ba3ji3の植物園25
  



庭木としてよく植えられるハクモクレンは、春早く、葉のまだない枝先に白い大きな花をつけることから、「迎春」という別名があります。中国原産で、かなり古くにわが国にもたらされたと考えられています。高さ5m~15mの落葉高木で、葉は全縁で厚く、花びらは9枚みられます。ただ、このうちの3枚は萼片で、花弁と同じ形をしています。咲くとほんのりと香りが漂います。日本に古くから自生するコブシやタムシバも春先に白い花をつけ、ハクモクレンによく似ていますが、コブシは咲いた花の付け根に小さい葉がみられます。また、タムシバは6枚花びらの下側に、それを小さくした3枚の萼片があることから区別ができます。



フサザキスイセン(房咲水仙)は、花壇の晴れたエリアで人気の選択肢であり、他の多くの植物よりも早い時期に、軽やかな香りの多頭花を咲かせます。しばしば、フサザキスイセン(房咲水仙)が色あせた後に咲くブルースターと一緒に植えられます。フサザキスイセンは地中海地域と亜熱帯のアジア原産で、野原や草地、湿った場所で育ちます。アメリカ、オーストラリア、その他の亜熱帯および温帯のアジア諸国にも導入されています。フサザキスイセンのすべての部分は人間にとって毒性があり、特に球根が最も毒性が強いです。摂取すると、嘔吐、下痢、心拍異常などの症状を引き起こします。猫や犬も危険にさらされています; 摂取すると消化器系の不調や心臓の問題が発生する可能性があります。中毒が疑われる場合、ペットには迅速な獣医ケアが重要です。



クロッカスが早春の日を受けて一斉に花開く様子は、まばゆいばかりで、春の訪れを感じさせてくれます。小さいながらも存在感があり、霜や凍結にも負けずに元気に咲くキュートな花は親しみもあり、古くから栽培されてきました。小型の球根草花なので、ちょっとしたスペースで手軽に花が楽しめ、ヒアシンス同様、水栽培も容易です。また、芝生の中に三々五々と植えると、いかにも自然な雰囲気を醸し出すことができます。原種は80種ほどあり、園芸品種も多数育成されています。最も古くから栽培されているのがサフランで、紀元前から薬用・料理用に利用されてきました。花壇植えなど観賞用では、クロッカスの代表格ともいえる早咲きの‘ラージ・イエロー’や‘イエロー・マンモス’、そしてそのあとに続くように咲くベルナス種の紫や白の品種が一般的です。



アイノコレンギョウは、レンギョウとシナレンギョウの交配種で、春の初め頃に黄色い花を枝にびっしりと咲かせる落葉低木です。性質は丈夫で、大気汚染など環境の変化にも強く、都市部の道路沿いの植え込みにも向きます。切り花にも用いられます。アイノコレンギョウは春に鮮やかな黄色の花を咲かせることで知られています。,その花言葉は「期待」と「再生」を意味します。,庭園や公園でよく見かける観賞用の樹木です。日向から半日陰で繁栄し、水はけの良い土壌を必要とします。最適な開花を確保するためには、花がしおれた後すぐに規則的に剪定することが必要です。これにより健康な成長と次年度の花々が促進されます。



日本から朝鮮半島,中国,ヒマラヤにかけての地域に分布する小高木で,雌雄異株の夏緑広葉樹です。和名は,葉や幹,枝などすべてがとても苦いところから,和名もそのままニガキ(苦木)と名づけられました。その苦味の故に,アイヌの人たちも苦い木を意味しているシウニ,秋田ではクスリギ(薬木),鹿児島ではニガッなどと呼んでいるということです。薬用には材(木部)を用い,生薬名もニガキといい苦味健胃薬として用います。苦味が強く樹皮のついていないものが良品とされます。そのため樹皮が剥がれやすい7月頃が適期となります。全株に強い苦味がありますが,老木になると苦味は弱くなるようです。



ジンチョウゲは、香りのよい花を早春に咲かせる常緑の花木です。外側が紅紫色で内側が純白の肉厚な花は、濃い緑色の葉とよく合います。花弁のように見える部分は萼が花弁状に変化したもので、本来の花弁ではありません。室町時代以前に中国から日本に渡来したといわれています。日本で栽培される株はほとんど結実しません。耐寒性は-5℃程度で、東北地方南部の平地以南で庭植えにすることができます。移植が難しいので、場所をよく選んでから植えつけましょう。



シキミは枝や葉に芳香のある常緑の樹木で、3月から4月に直径2.5~3cmの萼と花弁が10~20枚の花をつけます。寺院の境内や墓地に植えられることが多く、家庭の庭に利用されることはあまりありませんが、枝葉が密生し、萌芽性がよいので刈り込んで生け垣として利用することができます。刈り込んだあとは、芳香が漂います。枝葉は、乾燥粉末にして線香や抹香の材料とされます。果実は9月ごろ成熟し、タネは褐色を帯びて光沢があります。果実は薬用として利用されますが、猛毒があり、植物では唯一、「毒物及び劇物取締法」の劇物に指定されています。近年、シキミの仲間で赤系などの花を咲かせる種が導入されており、庭木として人気を得てきています。



サンザシの仲間は、北半球の温帯に約200種が分布する落葉木で、ごく少数、常緑性のものがあります。日本には北海道にオオバサンザシ、北海道と長野県にクロミサンザシが自生しています。日本では白い花を咲かせ、赤または黄茶色の実がつくサンザシや、ピンク色の八重咲きのセイヨウサンザシとその交配種)が栽培されます。サンザシは中国原産の落葉低木で、日本には朝鮮半島経由で1734年に薬用植物として渡来したとされ、果肉とタネは健胃、整腸剤として用いられます。漢名は山査子で、日本ではその読みが、そのまま和名として使われるようになりました。



カナメモチの名前がありますが、モチノキ科モチノキ属のモチノキとはまったく違うものです。しかし、葉の形や12月ごろ赤く色づく実などはモチノキによく似ています。大きく違うのはカナメモチには葉の周囲に細かいギザギザ(鋸歯)があり、5月から6月にソバの花を思わせる白い小花が集まって美しく開花する点です。カナメモチは生け垣として利用されることが多く、春に赤みを帯びた新葉が伸びます。樹形優先で刈り込まれるため、赤い新芽ほど花や実が観賞されていませんが、花と実もカナメモチの魅力です。



皆さんがサクランボとして食べているのがセイヨウミザクラです。日本には明治時代に苗木が入り主に果樹として育てられて来ました。食用になるサクランボが実るこのセイヨウミザクラ(西洋実桜)は、ソメイヨシノより少し遅れて開花し、その後6~7月ごろに美味しいサクランボになります。現在では、果実は大きく甘くなるように改良されています。 ただ果実が雨に弱いことから、梅雨でも雨の少ない長野や山梨、山形県などで栽培されています。 ふつうには、別名の「おうとう(桜桃)」とか「さくらんぼ(桜ん坊)」で呼ばれます。セイヨウミザクラは現在「佐藤錦」「紅きらり」「ナポレオン」など、多くの品種があります。 4月中旬ごろ、一重咲きのかわいらしい花を咲かせます。



スノーフレークは、スイセンに似たすらりとした葉に、スズランのようなベル形の花を下向きに咲かせます。白い花弁の先端に緑色の斑点があり愛らしいです。秋に球根を植えつけると、2月上・中旬に葉が現れて生育し、3月中旬から1花茎に1~4個の花を咲かせます。その後、5月下旬には地上部が枯れて休眠に入ります。庭植えであれば、群植すると美しいです。スノーフレークの日本名はスズランスイセン(鈴蘭水仙)またはオオマツユキソウ(大待雪草)です。スズランスイセンは花がスズランに、葉が水仙に似ていることから、オオマツユキソウは雪解け後に花を咲かせることから付けられた名前です。



ラッパスイセンは、一茎一花(いっけいいっか)で3月~4月が開花時期の洋種のスイセンの一種です。大輪で、おしべとめしべを取り囲む副花冠(ふくかかん)と呼ばれる部分がラッパ状に突き出ていることが名前の由来で、副花冠は花弁以上の長さのものがラッパスイセンの定義とされています。桃や桜と花の季節が同じ頃で、株元に植えるとピンク~黄色の色合いが春らしく、庭が春色に染まります。冬から早春咲きのニホンスイセンや原種系スイセン~ラッパスイセン~チューリップ、ヒヤシンス、ムスカリなどと混植すると、冬から春まで球根の花が次々と開花する空間を作ることができます。ラッパスイセンの原産地は地中海沿岸です。ユリ科スイセン属の多年草です。



ナルキッスス・トリアンドルスは、日本には、大正時代の中頃に渡来したと言われています。ナルキッスス・トリアンドルスの香りの成分は蜂を惹きつけますが、他のスイセンの仲間同様に本種も毒性を持つため、病気や害虫を寄せ付けません。ナルキッスス・トリアンドルス はメンテナンスがシンプルであるため、一般的に手入れが簡単な植物と見なされています。1つの特別なケアポイントは、適切な日当たりを確保することです。ナルキッスス・トリアンドルス は日当たりの良いから半日陰まで栄えます。よく排水された土壌に植え、成長シーズン中は適度な水やりを行い、開花後は頻度を減らして球根の健康を保つようにします。



山地の川沿いの岩場に自生し、ヤツデに似た7裂に切れ込んだ葉を数枚広げることからイワヤツデと呼ばれます。この葉は栄養状態によって、時に5裂や9裂になる株があります。植えつけ環境は、石組みした排水の良い落葉樹下で、夏に日陰となる場所が適しています。和名のタンチョウソウ(丹頂草)は、開花前の蕾が丹頂鶴のように赤いことに由来します。日陰に白い花が目立ちます。丈は10-50cm。根茎は太く、先から長さ約15cmの葉柄を出し、その先に掌状葉を付けます。葉は円心形で5-9深裂し、裂片は卵状披針形で縁に鋸歯があり、やや肉質で厚く、平滑。葉の展開とほぼ同時に花茎を立ち上げ、総状または円錐花序を作ります。



セッコクは、東北地方南部以南の山地や岩場に見られる小型の着生ランです。デンドロビウムの仲間で、主に針葉樹林や常緑広葉樹林に見られます。節のある細い棒のようなバルブを何本も束ね、細い根でしっかりと木や岩に着生し、晩春から初夏に白や淡い桃色の花を咲かせます。花後に新芽を伸ばして、つやのある葉を広げながら、新しいバルブが伸びていきます。冬前には葉が落ちて、バルブの状態で冬を越します。このバルブに翌年花が咲きます。花にはほのかに香りがあり、四季を彩る野生ランとして多く販売され、人気があります。古くから多くの斑入りや花変わりなどが選別され、「長生蘭」の名で古典園芸植物として親しまれています。



和名はイチゲサクラソウといいます。同じような薬効のあるカウスリップ(キバナノクリンザクラ)の代用品として使われています。花は昔は催淫剤としてつかわれていましたが、現在ではジャムやエディブルフラワーとしてサラダに入れたり、砂糖煮に使われています。本来は多年草ですが、暑さに弱く夏に枯れてしまうため、日本では一年草として扱われています。夏が涼しい地域では、真夏の直射から守ってくれる木漏れ日の当たる涼しい木陰で真夏を越せば、夏越しも可能です。黄緑色の明るい葉と春先に咲く鮮やかな黄色い花が特徴のプリムローズジャスミンは、庭や鉢植えでも楽しめる人気の植物です。プリムローゼの花言葉は、主に「永続する愛情」です。英語では「(あなたなしでは生きられない)」という花言葉もあります。



リキュウバイ(利休梅)は中国原産のバラ科の落葉低木で、春に美しい純白の花が開花します。清楚な雰囲気の花は、古くから茶花としても愛されてきました。耐寒性に優れ育てやすいため、庭木のほか、公園樹としても植栽されています。桜(ソメイヨシノ)の見ごろが過ぎたころに開花し、枝一面が純白の花で覆われます。若葉の緑色との色合いも美しく、和風、洋風、どちらの庭にもマッチします。低木で管理しやすいことから、シンボルツリーとしても好まれています。リキュウバイとはバラ科の植物の1種です。別名はウメザキウツギ、バイカシモツケ、ウツギモドキ、マルバヤナギザクラ等があります。中国原産の落葉低木です。日本では庭木、公園木としてよく栽培されています。花期は4〜5月頃で、白い花を咲かせます。



ハナズオウは明るい茶色の樹皮が美しい落葉花木で、春になると葉が出る前に、赤みを帯びた紫色の小さな花を密集して枝につけ、ひときわ目を引く存在となります。枝はあまり横には広がらずほうき状となり、株立ちやそれに近い樹形になります。花後に展開するハート形の葉や、房なりになる豆果(とうか)もかわいらしいものです。また、緑色の豆果が熟すにつれ濃い褐色なり、季節の変化が楽しめます。園芸品種には白い花を咲かせるシロバナハナズオウもあります。



シデコブシは本州中部の東海地方を中心とした限られた範囲に分布する日本の固有種です。湿原の周辺や渓流沿いなどに生育しています。樹高は5m程度で本来は1本の幹で立ち上がりますが、根際から多数の幹を出して灌木状になっているものもあります。花は直径10cmほどで、白色から薄く紅色を帯びるものまで変異があります。系統的には、コブシとタムシバの交雑によって生じたものと考えられています。コブシはやや冷涼な地の谷沿い、タムシバはこれより温暖な地の尾根などの乾燥地に生育する種であり、シデコブシの誕生には、生育環境の異なった両種が近接して生育している環境が必要であったものと考えられています。



ヤマモモの名の由来は「山のモモ」の意味で、山に自生していて食べられる果実がなるということから名づけられましたが、バラ科のモモとは無縁の植物です。光沢のある常緑の葉で、庭木、街路樹などによく利用され、樹形が観賞されます。雌雄異株で、4月に、小さく目立たない花を咲かせます。雌木には初夏に暗紅紫色のやや松脂臭のある果実がなります。果実は生食のほか煮物、ジャム、砂糖漬けなどさまざまに利用できますが、生食用には日もちが悪いためあまり市場には流通しません。ー一般によく知られるモモはバラ科サクラ属で、ヤマモモとはまったくの別種です。ヤマモモは山に自生する桃に似た実という意味合いで名付けられたが、モモの味はしません。



ハナズオウは明るい茶色の樹皮が美しい落葉花木で、春になると葉が出る前に、赤みを帯びた紫色の小さな花を密集して枝につけ、ひときわ目を引く存在となります。枝はあまり横には広がらずほうき状となり、株立ちやそれに近い樹形になります。花後に展開するハート形の葉や、房なりになる豆果(とうか)もかわいらしいものです。また、緑色の豆果が熟すにつれ濃い褐色なり、季節の変化が楽しめます。園芸品種には白い花を咲かせるシロバナハナズオウもあります。アメリカハナズオウは、北アメリカの中部から東部に分布する同属別種です。耐寒性はより強いですが、耐暑性がやや劣り、花数も少なくなります。フォレスト・パンシーはワインレッドのハート形の葉をつけカラーリーフプランツとして人気が高いです。そのほか、八重咲きや斑入りの品種があります。



「ヤエザクラ(八重桜)」は、花びらが増えて重なって咲くように見える八重咲きの桜の総称です。八重咲きとは、桜の場合、花びらが20枚以上の桜を指すことが多く、対してソメイヨシノのように花びらが5枚の桜を一重咲きと呼んでいます。さらに、八重咲きの桜でも、菊の花のように大量の花びらをつけて咲く花は「菊咲」と呼び分けることもあります。八重桜は全国でさまざまな品種が栽培されており、八重咲き以外の特徴や開花時期も異なります。一例として関山(カンザン)、手毬(テマリ)、一葉(イチヨウ)、普賢象(フゲンゾウ)などの桜が知られています。花見といえば日本ではソメイヨシノが一般的ですが、ヤエザクラはそのソメイヨシノから遅れること1〜2週間ほどで花を開く遅咲きが特徴です。



マメ科ムレスズメ属の低木。中国原産で、日本には江戸時代に導入されました。春から初夏にかけて、多くの花をつけます。花は咲き始めは黄色ですが、徐々に赤みを帯びてきます。和名である「ムレスズメ」は中国名の「金雀花」を日本風に変えたものですが、中国において「雀」の字が表す鳥は「スズメ」ではなく、「ヒワ」です。ヒワは黄色い羽毛をもち、本種の花の色をよく表しています。「群雀」は、中国原産の黄色い花を咲かせるマメ科の落葉低木で、枝にふっくらとした花をたくさん並べる姿を群れているスズメに見立てて名づけられました。江戸時代に日本に渡来した植物です。栽培しやすく、庭木や、盆栽などに適しています。枝にはトゲがありますので、植える際にはご注意下さい。



ユスラウメ(梅桃)は春に梅や桜に似たきれいな花を枝いっぱいに咲かせ、初夏にさくらんぼのような真っ赤な小さい果実(直径1㎝ほど)を実らせる落葉低木。樹高は1m~3mです。熟した果実は生食でき、甘酸っぱい味がしてジャムなどに用いられます。また、ユスラウメ(梅桃)は漢方薬としても使われます。ユスラウメ(梅桃)は寒さに強く、特に病害虫の心配もありません。剪定は、伸びすぎた枝や不要な枝を切るくらいで強剪定は必要ありません。ユスラウメ(梅桃)は種まきと挿し木などで増やすことができます。丈夫で育てやすいため、庭木としてもおすすめの果樹です。ユスラウメ(梅桃)の花が梅の花に似ていることや、枝の上部に繁茂して風が吹くと揺れやすいこと、枝を揺さぶって実を落とすことなどからその名が付いたと言われています。また、江戸時代に日本に渡来したときの名「ゆすら」が残り、梅に似ていることをプラスしてユスラウメ(梅桃)になったという説もあります。



ラムズイヤーの白い毛で覆われた葉は、ぬいぐるみのように心地よく、柔らかな手触りで、lamb's ear(羊の耳)の名前にぴったりです。葉には、香りがあり、生葉や乾燥させた花をクラフトなどに利用できます。初夏に薄紫色の花を咲かせます。夏の高温多湿が苦手で、株元が蒸れて腐ることがしばしばありますが、環境さえ合えば、地表にマット状に広がります。混み合ってきた株は、株分けやさし芽で更新して、株が蒸れないようにしましょう。特に、花穂が上がる梅雨時期は、風通しが悪くなるので要注意です。



江戸時代にオオシマザクラを基に誕生したサトザクラの一種です。カンザンは濃い紅色をしていますが、これは意外にも花弁が白色のオオシマザクラの特質を継承していると考えられています。一般的なオオシマザクラの花弁は白いですが、色素のアントシアニンの影響で稀に花弁がわずかに紅色に染まる個体があり、散り際の低温刺激でも紅色が濃くなることがあります。通常の野生状態ではこのように紅色の発露が制御されていますが、選抜育種の最中に突然変異が起こって紅色の個体が生まれ、ここからカンザンが誕生したと考えられています。明治時代に入ると社会の急速な転換により武家屋敷や神社仏閣、街路の多種の栽培品種のサクラが伐採されていき、カンザンも消滅の危機にありましたが、荒川堤に植樹されたことで命脈を保ち今日につながっています。



イワナズナは、ヨーロッパや西アジアの岩場や石灰岩地に自生しており、日本では、主に庭園や公園で観賞用に栽培されていることが多いです。春から初夏にかけて黄色い花を咲かせ、花の直径は約1cm程あります。葉は、灰緑色で小さな毛が生えており、ロゼット状に広がっているのが特徴です。イワナズナは、耐寒性や乾燥耐性が高いことから、庭園や公園の植栽に適した植物とされており、その美しい黄色い花が春から初夏にかけて楽しめるため、観賞価値が高いと言われています。また、岩場や石垣などの斜面に植えることで、美しい花壇を作ることができます。



スイートバイオレットは、冬の花壇に欠かせないパンジーやビオラと同じ、スミレ属の多年草です。冬から早春にかけて2cmほどの香りのよい花をひそやかに咲かせて、花が少ない季節を彩ります。この開放花もタネをつけますが、気温が高くなる5月になると、葉の陰で小さな閉鎖花をつけて自家受粉したタネをつくります。どちらのこぼれダネも発芽してよくふえますが、花後に株元から伸びるランナー(ほふく茎)でも、横に広がります。日本は国土の狭さのわりに数多くのスミレ属を産することで知られますが、スイートバイオレットはヨーロッパから西アジアが原産です。紀元前320年ごろにはすでにギリシャなどで栽培され、アテネを象徴する花となっていました。



カラムラサキツツジは基本的な手入れが必要な丈夫な植物で、よく排水された酸性土壌と一定の湿度で繁栄します。風から保護し、花後に適切な剪定を行うことで形を保ち、健康を促進します。カラムラサキツツジの手入れは多くのガーデナーにとってアクセスしやすく、庭芸の知識が豊富である必要はありません。3~4月にかけて桃紫色の花をつけます。朝鮮半島、中国東北部に自生し、日本にはほとんど自生しておらず、日本で見られるのは植物園などで栽培しているものにほぼ限られています。日本の対馬や九州北部、中国地方などに分布するゲンカイツツジ(玄海躑躅、はこれの変種です。カラムラサキツツジを「ゲンカイカラツツジ」と呼ぶこともあります。また、ゲンカイツツジを本種と区別しない分類もあります。



ツブラジイ(円ら椎)は、ブナ科シイノキ属の常緑高木で、本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮の山地や丘陵地に分布する樹木です。別名コジイとも呼ばれ、どんぐりが丸く小さいことから「円らな椎」と呼ばれています。最大樹高30m、胸高直径1.5mに達する常緑広葉樹で、枝はよく分枝し広葉樹らしい丸い樹冠を持ちます。樹皮は灰色で滑らか、老木になっても殆ど割れません。葉は濃い緑色の卵状楕円形で葉先は鋭く尖り、裏面は灰褐色でざらざらとした触り心地になります。葉縁には先端側にだけ鋸歯が現れ、特に若い木だと著しいが老木ではわかりにくいです。



ヒメリュウキンカはイギリスやヨーロッパ大陸の山地の湿った草原や湖沼畔に生える、小型のキンポウゲの仲間です。リュウキンカの名を冠していますが、リュウキンカ属ではなく、キンポウゲ属の植物です。夏に地上部がない夏眠性の植物で、地下に塊根がタコ足状に数本あります。秋が深まるころから芽を出し始め、冬の間も少しずつ芽を伸ばして葉を開きます。晩冬から早春には株はすでにロゼット状に広がり、中心に蕾を抱き始めているものもあります。春に次々と咲く黄色の6~8枚の花弁は萼花弁で、キラキラと太陽に輝かせながら開くさまは、あたかも小型のリュウキンカのようです。花が終わると結実し、晩春のころには小さな金平糖のようなタネをつけ、葉は次第に黄変して休眠に入ります。基本は黄色の一重咲きですが、白花、バイカラー、八重咲きなど個体変異も多く、葉の形や斑入りなど葉の模様にも変化があり、多くの品種が生産され流通しています。非常に丈夫な植物であることも含め、世界中の愛好家に親しまれています。



ムベは、地方によってはアケビともいいますが、アケビと異なり常緑性で、果実は熟しても割れないのが特徴です。日本では関東地方以西の温暖な地域に分布しています。昔は果実をよく食べたものですが、今は観賞の域を出ません。ただ、アケビ同様、春の新芽は山菜として利用できます。樹木の利用としては、垣根に向き、日よけだと常緑なので冬場の日当たりの問題があります。品種名のついたものは流通していませんが、果実の大小、色、形、葉の大きさ、結実性などいろいろなタイプがあるので、果実を楽しむなら吟味して植えつけましょう。アケビ同様、多くは自家不結実性です。栽培は容易で、問題になる病害虫もありません。



ゲッケイジュは雌雄異株の常緑高木です。葉は乾燥させて香料として料理に使われるので、樹木に関心のない方にもローレルやローリエの名前でよく知られています。日本では雌株は少なく、大半がさし木でふやされた雄株です。耐暑性があり、生育も旺盛で芽吹きもよいため、生け垣や刈り込みによる仕立て物をつくるのにも適しています。日のよく当たる場所を好みますが、明るい日陰でも十分育ちます。水はけのよい肥沃な土地でよく育ちますが、乾燥にも強く、特に土質は選びません。耐寒性はありますが、もともと暖かい地域の樹種なので、-8℃くらいをめどに防寒し、冬の寒風が当たらないように注意します。



アザレアは19世紀初頭に、ベルギーを中心としたヨーロッパで、室内観賞用の鉢物として改良された常緑性ツツジの総称です。交配親となったヤマツツジの仲間は、中国、台湾、日本、ベトナムやフィリピンなどに約95種が分布しています。日本国内には、サツキやヤマツツジ、モチツツジなど観賞価値の高い15種ほどが自生しており、江戸時代から品種改良が盛んに行われ、サツキ、クルメツツジ、江戸キリシマなど、数多くの園芸品種群が作出されました。これらのうち、ケラマツツジ、サツキ、大紫、白琉球などと、中国から導入されたタイワンヤマツツジが、江戸末期から明治時代にイギリスに渡って、オランダを中心に大規模な交配がなされ、現在のアザレアが誕生しました。



カロライナジャスミンは北アメリカ南西部、亜熱帯・熱帯アメリカ原産で、自生地のサウスカロライナ州では州の花とされています。香り高い花木として知られるハゴロモジャスミンやマツリカ、ソケイなどが含まれるジャスミンの仲間(モクセイ科ソケイ属)の花に似ていますが、まったく異なる種類です。ゲルセミウム属は2種からなる小さなグループで、アメリカとアジアに隔離分布します。インドから中国に分布するエレガンスは観賞用としては栽培されません。カロライナジャスミンは、常緑性のつる植物で、生育旺盛で庭植えで育てると6m以上に伸びることがあります。春から夏にかけて鮮やかな黄色の花を次々と咲かせ、大株になると大迫力。香りはハゴロモジャスミンより弱いですが、似たよい香りがします。葉は光沢がある濃い緑色ですが、冬には褐色に紅葉します。



バビショウ(馬尾松)は、マツ科マツ属の常緑針葉樹です。和名はタイワンアカマツ(台湾赤松)といいます。中国の南部を中心に広く分布する松で、針状の葉が15〜20cmと長くなり、ウマの尾を連想させるために、中国ではこの名が付いています。和名は中国語の漢字を音読みしたもの。アカマツと同じ二葉松であり、日本が台湾を統治した際によく目にしたため、タイワンアカマツ(台湾赤松)とも呼ばれています。中国の河南省から江西省、貴州省、海南省までの範囲の低山に広く分布しています。特に福建省、広東省、広西チワン族自治区、湖南省の山地に密集しています。台湾にも分布し、ベトナム北部から中部にかけても分布しています。



ハクサンシャクナゲ(白山石楠花)は、ツツジ属シャクナゲ亜属の低木です。別名、シロバナシャクナゲ、ウラゲハクサンシャクナゲともいわれています。亜高山帯の暗い針葉樹林内を彩る代表的な花です。北海道・本州(中部地方以北)・四国(石鎚山)、および朝鮮半島北部の亜高山帯から一部はハイマツ帯まで分布しています。高山の針葉樹林に生えるます。樹高は、亜高山帯では3メートル (m) ほどにもなりますが、ハイマツ帯では環境が厳しいため50センチメートル (cm) にも満たない場合があります。老木の樹皮は不規則にはがれます。葉は長楕円形の革質で、縁が裏側に巻いていることが多いです。成木の葉の裏は、毛が生えていることがあるあります。花期は7 - 8月です。花色は白色から淡紅色で、内側に薄い緑色の斑点があります。



若葉から赤いモミジ(春紅葉)は、特にイロハモミジの品種である「静崖」や「出猩々」など、またノムラモミジなどが有名です。これらは新芽が紅色で、夏には緑色に変わり、秋には再び紅葉する特徴があります。日本のカエデは約25種ありますが、その代表選手ともいえるのがイロハモミジです。山地に多く見られる落葉高木ですが、美しい紅葉を楽しむために、庭や公園にもよく植えられます。また盆栽としても人気があります。葉は直径5センチメートル前後で、手のひら状に深く切れ込みます。切れ込みの数は葉によって若干異なりますが、かたちは整っていて左右対称になっていることが多いものです。秋の終わりになると鮮やかに紅葉しますが、ときに黄葉となることもあります。



ハナミズキはミズキ科ミズキ属の落葉高木で、アメリカヤマボウシという別名があります。この別名からわかるように原産地はアメリカで、おもに北米東部からメキシコ北東部に分布しています。樹高は5~10m。樹木としては、耐寒性、耐暑性ともにやや弱いという特徴があります。これから白、赤、ピンクの花を咲かせるハナミズキですが、これらが「花ではない」というのは、どういう訳なのでしょうか?ハナミズキが大きく咲いたように見せている“花”は本来の花弁ではなく、総苞片と呼ばれる花のつけ根の葉です。ハナミズキの鑑賞期間が他の樹木の花に比べてかなり長いのは、それが“葉っぱだから”ということになります。ハナミズキは自然に樹形が整う木であるために、街路樹、公園木、個人庭園など幅広い用途で楽しめます。本当の花は、総苞片に囲まれた中央部に、小さな花が寄り集まったようにいくつも咲きます。



ヒメリンゴ(姫林檎)は、中国原産で、バラ科リンゴ属の耐寒性落葉低木です。葉は、広披針形で葉縁に鋸歯があります。春に、枝先に白い五弁花を咲かせ、秋に赤や黄色のリンゴ(林檎)に似た小さな果実を付けます。果実の味は、酸味が勝り、食用として劣るので、別名で「イヌリンゴ(犬林檎)」と呼ばれます。主に、観賞用樹木や、盆栽として植えられます。姫りんごは、一般的なリンゴに比べて小型で、酸味が強く、皮に渋みがあるのが特徴です。春には白い花を咲かせ、秋には赤い実を付けます。観賞用としても人気があり、街路や庭に植えられることが多いです。



日本にはかなり古い時代に渡来し、当時は薬用または観賞用として栽培されていました。 果実は冬葵子と呼ばれ、生薬として使われています。現在フユアオイはほとんど栽培されず、一部野生化した株が見られる程度です。これとは別に、江戸時代に変種のオカノリが野菜として渡来しました。現在も少数ながら栽培されています。現時点では、市内でほとんど見かけません。ただ外来種なので今後増えてくる可能性はあります。1年草ではありますが、比較的暑さ寒さに強いため、季節に関係なく発生を繰り返します。名前に冬と冠してあるのは、冬の間も青々とした葉をつけることにちなんでいます。フユアオイの葉はふつう掌状に5~7つに浅く切れこみます。ウサギアオイに似ているものの、果実の様子が異なります。ウサギアオイは果実が露出しているのに対し、フユアオイのそれは大きく膨らんだがくの中に包まれて、外からは見えません。



アイリスは、アヤメ科アヤメ属に属する多年草の総称です。よく知られるアヤメやカキツバタ、ハナショウブなども広義ではアイリス属の一部に含まれます。ヨーロッパやアジア、北アフリカなど世界中に自生しており、品種改良により多様な花色や形状を持つものが誕生しています。花の形状:は大きく3枚の外花被片(垂れ下がる部分)と3枚の内花被片(立ち上がる部分)で構成される特徴的な形です。品種によっては甘く優しい香りを放つものもあります。比較的耐寒性が強い品種が多く、冬でも地上部は枯れても地下茎や根が生きているため、翌年春に新芽を出します。庭植え、切り花、アレンジメントなど幅広く活用され、花壇や水辺の演出にも最適です。



カッコウセンノウは、ナデシコ科センノウ属の多年草です。原産地はヨーロッパ。ヨーロッパやアジアに自生し、道端や湿度の高い牧草地で見られます。イギリスでは、農場の近代化や湿地の灌漑によりその数が減少し、既によく見られるものではなくなっています。しかし、アメリカ合衆国北部やカナダ東部にも帰化するようになりました。カッコウセンノウ(郭公仙翁) は比較的手入れの簡単な植物で、湿った沼地の土壌で繁栄し、一定の水分と部分的な日光を好むことが最もよく育ちます。理想的には、水を適切に与えて土壌を水っぽくなりすぎず一貫して湿らせておくべきです。植物の美しい花のディスプレイは、栄養豊富な土壌で育てることで最大限に引き出されますが、カッコウセンノウ(郭公仙翁) は非常に適応力があり、栄養価が低い状況にも耐えることができます。