれの色ごとの花言葉もあります。ここからは、チューリップの色別の花言葉を紹介します。赤いチューリップの花言葉は「家族への感謝」です。春生まれのお母さんやお父さん、家族へ、感謝の気持ちを込めて赤いチューリップをプレゼントしても素敵ですね。ピンクのチューリップの花言葉は「労い」。春らしく可愛らしいピンクのチューリップは人気の高い色です。2月2日は「夫婦の日」。日頃の感謝の気持ちを込めて、ピンクのチューリップを贈ってみてはいかがでしょう。

 

オレンジのチューリップの花言葉は「照れ屋」。照れてほてった時の頬の色のようにも見えるオレンジ色は、健康的なイメージです。明るいオレンジ色を選べば、お部屋の雰囲気を華やかにしてくれます。パープルのチューリップの花言葉は「気高さ」。上品で気品を感じる色味です。17世紀のヨーロッパでは、パープルをはじめとした珍しい色のチューリップの値段が高騰し、球根は庶民の年収の14倍で取引されていたと言います。白いチューリップの花言葉は「待ちわびて」。チューリップは一般的には春に開花する花ですが、最近では技術の進歩で冬にも開花するものがあります。冬の時期に出回る白いチューリップは、まるで春を待ちわびているようです。





ツツジ科ツツジ属のうち、シャクナゲ類を除いた半常緑性または落葉性のものの総称です。主として北半球に分布し、マレーシア、オーストラリアにもあります。日本には山野に多数の種類が野生しており、また、多くの園芸品種とともに広く観賞のために栽培されています。一般には株立ち状の低木が多いですが、小高木となり、小枝をよく分けるものもあります。花冠は漏斗(ろうと)形で5裂するものが多く、まれに筒状のものもあります。花色は白、淡紅、紅、赤、紫色など変化に富んでいます。雄しべは5本または10本でありますが、数の不定のものもあります。花糸は細長く、花筒から出て、葯(やく)は先端にある小孔から花粉を出します。子房は上位で花柱は細長い。果実は蒴果(さくか)です。

 

日本の山野に分布するおもな野生種としては、ヤマツツジ亜属のヤマツツジ、モチツツジ、キシツツジ、ケラマツツジ、サツキ、ミヤマキリシマ、ウンゼンツツジ、コメツツジ、そして、レンゲツツジ、アケボノツツジ、ムラサキヤシオツツジ、ミツバツツジ、オンツツジ、ゴヨウツツジなどがあり、広義にはバイカツツジ亜属のバイカツツジ、ゲンカイツツジ亜属のゲンカイツツジ、エゾムラサキツツジなどもツツジ類として扱われ、半常緑性のものもあって、シャクナゲ類との区別は明らかでなくなります。

 

園芸品種には野生種から出たもののほかに、交雑によってつくられた多数の品種があります。そのおもなものはキリシマツツジ(クルメツツジを含む)、サツキ、リュウキュウツツジ、ヒラドツツジ、オオムラサキなど、日本で作出された品種も多いです。また、セイヨウツツジ(一般にアザレアの名でよばれる)にも多くの品種があります。花木として庭園や公園にもっとも普通に植栽されるほか、鉢植えやいけ花にも利用され、広く観賞されています。酸性土壌の山地に多く野生しますが、一般には日当りのよい場所で、排水と保水のよい壌土でよく育ちます。細根が多いので、移植は一般に容易で、盛夏と厳寒を除けばよく活着します。

 

最適期は、落葉性のものは開葉前の3月中旬から下旬がよく、半常緑性のものは開花前がよいです。肥料は堆肥に油かすを加えて施すか、遅効性の粒状混合肥料を用います。刈り込み、剪定に耐えますが、一般に花芽の分化期は7月ころですから、剪定は花期後、6月中には済ませます。それ以後の剪定は次年の花つきを悪くします。繁殖は一般には挿木によります。挿床は鹿沼土または赤土を用い、梅雨期に行いますが、4月、9月でも活着します。挿木が困難な種類もあり、この場合は実生によります。消毒したミズゴケや良質のピートモスを床土にして播くとよく発芽します。しかし、実生の場合は立枯病が出やすいので、管理に注意します。ツツジ類は一般にじょうぶで病害虫にも強いです。おもな害虫に、新芽とつぼみを食害するベニモンアオリンガ、ルリチュウレンジバチがあり、これには「スミチオン」「デナポン」などを散布します。葉裏について吸汁するツツジグンバイには「スミチオン」「マラソン」などを散布するとよいです。

 

病害の花腐菌核(はなぐされきんかく)病は薬剤散布による防除がむずかしく、褐斑(かっぱん)病、黒紋病は4‐4式ボルドー合剤、銅水和剤を散布して予防します。ツツジの花にはバラやボタンの花のような豪華さはありませんが,庶民的で親しみのもてる可憐さがあります。そのような点にひかれてか,古くから世界各地で多くの園芸品種が育成されています。常緑性ツツジの園芸品種は日本で,落葉性ツツジの園芸品種はヨーロッパで育成されたものが多いです。日本でつくられたツツジの園芸品種は,ケラマツツジからヒラドツツジ,サタツツジが,ヤマツツジからキリシマやクルメツツジなどが,マルバサツキからサツキの各園芸品種が育成されているように,日本固有の野生種を利用しての品種改良が行われてきました。

 

一方,ヨーロッパでは中国産のタイワンヤマツツジからベルジアン・アザレア,日本産のレンゲツツジやアメリカ産のジャコウツツジ,カフカス産のキバナツツジからエクスバリー・アザレア,ゲーント・アザレアの各園芸品種が改良されているように,他の地域から導入されたツツジの野生種をもとに品種改良が行われています。現在これらのツツジの園芸品種の総数は2000以上にのぼるものとみられ,栽培が容易であるため庭園用,鉢植え用として広く利用されています。今後,より耐寒性,耐暑性の品種,あるいは花色が黄色や青色のツツジ園芸品種が育成されるならば,さらに利用されるようになるでしょう。おもな園芸品種の特徴は次のとおりです。キリシマR.obtusum Planch.は,小輪で濃紅色の花を数多く咲かせます。枝がよく伸び背の高い樹姿となるので,公園などに植え込むとたいへん美しいです。



また,枝が伸びる性質を利用して,枝物として生花材料として利用されることも多いです。鹿児島県の霧島山に自生するヤマツツジから江戸時代に品種選抜されたもので,日本の園芸ツツジ栽培の草分けとなった品種です。クルメツツジは,キリシマと鹿児島県南部に自生するサタツツジを親に,江戸時代末期に久留米で品種改良されたツツジです。小輪で多花性,枝があまり伸びないのでコンパクトな樹型になり,花時には樹冠一面が花でおおわれるようになります。花色は赤,白,桃,紫,淡紫,絞りなどと多彩でひじょうにはでな色彩のツツジであるため,公園や庭木としての利用が多いです。大正年間にウィルソンE.H.Wilsonによってアメリカに導入されて以来,ヨーロッパ,アメリカでもクルメ・アザレアの名で広く利用されています。

 

ミヤマキリシマR.kiusianum Makinoは九州の1000m以上の高山にだけ自生している極小型のツツジで,花の直径は2cm内外,枝は短くつまり,ツツジ類中ではもっとも小型の部類に属しています。かれんな花型とコンパクトな樹姿から小盆栽として利用される場合が多いですが,耐寒性もあり庭木としても利用できます。ヨーロッパではダイヤモンド・アザレアとして近年注目をあびるようになっています。

 

ヒラドツツジは長崎県平戸市の旧武家屋敷の裏庭に植栽されている大型ツツジのなかから選抜されたツツジとその近縁種の総称で,直径10cm前後の大輪の花をつけ,葉や樹姿も大型となり,平戸市内にある古木では高さ4m以上に達するものがあります。南九州から沖縄にかけて自生しているケラマツツジを母体に,モチツツジやキシツツジ,リュウキュウツツジが自然交雑してできたものです。花色は紅,紫,桃,白と多彩であり,早く育つので公園や街路植栽用によく利用されています。耐寒性が弱いので利用は西日本が中心になりますが,オオムラサキのような耐寒種もこの仲間に入ります。

 

リュウキュウツツジR.mucronatum G.Donは日本に野生のあるキシツツジとモチツツジの間の雑種性のツツジとみられます。たいへんじょうぶで,耐湿性,耐寒性があるため,江戸時代からリュウキュウツツジの名で栽培されてきました。花色は白でありますが,近縁種には淡紫のもの,絞りのものもある。品種には関寺,藤万葉,白万葉などがある。またモチツツジそのものの品種には胡蝶揃,花車,青海波,駿河万葉があります。



サツキはツツジの仲間であるが,江戸時代からツツジとサツキは区別されてきました。花型,樹姿にそれほど差はありませんが,花の時期がサツキは5~6月でツツジより際だって遅いのが特色で,サツキの名もこれにちなんでいる。西日本各地に野生しているサツキと吐噶喇(とから)列島付近に野生しているマルバサツキの交雑によって品種ができたもので,両親の形質が対照的であるため,サツキの園芸品種は変異の幅がたいへん広く,サツキ愛好熱の高まる一つの理由になっています。花色は紅紫,桃,白のほか,絞り花や底白花など,変化のおもしろ味があることや,樹姿,葉姿の均整がとれて美しいことから盆栽としてよく利用されています。また,刈込みにも耐える性質をもっていることから,庭園用樹としても利用が盛んです。

 

ベルジアン・アザレアBelgian azaleaは中国産のタイワンヤマツツジを母体に,1800年代にベルギーその他のヨーロッパ諸国で品種改良されたツツジで,温室で促成開花させる鉢用のツツジです。本来はベルジアン・アザレアと呼ぶべきですが,日本では単にアザレアと呼ばれ,冬の鉢花の人気種の一つになっています。大輪で完全な八重咲きの花はたいへん豪華であり,花の美しさでは他のツツジの追随を許しません。ただ,本来温室促成用に改良されているので,耐寒性がなく,露地での越冬は難しいです。花色は紅,紫,桃色のほか覆輪の美しい品種が多数含まれています。

 

エクスバリー・アザレアExbury azaleaは日本産のレンゲツツジと中国産のシナレンゲツツジ,カフカス産のキバナツツジ,アメリカ産のシベナガツツジ,ジャコウツツジなど,落葉性のツツジが種々交雑されてイギリスで育成された落葉性ツツジの品種群で,ヨーロッパでとくに栽培が盛んです。花色は紅,桃,白,黄と多彩で,濃厚な色彩のものが多いです。耐寒性が強い反面,耐暑性に欠けるので,西日本で栽培する場合は西日を避ける場所に植える必要があります。

 

ツツジの栽培法で、繁殖は一般に挿木によります。常緑性ツツジはほぼ一年中挿木できますが,地温が15~20℃の季節がいちばん早く発根します。落葉性のツツジは挿木が困難のものが多いですが,新芽が固まった6月か,秋に挿木すると発根するものもあります。挿木の難しいものは,秋に採った種子を乾燥貯蔵しておき,3月に播種します。ツツジは陽光を好むので,日当りのよい場所に植えるのがよいです。水はけが悪いと根腐れを起こしやすいです。酸性土壌を好むので,植え穴にはピート,腐葉土などの有機質を多量に混入するのがよいでしょう。花芽は7~8月に分化するので,それ以後に刈り込むと翌年の花が咲かなくなります。

 

剪定は花後すぐに行うのがよいです。肥料は油かすを株の周辺の地表に置肥するのが安全で,化学肥料は根を傷めるおそれがあるので注意を要します。ダニ,グンバイムシなどの害虫や褐斑病の発生がよくみられるので,5月から9月までは定期的に薬剤散布を行うとよいでしょう。初夏に咲くツツジは農耕開始の象徴とされてきました。とくに,卯月八日には〈天道花〉といって山から採ってきたフジ,ヤマブキ,ツツジなどの花をさおの先につけて庭先に立てる風習は広く行われましたが,天道花は山から神を招く依代とされたのです。また奈良県の明日香村では,八十八夜前後に苗代に播種した後に,牛玉宝印の札と松の枝にツツジの花をそえて田の水口にさす風もみられました。



このように,ツツジは温床苗代の普及する以前には深く農作業と結びついており,各種の作物の播種の目安ともされてきました。このほか,ツツジの花のよく咲いた年は雪が多い,雷が多い,豊作になるなどと,花で天気や作柄を占う風もあります。赤いツツジの花は神聖視され,仏壇に供えたりあるいはふだんの日に家に持ち帰ったりすると火事になるといって嫌われました。鹿児島のカヤカベ教(かくれ念仏の一つ)の教徒の間でもツバキとツツジは神聖な花として忌まれた。また卯月八日のツツジの花を燃やして出る煙の方向に行方不明者をさがしに行ったり,天道花のさおの高低で生まれてくる子どもの性別を占う風もかつてみられました。名勝地には群馬県館林市のつつじが岡公園があります。

 

国の天然記念物としては北海道の落石岬サカイツツジ自生地、群馬県の湯の丸レンゲツツジ群落、山梨県の躑躅原レンゲツツジおよびフジザクラ群落と美森の大ヤマツツジ、徳島県船窪のオンツツジ群落、大分県の大船山のミヤマキリシマ群落、長崎県の池の原ミヤマキリシマ群落などがあります。ツツジの名は、『出雲国風土記』(733)に、大原郡の山野に生える植物として茵芊が初見し、『万葉集』では、茵花、都追茲花、白管仕、白管自、丹管士、石管士の名で9首詠まれています。2巻に「水伝ふ磯(いそ)の浦廻の石管士茂く咲く道をまた見なむかも」と歌われていますが、この磯の浦廻は、天武天皇と持統天皇の子、日並知(草壁)皇子の宮殿の庭園にあり、すでにツツジが栽培下にあったことが知られています。

 

ツツジの品種は江戸時代に爆発的に増え、水野元勝は『花壇綱目』で147品種を取り上げました。それにはサツキの名はありませんが、三之丞(伊藤伊兵衛)は『錦繍枕』で、ツツジを173、サツキを162品種解説しました。そのサツキのうち、「せい白く」など9品種は『花壇綱目』のなかに名がみえる。『錦繍枕』でサツキの3名花とされたうち、「まつしま」「さつまくれない」をはじめ、「ざい」「みねの雪」「高砂(たかさご)」など現在にも若干の品種は伝えられていますが、大半は消失しました。明治の末ごろからふたたびサツキを中心とするツツジが流行し、現代に続く。海外では19世紀以降、アザレアの改良が進み、クルメツツジ、レンゲツツジ、タイワンヤマツツジなどが関与しました。

 

古くから栽培されるツツジは、日本人に最も親しまれている植物の一つといえるでしょう。ツツジの名は、一般的にはサツキを除く、半常緑性のヤマツツジの仲間(ツツジ属ヤマツツジ節)の総称として使われますが、落葉性のレンゲツツジや常緑性で葉にうろこ状の毛があるヒカゲツツジなどを加えることもあります。ヤマツツジの仲間は、アジア東部に約90種が分布します。日本には花の美しいヤマツツジやキシツツジ、モチツツジ、サツキなど17種ほどが自生します。江戸時代中期に、‘本霧島’や‘白琉球’、‘大紫’など現在でも栽培される数多くの園芸品種が作出されました。また、クルメツツジは江戸末期に作出され、明治から大正にかけて多くの品種がつくられています。

 

栽培されるツツジは、日本に自生する野生種をもとに改良されているので、いずれも栽培は容易です。鉢植えでも庭植えでも楽しむことができます。ツツジとは、主にツツジ科ツツジ属の総称です。公園や庭園、街路樹など身近な場所で見かける常緑のツツジの他、ミツバツツジのような落葉するツツジもあります。一般的に「ツツジ」は、サツキと区別されて使用されることが多い呼称です。ツツジは日本や中国など北半球の温帯に多くの種類が自生しています。花が大きく、色鮮やかで美しいので、たくさんの品種が作出されています。丈夫で花付きが良く、育てやすいのが特徴の花木です。