一年間お山で遊ぶためには、それなりの準備が必要です。春3月雪解けを待って先ずはワラビ園の整備です。茨の雑木を切刈り取り、怪我をしないように小さい茨も見つけて刈り取ります。
バンケ(フキノトウ)は、冬の長く厳しい東北では、久々の黄緑色の山菜で、春の訪れを知らせてくれます。特有の香りとほろ苦さは抜群です。バンケ味噌や天ぷらが美味しいです。コゴミ(クサソテツ)は、ワラビ、ゼンマイと共に食用シダの三羽烏と云われている人気の山菜で、ワラビ、ゼンマイと違ってあく抜き不要です。きゅうりのような香りと歯切りの良い食感で、おひたしや和え物、味噌汁の具にすると美味しいです。
夏の山地のあちこちに草丈2mもある淡緑色の花を咲かせているのは、所謂「ウドの大木」です。その大木も若芽は以外に貧弱です。野生のウドの香りは格別で、若芽は味噌で生食、油炒めや天ぷらが美味しいです。タラノキはウドの仲間で、日向の荒地を好む低木です。樹皮は神経痛、糖尿病等の民間薬として利用されています。タラの芽は天ぷらが最高に美味しいです。
ぜんまいは、蕨と並ぶ春の山菜で、先端の穂先が産毛に包まれており、渦巻き状の若い芽を食します。芽の部分には雌雄があり、主に「女ゼンマイ」と呼ばれる芽が食用になります。ぜんまいは、生でアク抜きしたものも美味しく食べられます。綿毛をとり、重曹を入れた熱湯で茹で、半日ほど流水にさらしてアクを抜き調理します。わらびは日当たりのよい場所を好む植物で、身近な里山や草地、土手などさまざまな場所に生えます。わらびの先端の葉が丸くなった状態の、葉が開く前が収穫するタイミングです。茎の部分を下から上へと指で触れ、自然とちぎれる部分で摘み取ります。わらびは地下茎を地中深く伸ばしますが、根には澱粉が多く含まれています。この根から採れる澱粉が、わらび餅の材料となるわらび粉の原料となります。
ミョウガはショウガ科の多年草で、ショウガの仲間です。日本原産の野菜です。ミョウガは、花も茎も食用になります。初夏に出る若い茎を「みょうがたけ」、夏から秋にかけて地下茎から出る花穂を「みょうがのこ」と呼びます。ミョウガの独特な香りは「アルファピネン」という精油成分によるもので、消化促進、血流改善や免疫力向上から眠気覚ましまで、多方面での効果を期待できます。食欲増進作用もあるため、生姜同様、夏バテ予防にもおすすめです。フキノトウが胞子を飛ばし終えると枯れ、フキの葉が伸び始めます。太くて良質のフキは湿地を好んで生育します。太い葉柄をゆでて皮をむき油炒めや煮物にすると美味しいです。
ミズの正式名称は「ウワバミソウ」です。葉をしごき落とし茎を浅漬けにしたり、ゆでてお浸し、油炒めにしても美味しいです。
初夏になると、不要な草丈が伸びて遊び場の邪魔になります。加えて虫たちの天国です。梅の収穫を前に、綺麗にする必要があります。下図は梅の成長の記録です。
梅酒の梅は熟す前の硬い青梅を使用します。青梅1㎏、氷砂糖1㎏、お酒1.8Lが基本です(甘さを控えめにしたいときは氷砂糖を700gくらいまで減らしても美味しいです)。梅を洗う前に、梅の黒いヘタを1つずつ取り除く下ごしらえを行います。すべて取り除けたら、ボウルなどに移して梅を洗って水気を切ります。梅を洗い終わった後にも、保存食に水気は厳禁なので、きれいな布巾を使って1個ずつ梅の水気をふき取ります。長期間保存するものには『保存瓶の殺菌』は欠かせません。瓶はきれいに洗ったあと、熱湯で殺菌してよく乾かしておきましょう。
梅干しの梅は「熟した梅」を使用します。梅は熟すと全体に黄みがかり、梅の芳醇な香りが出てきます。熟した梅は柔らかいのでやさしく扱いながら、洗う前に梅の黒いヘタを1つずつ取り除く作業を行います。ヘタを除いた梅は、ボウルなどに移してため水の中でやさしく洗って水気を切ります。保存食に水気は厳禁なので、きれいな布巾を使って1個ずつ梅の水気をふき取ります。梅干しを漬ける前の容器の消毒は必須です。使用する容器・重石・落し蓋はきれいに洗ったらよく乾かし、その後できればアルコール(エタノールか焼酎)をふくませた布巾でふきあげます。
笹巻きは、もち米を笹の葉で包んで煮た粽(ちまき)の一種です。庄内地方に伝わる伝統料理で、きな粉や黒蜜をつけて食べます。笹の葉には防腐性や抗菌性があるといわれていて、昔から保存食や携帯食の包装によく使われる材料でした。灰汁の持つ殺菌力や防腐効果によって長期保存が可能になるため、戦国武将や山伏の携行食として重宝されたそうです。