ba3ji3の植物園


   



 

アスパラガスは、発芽直後の若い芽を食用とするユリ科の野菜です。原産地のヨーロッパでは紀元前から栽培されていたとされ、日本には江戸時代に伝わりました。当初は観賞用で、明治時代から食用として栽培され始めたそうです。独特の甘みと歯応えを持ったグリーンアスパラガス以外に、缶詰で広く流通しているホワイトアスパラガスもありますが、実はどちらも同じ品種です。クリーミーな食感とほのかな甘みを持つホワイトアスパラガスは、発芽したアスパラガスにすぐ盛り土をして、日光を当てずに地中で育てます。また、グリーンアスパラガスやホワイトアスパラガスとは別の品種に、紫色をした紫アスパラガスもあります。グリーンアスパラガスに比べて柔らかく、甘みも強いのが魅力です。アスパラガスには、アミノ酸の一種で、栄養剤にも使われている「アスパラギン酸」という栄養素が含まれています。アスパラガスから発見されたことにちなんで、アスパラギン酸と名付けられました。

 

枝豆は、大豆の未熟豆です。大豆は黄色、枝豆は緑色と見た目が違うので、「えっ?」と思われる方もいらっしゃるのでは…。大きくなったらそら豆なんて方も…。枝豆が成熟すると大豆になります。枝豆は、中国から稲作とともに日本に伝わり、江戸時代に枝付きのまま茹でて、売り歩かれていたところから、枝豆と呼ばれるようになりました。“畑の肉”と呼ばれる大豆は良質なたんぱく質で、糖質、脂質、ビタミンB1、B2、カルシウムを多く含んでいますが、枝豆は大豆には無いビタミンCをたっぷり含んでいます。枝豆には、疲労回復や夏バテ防止、肝機能をアップさせる効果があります。茹でたてを食べるのが一番おいしいのですが、枝付きでは量が多くて食べ切れそうにない時は、かために茹でて冷凍保存が可能です。

 

オクラの原産はナイル川流域からエチオピアにかけての東北アフリカといわれ、高さは1~2メートルにもなり、若い莢を食べます。日本で一般的に食べられるようになったのは昭和30年代からで、β-カロテンやビタミンB群が豊富です。粘り成分には、胃腸の調子をととのえる働きがあるといわれています。オクラのネバネバのもとは、水溶性食物繊維のペクチンという成分です。ペクチンには血糖値の上昇を抑えたり、便通を促す作用が… ただし、水溶性なので水に長くつけたり、ゆですぎると、これらの効果が望めなくなるので注意が必要です。夏バテ予防に役立つビタミンB群・C、免疫力アップの効果が期待できるβ-カロテン、骨を丈夫にするカルシウム、葉酸なども豊富に含まれています。オクラの和名はご存じでしょうか?オクラは和名で「陸蓮根(おかれんこん)」と呼ばれていますが、クイズ番組で読めない野菜で出題されるほど一般的ではない和名となっています。

 

カブは、白い球型の小カブが一般的ですが、赤や黄、紫色など、さまざまな色や形、大きさの品種があります。地域に根差す在来種が多いのも特徴で、その数は80とも言われます。根は生でも、みずみずしくて美味しいですし、漬けたり、焼いたり、煮たりすると、食感や甘味が変化して、また違った楽しみがあります。また、1時間ほど干すだけでも甘みと旨みが凝縮されます。葉は、アクもアクが少なく使いやすいので、浅漬けや煮びたし、炒めものなどにしていただきましょう。カリウムやビタミンC、食物繊維、デンプンを分解する消化酵素のジアスターゼなどが含まれます。生で食べると消化酵素を効率的に摂取できると言われており、胃もたれや胸やけの解消に良いです。葉の部分はβーカロテンやビタミンC、カルシウムなどが豊富で緑黄色野菜に分類されます。

 

カボチャは、ウリ科カボチャ属に分類される野菜です。β-カロテンやビタミンC、ビタミンEなど、さまざまな栄養素を含んでいます。世界中で栽培されていますが、原産地はアメリカ大陸とされています。コロンブスによってアメリカ大陸からヨーロッパに伝来し、世界へと広がっていきました。日本にカボチャが伝わったのは16世紀のことで、ポルトガル人によって持ち込まれたとされています。名前の由来には諸説ありますが、ポルトガル人の寄港地であるカンボジアからもたらされたため、「カンボジア瓜」がなまって「カボチャ」になったといわれています。日本カボチャ、西洋カボチャ、ぺポカボチャの3種類に分けられ、現在の主流は、ほくほくして甘みの強い西洋カボチャです。栄養価の高さは、野菜の中でもトップクラスで、特にカロテンが豊富です。

 

きゅうりは、インドのヒマラヤ南麓が原産とされる、ウリ科キュウリ属の野菜です。「黄瓜」が語源とされ、完熟すると黄色くなります。現在は未熟なうちに収穫するのが主流ですが、昔は黄色く熟したものが食べられていたそうです。「白いぼきゅうり」と「黒いぼきゅうり」の2種類に大きく分けられ、日本では生食できて病気に強い白いぼきゅうりが大半を占めています。また、現在は表面に「ブルーム」と呼ばれる白い粉のようなものがつかないタイプが主流です。ブルームのあるタイプも、歯切れの良さから人気が出てきています。きゅうりは、水分が多く含まれる野菜として有名です。可食部100g中、95%ほどを水分が占めています。ただし、栄養が全くないわけではありません。カリウムやβ‐カロテン、ビタミンCといった栄養素も含まれています。水分量が多く、暑い夏にぴったりの野菜といえるでしょう。

 

ゴーヤーとは沖縄地方の方言でにがうりのこと。他にもつるれいしとも呼ばれます。九州南部、沖縄地方で生産され、沖縄ブームとともに健康野菜として人気を集めています。鮮やかな緑とくせのある味から緑黄色野菜と思われがちですが、カロテン量が意外に少なく(210μg)淡色野菜です。表面のイボは水を貯める働きもあって、干ばつなど厳しい気候でも生きていけるたくましさがあります。また、ゴーヤーが苦いのは、種がじゅうぶんに熟す前に、動物に食べられないための知恵ともいわれています。ビタミン類やカルシウム、マグネシウム、カリウムなども多く含まれます。 ビタミン類やカルシウムを摂れば、免疫力向上効果のほか、肌をキレイにしたり骨を強くしたりといったうれしい効果も得られるのです。 マグネシウムには貧血防止効果、カリウムにはむくみの改善効果があります。

 

ごぼうの原産地は、ユーラシア大陸北部と言われています。しかし、ごぼうを野菜として食べるのは日本独自のようで、初めてごぼうを利用したと考えられている中国では、現在でも主に薬草として用いられています。日本への渡来の時期は定かではないものの、平安時代の書物などで出てくることから、今から1200年程前には野菜としての栽培が始められていたと考えられます。日本人は、ごぼうの豊かな香りとシャキシャキとした食感を好みますが、日本以外の国では、木の根を食べているように思われてしまうそうです。戦時中に、連合軍の捕虜にごぼうを食べさせたところ、虐待にあったと問題になった話や江戸幕末にドイツ人医師シーボルトがオランダに持ち帰ったものの、残念ながら普及しなかったという話もあります。水溶性食物繊維であるイヌリン、不溶性食物繊維であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンがたっぷり含まれています。これら食物繊維は、腸のぜん動運動を促進するので、便秘に大変効能があります。また、これら繊維質は消化吸収されずに排泄される際、腸内の発ガン物質など有害物質を吸収してくれるので大腸がん予防にも効果があると言われています。

 

「さつまいも」は、その名の通り、薩摩(鹿児島県)から全国に広がっていきました。また、地域によって様々な呼び方をされています。甘藷(かんしょ)、唐芋(からいも)、琉球藷(りゅうきゅういも)などです。意外かもしれませんが、ヒルガオ科で、アサガオの仲間です。中南米のメキシコ、グアテマラに自生する野生種のイポメア・トリフィダが起源とされています。食物繊維が豊富で、また切り口から出るヤラピンが腸の働きを促し、食物繊維との相乗効果で便秘の改善に効果的です。ビタミンCやパントテン酸が多く含まれています。皮部には肉質部よりもカルシウムが多く含まれています。また、皮の紫色には抗酸化作用の高いアントシアニンが含まれています。よく洗って皮も活かしましょう。皮の下にアクの成分があるので、水にさらすと色よく仕上がります。果肉の色が様々で、アントシアニンを含む紫いも、カロテンを高濃度に含むオレンジ色の芋もあります。

 

エンドウは、食べる部位によって、4つの品種群に分かれます。さやを若どりしたものがサヤエンドウ、柔らかいさやと豆の両方を食べるのがスナップエンドウ、丸々と太った豆を食べるのが実エンドウ、新芽を食べるのがトウミョウ(豆苗)です。栽培方法は基本的に同じですが、収穫にかかる日数が異なります。エンドウは、エチオピアから中央アジアにかけての地域がふるさとで、生育適温は15~20℃と冷涼な気候を好みます。寒さに強く、簡単な防寒で冬越しします。たんぱく質、カロテン、ビタミンC、B1などを豊富に含む緑黄色野菜です。なお、未熟な豆を食べるグリーンピースは実エンドウの仲間で、同様に育てられます。市場に出回っている、さやえんどう、グリンピース、スナップエンドウは、分類上「マメ科エンドウ属」と同じもので、えんどうの成長度合いや品種によって違った名前で呼ばれています。

 

緑鮮やかでツヤとハリがあり、香りがはっきりとしているもの。シシトウはまだ若いうちに収穫されるため、小振りで柔らかい弾力を感じるものがおススメです。ヘタはピンと伸びて、軸の切り口がみずみずしいものが良いです。茶色く変色したり干からびたりしていないか確かめます。黒ずんでいるものと固く感じるものは鮮度が落ちている場合があるので避けるようにしましょう。大き過ぎるものは育ち過ぎで味や風味が劣ると言われています。βカロテンが体内で変化するビタミンAとビタミンC、ビタミンEはともに抗酸化作用がある成分です。これらのビタミンは体内で出来る活性酸素からカラダを守り、過酸化脂質の生成を抑え動脈硬化や脳梗塞、心疾患などを予防する働きがあります。カロテンは油で調理すると吸収率がアップするので、てんぷら、油炒めがおススメです。

 

「しそ」は「赤じそ」と「青じそ」など複数の種類がある植物で、「大葉」は青じその葉の部分のみを指します。つまり「しそ」が総称で「大葉」はその一部に含まれ、まったく同じものとは言えません。ちなみに韓国料理で使われる「エゴマ」もしその仲間。「花穂じそ」はしその花芽の呼び名で、和食の彩りに使われています。しそは夏が旬の植物で、原産地は中国です。その昔、中国で食中毒の患者に紫色の薬草(赤じそ)を煎じて飲ませたところ回復したことが名前の由来で、「紫色の蘇りの薬草」から「紫蘇」になったと言われています。しそは縄文時代に日本に伝わり、香料や薬用、食用として用いられてきました。葉が紫色の「赤じそ」、その変種で葉が緑色の「青しそ」や「エゴマ」のほか、日本料理のあしらいに使われる「花穂(かすい)じそ」や「穂じそ」、新芽の「芽じそ」があります。

 

ジャガイモは、主成分がデンプンで、主食にもなる野菜として世界中で栽培されています。ビタミン類も豊富なことからフランスでは「大地のりんご」と呼ばれています。日本での代表的な品種は、ホクホクした粉質系の男爵やキタアカリ、そして煮崩れしにくい粘質系のメークイーンです。近年では、見た目、食感ともにさまざま品種が栽培され、好みや用途に合わせた選択肢も増えてきました。ちなみに「新じゃが」は品種名ではなく、掘りたてのまま出荷されるジャガイモのこと。小ぶりで皮が薄く、みずみずしいので、皮ごとフライにしたり、煮物にするのに向いています。ほっくり茹であげたいときは、皮つきのまま、まるごと水からゆっくり茹でましょう。豊富に含まれるビタミンCは、デンプンに包まれていることで、加熱などで壊れにくいのが特徴です。ビタミンCには、抗酸化作用や美肌効果などが期待できます。また、高血圧予防やむくみ改善につながるカリウムも豊富です。

 

日本で食べられるようになったのは80年代頃からと比較的新しい野菜ですが、最近では人気が定着しつつあります。見た目はキュウリのようですが、カボチャの仲間です。カボチャとの違いは、完熟してからではなく、開花後5~7日の未熟果を食べることです。ほのかな甘みがあり淡白な味わいです。また、皮も柔らかいので、皮ごと食べられます。むく場合は、皮むき器で何か所がむく程度にしましょう。加熱調理だけでなく、薄切りにしてサラダやナムルにしても。大きくなりすぎた果実は、輪切りにしてバーベキューの材料として使うのがおすすめです。カリウムが豊富で、低カロリーです。淡色野菜の中ではカロテンを多く含み、ビタミンCと協力して免疫力の強化に役立ちます。カロテンは、油と一緒に取ることで吸収率が高まりますので、オリーブ油で一度炒めてから煮込むラタトゥイユは理にかなった料理です。

 

春の七草のひとつ「すずしろ」として知られ、古くから日本人に親しまれてきたため、全国各地には、辛みや形、大きさの異なる個性的なご当地ダイコンがあります。今も日本で最も生産されている野菜で、主に流通しているのは甘みがあり、みずみずしい青首ダイコンです。葉に近い部分ほど甘く、先に近い部分ほど辛味が強くなるので、先端は薬味や漬物に。葉に近い部分は、辛味が少ないのでサラダなど生食に最適です。中央部分は、おでんやふろふきダイコンなど煮物に向いています。また、葉も栄養に富んでいます(ダイコンの葉は根よりも栄養価が高く、カロテン、ビタミンC、食物繊維などが豊富です)。細かく刻んでごま油で炒め、かつお節とだし醤油で味を調えると、食べるとくせになる一品となりオススメです。近年では、赤紫色や黒、緑色など、海外の品種も加わり、直売所では様々なダイコンを見かけるようになりました。

 

呼び名が違う鷹の爪と唐辛子、実は同じトウガラシ品種ということは皆さんご存じですか。「鷹の爪」も「唐辛子」も辛味成分を含んだナス科トウガラシ属に分類される野菜です。他にもピーマンやパプリカ、シシトウガラシなども広義には同じナス科トウガラシ属で、甘味種という甘とうがらしに分類されています。同じナス科トウガラシ属でも辛いものと辛くないものがあるのは不思議ですね。よく『赤い=辛い』『青い=辛くない』と認識されていますが、辛さは品種(カプサイシンの有無)によって程度が異なります。一般的にピーマン、ししとうは青く辛味もありませんが、熟せば赤く色づきます。赤くなったからといって辛味が増すわけではなく、熟して甘くなります。基本的に全てのトウガラシ属の植物は熟す前は緑で、熟したら赤色やオレンジ色になるので、色で辛さを判断するのは危険です。また唐辛子の辛さは栽培環境に左右されます。

 

家庭料理に欠かせない存在ですが、日本に導入されたのは明治時代と、比較的新しい野菜です。1年中、店頭に並ぶのは、乾燥させた貯蔵ものが出荷されるためです。収穫後すぐに出荷されるのが「新タマネギ」で、みずみずしく、辛みが少ないので生食に向いています。主流の辛タマネギは、生の時は特有の辛味と香りがあり、加熱すると甘さが際立ちます。数少ない甘味種のひとつは、赤タマネギの「湘南レッド」。生でも甘みがあり、香りもマイルドなのでサラダやマリネなどが最適です。独特の香りと辛さのもとは、硫化アリルという揮発性の成分です。硫化アリルは、疲労回復に必要なビタミンB1の吸収を助け、新陳代謝を活発にしてくれます。また、血液が固まるのを抑えるので、動脈硬化、高血圧などの予防効果も期待できます。水に溶けやすく、熱に弱いので、生のまま食べるのがおすすめです。

 

探検家・コロンブスがヨーロッパに持ち帰り、世界各地で栽培されるようになりました。日本では明治時代、北海道開拓を機に本格的な栽培が始まりました。野菜として食べているのは、トウモロコシの中でも甘味種「スイートコーン」で、年々、フルーツのような甘さの品種が増えています。茹でる時は薄皮をつけたまま、水からゆっくり茹でましょう。沸騰して3分後に火を止めてざるにあげて、余熱でしあげます。ビタミン類は水溶性が多いので、電子レンジで加熱するのもおすすめです。糖やデンプンなどの炭水化物が多く、野菜の中では高エネルギー食材です。胚芽の部分(粒のつけ根の白っぽい部分)に、ビタミンE、B1、B2、カリウム、亜鉛、鉄などの栄養素が詰まっています。また、コレステロール値の低下作用をもつリノール酸が豊富です。腸をきれいにする効果のあるセルロースが多く、食物繊維の宝庫といわれています。鮮度が落ちやすいので、新鮮なうちに調理して食べましょう。すぐに食べない場合は、蒸す・茹でるなどの加熱調理後、密封して冷凍保存がおすすめです。

 

色や大きさも豊富で、栄養価も高いトマトは、市場の取扱金額トップの人気を誇る野菜です。皮が薄く、酸味が少ないピンク系と、皮も赤く、うま味が強い赤系のトマトがあります。トマトを生で食べることが多い日本では「桃太郎」に代表されるピンク系が主流。調理用トマトなどが赤系で、味が濃く、加熱するとうま味が増すのが特徴です。ケチャップやトマト缶などの加工品にも用いられています。トマトには、昆布と同様のうま味成分グルタミン酸が含まれているので、料理の味わいを深めてくれます。果肉よりも種の周りのゼリー部分に多く含まれるので、トマトソースを作るときはそのまま入れましょう。近年は、赤だけでなく、黄色や緑、紫など様々な色の品種も店頭に並ぶようになり、ますます多彩です。赤い色はリコピンという色素成分によるもの。リコピンはカロテノイドという色素成分の一種で、がんや老化を予防する抗酸化作用があります。リコピンの吸収率は、生よりもペーストのように物理的処理や加熱調理された加工品のほうが高いことが知られています。また、油脂と合わせると、吸収率が上がるので、オリーブオイルなどと一緒に摂るとよいでしょう。ビタミンCやカリウムも豊富です。疲労回復効果が期待されるクエン酸や便秘改善に役立つペクチンも含まれています。

 

「ヤマノイモ」とは、ナガイモ、ヤマトイモ(ツクネイモ・イチョウイモとも呼びます)、ジネンジョなどの総称です。栄養成分を豊富に含み、中国では滋養強壮に効く漢方薬として使われるほど。主成分はデンプンですが、デンプンの分解酵素ジアスターゼを含むため、生でも食べられます。生と加熱調理後で食感が変わり、生でシャキシャキ、加熱すると、ホクホクの食感を楽しめます。すりおろしたものは、生だとトロトロ、加熱するとフワフワでもっちりした食感に変化します。お好み焼きやホットケーキなどをふわふわに仕上げたいときに加えると良いです。ミネラルや食物繊維が豊富で、独特のぬめり成分は、たんぱく質の消化吸収を助けてくれるムチンという水溶性食物繊維の働きによるものです。胃の粘膜を保護し、胃潰瘍などにも効果を発揮します。消化作用が期待できるジアスターゼを含んでいます。消化酵素は、長時間加熱すると減ってしまうので、とろろや和え物でいただくのがおすすめです。ナガイモやジネンジョのつるの葉の付け根につく、2㎝ほどの小イモをむかごと呼びます。ヤマノイモは種子がなく、イモやムカゴから発芽して繁殖します。炊き込みご飯や茹でて食べるとホクホクして美味しいです。

 

煮る、焼く、揚げる、漬けるなど用途が広い万能野菜。現在の主流は長卵形のナスですが、歴史の長さを物語るように、各地の気候風土に根差した在来品種が数多く残っています。卵サイズの丸型から細長い大長ナスまで、形も大きさも様々。漬け物に向くもの、焼き物に向くものなど、特徴を生かした郷土料理も地域に受け継がれています。「茄子紺」と言われるように、日本では黒紫色のナスが主ですが、白や緑色のナスも。果肉は変色しやすいので、切ったらすぐ調理するか、水にはなしておきましょう。90%以上が水分で、体を内側から冷やす作用があります。皮の色素は「ナスニン」というポリフェノールの一種。抗酸化作用があり、生活習慣病の予防などに役立ちます。また、切り口が茶色になる原因の「クロロゲン酸」にも、老化やがんを予防する効果が期待できます。「秋ナスは嫁に食わすな」という諺は、体を冷やす野菜なので身体を冷やさないように気遣っているという説と、おいしいので食べさせないという説の2つの解釈があります。

 

春の訪れを告げる野菜。菜の花などのつぼみと花茎、若葉をナバナといいます。独特のほろ苦さをいかして、生やおひたしでも美味しくいただけますが、豚肉やベーコン、ごまなど、油脂分があって香りの強いものとの相性も抜群です。ビタミンCの含有量は野菜の中でトップクラスです。白血球の働きを強めることで、風邪などの病気に対する免疫力を高め、貧血予防や、コラーゲンの育成を促進するなどの美肌効果もあります。ナバナはアブラナ科の花の総称です。コマツナやハクサイ、チンゲンサイなどのアブラナ科の野菜は、若いうちの葉を食べますが、収穫せずにそのまま育てると、ナバナとして食べられます。東京の伝統野菜「江戸東京野菜」のひとつとして数えられています。「のらぼうな」と呼ばれ、東京の西部を中心に江戸時代から栽培が始まりました。花茎と若葉が軟らかく、一般的な菜の花よりも苦みが少ないです。カロテン、ビタミンC、B1、B2、葉酸、カルシウム、鉄分などのビタミン類やミネラル類が豊富です。

 

ニラは東アジア原産で、健康増進や疲労回復に効果を発揮する緑黄色野菜です。抗酸化力を持つことで知られるβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類をはじめ、カリウムやカルシウムなどのミネラルも豊富に含んでいます。また特有のにおい成分であるアリシンには血液をサラサラにする働きがあります。ニラはユリ科ネギ属の多年草です。暑さにも寒さにも強いうえ、同じ株から何度も収穫できる強い生命力を持ち、ひとつの株から年に3~4回収穫することができます。ニラには葉ニラ、黄ニラ、花ニラの3つの種類があります。最も一般的なものは緑色の葉ニラで、その色から青ニラとも呼ばれています。葉の幅が広くて色が濃く、柔らかいのが特徴の「グリーンベルト」という品種が年間を通して栽培されています。

 

ニンジンは、β-カロテンの多さは緑黄色野菜の中でもトップクラスで、カロテンの名は英語の「キャロット」に由来しています。皮の近くに多く含まれているので、皮ごといただくか、薄くむいて食べましょう。ニンジンには江戸時代に伝わった東洋系と明治以降に入ってきた西洋系があり、現在、主に流通しているオレンジ色のニンジンは、西洋種。赤く細長い「金時にんじん」は数少ない東洋系で、今でも正月料理の彩りに欠かせない食材のひとつです。他にも紫や白、黄色や10cmほどの小型種など、さまざまな品種があります。葉も、ビタミンやミネラルを豊富に含む緑黄色野菜です。天ぷらや炒め物、おひたしにしても美味しいので、葉付のニンジンを見つけたらぜひ、お試しを。β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変化し、皮膚や粘膜を丈夫にするため、免疫力を高めることに役立ちます。また、抗酸化作用が強いので、肌の老化防止にも。高血圧の予防に役立つカリウムや食物繊維も含んでいます。

 

料理の香りづけに欠かせないニンニクは、古くから日本でも薬用植物として利用されてきました。香辛野菜として食べられるようになったのは戦後のことです。ニンニクの香りのもとは、アリシンという成分です。刻んだり、すりおろすことで細胞が壊れて、アリシンが多く発生します。低温から炒めて、香りとうまみを引き出しましょう。より風味を良くしたいときは、ニンニク片の中の芽を取り除きましょう。芽は焦げやすく刺激も強いためです。ニンニクは地下茎が肥大した部分。他に、若い葉を食用とする葉ニンニクや、葉のあとに出る花茎を食べるニンニクの芽もあります。にんにくの香りのもとは、アリシン。強い殺菌作用のほか、ガンや血栓を予防する効果があります。体内でビタミンB1と結びつくと、その吸収を高め、効果を持続させる働きがあります。ビタミンB1による糖質のエネルギー変換が促進されることで、疲労回復や体力増強に効果を発揮します。
野菜ではめずらしく、豊富なたんぱく質を含んでいます。

 

日本には奈良時代に伝わったとされ、古くから全国で栽培されてきた歴史ある野菜です。白い部分を食べる「根深ネギ(長ネギ)」と、緑色の葉の部分が多い「葉ネギ(青ネギ)」に分類できます。かつては、東日本では千住ネギに代表される根深ネギ、西日本では九条ネギに代表される葉ネギが食べられてきました。近年では、その境もあまりなくなり、用途に合わせて種類を選べるようになりました。根深ネギは、加熱すると甘みが増し、とろりとした食感に。葉ネギはβ-カロテンなどのビタミンが豊富なのが魅力です。緑黄色野菜に分類される緑色の部分には、β-カロテン、ビタミンCなどが豊富です。白い部分に多く含まれる香り成分、硫化アリルは、消化液の分泌を促して食欲を増進させる他、ビタミンB1の吸収を助け、疲労回復につながります。さらに抗菌、殺菌作用など様々な働きをします。体温を高めて血行を促進させる効果も期待できます。ワケギとアサツキは、ネギの仲間で、共に緑葉色野菜です。ワケギはネギとタマネギの雑種。根元からよく枝分かれするので「分け葱(わけぎ)」の名がつきました。甘みがあり、軟らかいのが特徴です。より細長いアサツキは、ネギの近親種で、辛味があり、主に薬味として使われます。

 

ピーマンは、トウガラシの仲間で、甘味があり、楕円形のものがピーマンと呼ばれています。緑色のピーマンは、未熟なうちに収穫したもの。樹で完熟させたものが赤ピーマンで、甘みが強くなり、ビタミンCやカロテンの量も倍増します。ピーマンが日本に伝わったのは明治初期ですが、戦後、食の欧米化と共に一般家庭にも広まりました。近年では、子ども向けに苦みの少ない品種も開発されています。また、切り方でも味わいが変わり、繊維を断ち切る横切りより、縦切りにした方が苦みや青臭さを和らげることができます。特にビタミンCが豊富。ピーマンのビタミンCは熱に強く、メラニン色素の沈着を防ぐので、シミそばかすの予防に役立ちます。β-カロテンも多く含まれ、ビタミンCとともに抗酸化作用を発揮し、老化防止や免疫力アップ、がんの予防にも。β-カロテンは、油と一緒に取ると吸収率が高まるので、炒め物やマリネにするとよいでしょう。黄色やオレンジ色のカラーピーマンも、もとは緑色から完熟したもの。赤ピーマン同様に、苦みが少なく、甘みがあるので、苦手意識がある人でも食べやすいです。パプリカは100g以上くらいの大型カラーピーマンに付ける名前です。

 

ホオズキは、赤いちょうちんがぶら下がったような姿が愛らしく、古くから親しまれてきました。このちょうちんのような袋は、ホオズキの萼です。ホオズキは3月ごろ、地下茎から芽を伸ばし始め、5月から6月ごろ、伸びた茎の各節に薄クリーム色の花を咲かせます。花が受粉すると果実だけではなく、萼も非常に大きく成長し、袋状に果実を包み込みます。袋状に育った萼は、最初緑色ですが、8月ごろから朱赤に色づき、これが観賞用にされています。秋になるとやがて地上部が枯れ、冬は地下茎のみとなって冬越しします。切り花や鉢物として少し早い時期に出回る色づいたホオズキは、バナナを黄色く熟させる際に使われるのと同じ、エスレルという植物成長調整剤で処理されたものです。浅草寺の「ほおずき市」で、毎年夏に鉢仕立てのホオズキが売られるのが有名ですが、もともとは果実が解熱薬になる、同じホオズキ属のセンナリホオズキ(Physalis angulata)を買い、夏の病気に備えたのが始まりです。

 

「ミニトマト」や「プチトマト」と呼ばれているものは品種名ではなく、果実の大きさが5〜30g程の小さなトマトを総称しています。ミニトマトにはたくさんの品種があり、赤や黄色、オレンジ、緑色をしたもの、また形も丸いものだけではなく、アイコなどのように卵型やイチゴ型など様々です。ミニトマトは南アメリカのアンデス地方を原産としたトマトを改良した品種です。日本では、昭和50年代後半ごろから栽培が始まり、その見た目の可愛らしさと美味しさから人気を集め、全国に普及するようになりました。ミニトマトはトマトに比べ、可食部100gあたりに含まれる栄養素で比較すると、リコピン、カリウム、ビタミンB6、ビタミンCの量が豊富に含まれています。夏が旬のミニトマトは寒さが苦手です。ついつい冷蔵庫に入れてしまいがちですが、基本的には常温で保存することでミニトマト本来の美味しさを楽しむことが出来ます。生でもちろん美味しいミニトマトですが、火を通すことで旨味がより凝縮し、栄養価がアップします。リコピンの栄養価は火を通すことで生で食べた場合と比べると体への吸収率が2〜3倍アップします。

 

モッテノホカは、秋菊で来歴は明らかでありません。花色は淡紫色あるいは紫紅色で地域によってばらつきがあります。花弁は管弁、半管弁の八重で中輪です。花びらが筒状のためシャキシャキした歯ごたえがあり、ほのかな香りや甘み、ほろ苦さが特徴です。名前の由来は、「天皇の御紋である菊の花を食べるとはもってのほか」とか「もってのほかおいしい」といった事から名づけられたと云われています。山形県は、食用菊(刺身などのつま用の小ぎくを除く)の生産が盛んで東京都中央卸売市場で扱う5割程度を山形産が占めています。特に、独特の香りと味の良さで『食用ぎくの横綱』と評されるのが、淡い紫色の「もってのほか」です。正式には「延命楽」という品種ですが、県内では「もってのほか」の愛称が一般的です。もってのほかは晩生で、収穫は10月下旬頃から。花びらが筒状に丸まった管弁なので、しゃきしゃきとした歯ざわりに特徴があります。10月上旬から収穫できる「早生もって」もあります。

 

古代エジプトの王様が不治の病で苦しんでいたときに、モロヘイヤのスープで治ったという伝説があり、エジプトでは“野菜の王様”と称賛されています。日本に導入されたのは、80年代。栄養価が高く、簡単に栽培ができるため、短期間で全国に普及しました。若葉の部分を食する緑黄色野菜で、刻むとオクラのような粘りが出るのが特徴です。茹でたり、炒めたり、スープにしていろんなアレンジをして楽しめます。カロテン、カルシウムの含有量が野菜の中でトップクラスです。ビタミンB群やC、Eも豊富で、ビタミンB2はホウレンソウの約20倍、カルシウムは5倍もあるといいます。モロヘイヤの特徴であるぬめりは、ムチンという成分であり、消化管粘膜保護作用、血糖値やコレステロール値の上昇を抑える働きが期待できます。葉野菜の中では食物繊維も豊富で、便秘の解消に役立つと考えられます。フラボノイドの一種で強い抗酸化作用を示すケルセチンを含んでいます。

 

ユウガオはアフリカまたは熱帯アジア原産のウリ科の蔓性一年生植物です。葉、蔓、果のいずれも軟毛が生えており、夏の夕方、葉腋に直径5~10cmほどの大形の白色合弁花を開花させます。しかし、翌日午前中にはしぼんでしまう、はかない命の花です。8月の前半は真夏の太陽が容赦なく照りつけ、日中は暑さのために木々の緑も弱々しく見えます。しかし、夕暮れが迫って辺りが薄暗くなってくると、大形の白いユウガオの花が目立つようになります。淡く澄んだ香りを漂わせ、夕闇にほんのり浮かぶ姿はとても優雅です。中河興一の小説『天の夕顔』の最後に、ユウガオが好きだった亡き恋人を思って夜空に花火を打ち上げる場面があります。 花火が消える時、天にいるその人がユウガオを摘み取ったと思い、自らの喜びとするのが印象的です。夕顔の実を薄く削って干したものがかんぴょうになります。 ずんぐりとした球形の丸夕顔と円筒状の長夕顔といった種類があり、苦みの少ない丸夕顔が伝わったことをきっかけに食べられるようになったとされています。 かんぴょうに使用されるのも丸夕顔です。



赤しそは、シソ科シソ目に属する大葉と同じシソの一種です。バジル、ミント、ローズマリーなどと同じハーブの一種で葉の色が赤紫色のものを総称する呼び名です。ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、葉酸、鉄など豊富なビタミン、栄養素が含まれています。なぜ、梅干しの赤紫蘇を入れるのかに付いては諸説がありますが、まずは「赤い方がいい」という単純な理由があります。着色の過程は、赤紫蘇の赤い成分が梅に乗り移るという単純なものではなく、赤紫蘇に含まれる成分と梅のクエン酸が化学変化を起こして赤く発色させるそうです。あとは赤紫蘇自体に含まれる栄養成分と防腐・殺菌作用が添加される事で、梅干しが更にパワーアップするからです。まさに鬼に金棒という間柄です。ちなみに紫蘇は、中国原産のハーブであり、食中毒の薬草として用いられてきました。死にかけた患者が蘇る(蘇る)ことが、紫蘇の名の由来とも言われています。